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オイル発掘日誌Day2 亜兎藤編 

はじめまして。美術部署で作業人員をしている亜兎藤です。
最近はいっそう寒くなってまいりました。美術の作業場は屋外にあるので、防寒装備が重くなる一方です。夏と違って小虫がいないのは快適なので一長一短ですね。

最近の美術部署は、震える指先で構造物の制作に取り組んでおります。色塗りや細部の作業は後半でまとめて行うため、今は木材の加工作業が主になっています。


まだ木材の骨組みだけの状態です。骨組みって良いですよね。
この階段がどのように姿を変えて皆様の前に現れるのか、私自身も楽しみにしています。



自由劇場の美術部署のこだわりは、役者のことを想って作ることでしょうか。
役者がどこを通るか、役者が安全に小道具を使えるか、演技における自由度はあるのか…。
物の位置一つとっても、少しの気遣いで使いやすさは変わってきます。本番前の小道具の点検は欠かせません。
もっとも、毎公演反省点は尽きないので試行錯誤を重ねている途中です。

作業場と役者の練習場所が離れているぶん、連携は能動的にとる必要があります。
直してほしい箇所、固定してほしい箇所など、演出や役者から要望を気兼ねなく言ってもらえる関係性の構築も、良い作品を作ることに繋がると思っています。月並みな表現ですが、演劇って全員でつくるものなんです。

デザインや設計のこだわりとなるとチーフによって個人差があるもので、ここで語られることは私個人の話になります。
美術部署にはデザインが好きな人も複雑な設計が得意な人も居ますが、私はどちらかというと前者にあたります。つまるところ、塗ることが好きなんですね。

美術では舞台を仕込む前後で、「ヨゴシ」と呼ばれる塗装作業があることが多いです。
岩や壁にコケを生やしたり、床板に溝をつけたり、ヨゴシの有無で舞台の印象は大きく変わります。
特にヨゴシで構造物を劣化しているように見せることは難しく、作業員の色彩感覚に助けられることが過去に多々ありました。ヨゴシの色選びが上手な人に憧れます。

言うまでもなく、ヨゴシには正解もなく終わりもありません。
大変な作業ではありますが、ヨゴシによってリアルな質感を舞台に加えることは、他に代えがたい面白さがあると思っています。

長々とお話ししてしまいました。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
『オイル』は四回生と作る最後の公演です。見て良かったと思えるものをお客様に届けられるように尽力いたしますので、ご予定が合う方はぜひお越しください。


神戸大学演劇部自由劇場vol.226 卒業公演
『オイル』
作:野田秀樹
演出 : 葵衣咲里彩

▼日時
2024年
3月2日(土)13:00〜/17:00〜
3月3日(日)13:00〜

▼場所
シアター300

▼料金
無料カンパ制

▼ご予約はこちらから

https://ticket.corich.jp/apply/298712/

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