海は拾いな、大きい名(仮)その6

月明かりが届かない海面を照らす灯台の光線
立ち込める霧で拡散していく
歪む影
濃密な水蒸気に濡らされる空間は飽和
小刻みに振るわす動きは波の音

風は無い

水面に突き出した岩礁が波を砕く
飛び散る雫は霧の中でもがく
少しずつズレていく間隔は周期的
重なる波
消し合う波
広がった波紋が波紋を消し合う水面

未だ無風

瞬く間に過ぎ去っていく光線
水滴に反射しながら空間を満たし拡散
溢れずに消える
黒い透明な闇

彼方を照らす灯を吸い取っていく
何ひとつ音も立てずに

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