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今まで演奏をYouTube投稿してた僕が有料コンテンツに踏み切ったわけ

コロナで収入がほぼなくなった

コントラバス奏者の地代所です。

東京藝大の学部と大学院を出て今はプロの演奏家として活動しています。

オーケストラには所属せずフリーな身ですが、現代音楽奏者、レコーディング仕事やミュージカル、単発の演奏会や、音楽制作やあちこちでミュージシャンとして呼んでいただいたりして音楽で"飯を食って"いました。

パンデミックが起きるまでは。

コロナウイルスの世界的な流行はあらゆる業界に大ダメージを与えています。これはたくさんの人が認識していると思います。

自粛要請からの非常事態宣言とSTAY HOMEが浸透(少なくとも僕の周りでは)してこの生活になってもう2ヶ月ほど。

我々音楽家にとってもそのダメージは大きく、予定されていた演奏会も軒並み中止、延期。延期という言葉も、もはや約束されたものではないことは皆感じているはずです。

さらには演奏会を除いたときの貴重な収入源であるスタジオでのレコーディングの仕事もなくなりました。

そんな苦しい3、4月を経て5月。僕は一つ新しい決断をしました。

動画コンテンツの有料化です。

今までの動画投稿はYouTube

この状況になってから発信手段として動画制作や最大手動画プラットフォームであるYouTubeに投稿をし始める音楽が多いですが、僕は去年の6月から本格的にYouTubeへ動画を投稿し始めました。

映像作りも好きでかなり気合を入れて投稿してきましたし、公演や仕事の様子はVlogとして頻度高めに更新してました。

活動が出来なくなってからしばらくはチャンネルの収益化を目指してここで動画投稿を頑張ることにエネルギーを注いでました。

立ちはだかる収益化の壁

しかし収益化の壁は僕にとって高かった..!!

 企画も色々やってみました。生配信、ゲーム実況、1週間のスケジュールを決めて毎日投稿してみたり。アナリティクスもみてますが今まで以上に頑張ってもそんなに変わらないんですね。もちろんSNSで呼びかけると登録してくれる人が一瞬増えますが、それってYouTubeの投稿関係ないじゃないですか。フォロワーのみんながとっても優しいからだ。

基本的にYouTubeも Twitterも流行が全てです。カバー動画も流行ってる曲を弾けば多少リーチが伸びます。けど流行を後追いしてお客さん増やして収益化して、それって真の意味で音楽家なのでしょうか。※1   少なくとも僕にとっては否でした。そもそも最初にあげたカバー動画はその曲を自分自身がたまらなく好きで愛を表現したくて作ったものです。それを思い出した時に「あ、自分はYouTuberになりたいのではないな」とその時やっと気づきました。

※1 誤解を生むと悲しいので補足すると今の発言は誰かを否定するものではないです。YouTubeを収益化して頑張っている仲間は何人かいますし心からすごいと思ってます。ただ僕にはYouTubeに最適化していくエネルギーとモチベーションがどうしてもなかっただけです。

そもそも演奏は無料が当たり前ではない

さて話を戻すと、動画の有料化です。

YouTubeにあげたばかりのこちらの映像

コントラバスと多重録音でのパフォーマンスのために書き下ろした新曲です。部屋でのライブパフォーマンスなのですが、ダイジェストになってます。今まではこう言った動画も全編無料公開してました。

今数多くの音楽家が動画発信を初めて演奏動画のいわばインフレと言いますか、音楽を消費する側からするとなんでも無料で観れる聴けるのが当たり前のような感覚の人も多いのではないでしょうか。それによって音楽家やアーティストの価値が下がること、僕はこれを危惧してます。

綿密にリハーサルを経て本番で演奏し、適切に鑑賞してもらい、評価もいただいて、報酬を得る。そしてそれを糧にまた次の本番へと気持ちを向わせる。本番ごとに様々な出会いだったり新たな機会だったり刺激をもらいつつ、その間に制作をしたり、勉強したりする。このサイクルで今まで自分のクオリティを保ってきました。

しかしYouTubeへと照準を定めてマーケティングして制作していく生活はこれとは大きく違いました。この点は自身の意識やスタイルを変容出来なかったとも言えますね。

有料動画コンテンツとは何か

そんな折、今日の本題であるサービスのお誘いをいただきました。

さっきの動画のフルバージョンは有料コンテンツとしてTodays Concertというサービスで販売しています。

このサービスはサイトに行くとアーティストごとのページがあり(YouTubeでいうところのチャンネル)、そこで動画を単体購入できます。

購入に際して決済が必要になるので登録が必要なのですが一度購入すれば無制限に再生できます。将来的にはダウンロードも検討してるとのことです。

音質や画質はYouTubeより高品質です。

値段はアーティスト側で設定できて収益の分配もかなり好条件です。

このサービスについてはまた後日詳しく紹介できたらと思います。

今まで無料で楽しんでいただいていた皆様はびっくりするかもしれません、僕自身今まで通り公開したい気持ちもありますが、自分が健康に生きてこそいい音楽を届けられるとも思い、これからは動画の種類によってはこのtodays.Concertを通して有料コンテンツへ(緩やかにではありますが)切り替えを決断しました。

動画を有料配信する二つの目的

正直言って経済的に苦しいのが現状です。
今まではYouTubeで楽しく無料で公開出来ていたのは全て普段の活動での収入があったからです。

もちろんYouTubeのコンテンツも今まで通りとはいきませんが様々なバランスを見て投稿していきます!
この動画のようにショートバージョンであったり、YouTube的なコンテンツ、Vlogなどは作っていて楽しいのでそのまま続けるつもりです。
いつも動画を楽しんでいただいてる皆様にはご理解いただき応援していただけたらと思います。

肝心の有料コンテンツの内容は、音と映像に拘って製作していくつもりです。どのくらいの収益が得られるのかなどまだまだわからないこともありますが、YouTubeに投稿する時次第に薄れていった緊張感みたいなものは1本目の動画を作っていて感じました。自分本意ではありますが緊張感だったり、モチベーションだったりが失われていくことは音楽家、アーティストとしては致命的です。

良い作品を変わらず発信すること、そしてアーティストとしての自分を守るために動画の有料化を決心しました。

正直値段をつけるのがすごく難しかったです。不安も色々ありますがどうかご支援していただければと思います。
ご意見ご感想など受け付けているのでコメント欄や、各種SNSのDMでも寄せていただければ全て読ませていただきます。

まだまだ不確定要素の多い世界ですが、アーティストとして守るものは守り攻めるとこは攻めて、強くしなやかに生きていきたいと思います。

幸運にも音源の配信やラジオのレギュラー番組など新しい企画も少しずつ動いてはいます。宅録(在宅でのレコーディング)依頼もいただくこともあります。

そうやって出来ることは全部やりながら精一杯頑張りたいです。活動などはこちらのリンクにまとめましたのでもし良ければ。

先ほどの有料動画は興味ない方もnoteでサポートいただけたら励みになります。

購入やサポート以外でしたら、記事をスキしていただいたりシェアなどもすごく嬉しいことです。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

まだまだ不安な世の中ですが、皆様が健康で文化的な日々を過ごされることを祈っております。また演奏会でお会いできたら最高ですね。


2020年5月17日

地代所悠

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