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後輩の悩み

「リストカットした腕を、見せてくるんです」

ある飲み会の時、わたしの後輩は、そう言って、悩みを打ち明けた。

それはきっと、自分だけでは抱えきれなくなった、こころの叫びなのだと、わたしは感じた。

どちらの後輩も、わたしは知っていた。

あの後輩の腕が、そんなことになっていて、そのことで、目の前の後輩を悩ませているのか。

当時、先輩ヅラしていたわたしは、目の前のこの子に何が言えたのだろうか。

今も、正しい答えは見つからない。

その時のわたしと言えば。

「リストカットは、間違って深く切っちゃうと、死ぬ気がなくても、間違って死んじゃうんだよね。本当は生きたいのに、助けてって言いたいのに、そうやって、間違って死んじゃうのは悲しいよね。だから、止めなきゃ」

なんて、救いにもなんにもならないセリフを、吐いただけ。

あぁ....なんて、空虚なんだ。

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