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順流と逆流

今は札幌にいる。東京に戻ってきて、リリースに合わせた制作を終わらせたが、たった2,3日の滞在の後、札幌に急遽戻ることになった。

アトリエの水道管が逆流したらしい。

淳之介が現場を発見してくれて、管理会社への連絡や今後の対応など、諸々の面倒をみてくれた。ただ本人がいた方がいいだろうということで、連絡のあった当日に次の日の飛行機を取った。

以前にも似たような事故があったらしく、こちらの過失ではないことは明らかである。火災保険にも入っているので、家財の補償についても問題はない。今は、管理組合や保険会社などに連絡しつつ、事の進展を待っている状況だ。

札幌に着いてからは1日中、本を読みふけっている。なぜならここ数ヶ月Blenderをやっている中で、ちょっとした停滞感をずっと感じていたから。もちろんDCCツールとしてまだまだ可能性があるし、使えていない機能や自分の技術的理解が遅れていることもあった。しかし、Blenderの書き出し時の処理の重さに、自分の自由な発想や未来への構想に制約がかかっていたのだ。まだ知らない情報や触れていない技術を掘っていくことで、ソフトウェアや自分の創造性の制約を大きく飛び越えられる気がしていた。

札幌の紀伊國屋書店やジュンク堂を周り、内容をパラパラ見て良さげな本を選定し、Kindleで買っていった。割と知った気でいたようなVRやメタバース、De-Fi関連の本をいかがわしいものを含めて10冊くらい買って読んでいる。3DCG技術を仕事にし、ある程度使いこなせるようになってきた今だからこそ理解できることがあるかもしれない。時代は確実にある方向に流れており、その流れを早いうちに捉えて時代の川を下っていく必要がある。


最も可能性を感じたのはUnreal Engineだった。今までなんとなく興味を持っていたが、ようやく本気で取り組める時期に到達できたと思う。主にゲーム利用の用途として使われていた開発ツールだが、今ではアートや広告の分野でも使われている。今までBlenderで数十時間の時間をかけて計算処理していた描画が、リアルタイムでまるでゲームのように書き出すことができる。このリアルタイム描写のリアリティが更に向上する技術、特にLumenやNaniteには驚いた。

従来のCGツールでは、高いポリゴン数のものは、忠実度を引き換えに描画の時間が増えてしまう。しかしNaniteの技術では、視界の反対側の隠れている箇所やズームアウトしているときの計算を省略し、表出している部分の描写を緻密にすることで、映像クオリティと処理の軽さを両立している。

遠いところ、見えないところはボカして、近いところは綺麗に見えるという点で、人間のものの見え方や認識の仕方に近い処理方法だと感じた。CGをやればやるほど、人間が網膜を通してどれだけ重たい情報処理をしているんだと実感したのだが、さすがにその全てを脳で受け止めている訳ではなく、処理を省いているところは多々ある。それをソフトウェアでも実現させることができれば、地球規模のデジタルツインの中を、今見えている景色と同じようなクオリティの描画で生活することができるはずだ。それが本当に可能であり、近い未来に実現することを直感/技術の両方で実感した。


1つの突破点が見えてきた。今日は狂ったようにUnreal Engineに触れていきたい。

買った本やkindleのライブラリ…

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FICTITIOUS BIOGRAPHYはフィクションみたいなアンフィクション日記になると思います。架空のことが現実になったり、現実が架空…

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