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キャラクターのセッティング(1話冒頭)でモヤモヤ_「海のはじまり」

夏ドラマ、そろそろ出揃ったかなというところですよね。
1話を見て、「これは期待できる!」「次も観よう!」と思っているのは、現在のところ、
 「新宿野戦病院」
 「ビリオンxスクール」
 「A Table! 〜ノスタルジックな休日」

そして、今週から始まるものでは
 「錦糸町パラダイス〜渋谷から一本〜」

です。

え……? 

タイトルにある「海のはじまり」は……?

「海のはじまり」、1話は見たのですが「もう見ないかなー」チームになってしまったのでした。

※すべてはあくまでJidak個人の感想であり、単に「not for me」にすぎないことを語ってます。

生方美久さんのドラマ、これまでも「Silent」「いちばん好きな花」とどれも1話は見ているのですが、その後続かないというのは、今回の「海のはじまり」でも共通してしまいました。

キャストの皆さんの演技も音楽の使い方もどれも素晴らしいのに。

理由はいろいろ複合的なはずなのですが、一つはっきりしているのは、セリフというか会話がどうにもしっくり入ってこない、というところです。

なぜ「しっくりこない」のか。

’セリフ’という要素だけに注目しても、マイナスな印象に傾く時には、

 ・不自然な言い回し
 ・前後とのつながりの違和感
 ・キャラクターとの乖離感
 ・聞いたことあるような決めの言葉
 ・リアリティの希薄さ
 ・何の感情も情報も提供していない、無駄な会話の応酬

などなどいろいろな要素をはらんでいます。

「海のはじまり」にも、上記の要素がところどころで「おや?」って複数回感じてしまったために、離脱につながったんだろうとは思います。

そして、最高峰に「まったく腑に落ちないぞ」というやりとりが冒頭のほうにあったんですよ。
それが一番大きい理由かもしれない。

Xを見ても、どなたもそのシーンに言及していないので、
「一般的には見過ごしがちな、何ということもないシーンなのか…?」
と思ったりもしましたが、上記のマイナス要素リストを最も多く含んでいた象徴的な場面なので、自分のnoteには記録として置いておきたいと思い、書くことにしました。
(批判されるのかな、よくわからないけど)

いったん、シーンを再現したものを以下に記載します。

有村架純さん演じる百瀬弥生の登場シーン。
化粧品メーカー・開発部に勤務する弥生が、取引先の方と会議室で話しています。
香り含むプロダクトのコンセプトの方向性の提案を聞いているという設定のようです。
メーカー側は弥生とその部下。
取引先サイドは3人。
テーブルの上には方向性違いの案の説明シートが3案、それぞれ2枚ずつ置かれている(かなり詳細に書かれている模様)。
弥生、そのうちの一つのシートを見つつ、ムエットで香りを確認している。
弥生「これで全部ですか?」
取引先のリーダー「はい……」
弥生「もうちょっと選択肢って増やせませんかね。この中のどれかって妥協するのは、あの、お互いによくないです」 

場面変わり、廊下。
打ち合わせ後、デスクに戻る途中の弥生と部下、歩きながら、
部下「数増やさせて、結局あの3つのどれかになったらどうするんですか?」
弥生「(なんで?っていう顔をしながら)たくさん試した中で、一番いいものを選べるなら、いいことでしょ?」
部下「(なるほど的に)百瀬さん、年下とつきあってるの、納得です」
弥生「なんで? 仕事の話、してたじゃん」
部下「百瀬さんほどしっかりしてる人だと、甘えやすいですもん」

この後、目黒蓮さん演じる夏くんとのシーンになるんですが。
上記のシーンを見終わった後の弥生さんの印象は、
「計算高く、自分の利益を優先し、立場やパワーなど使えるものは最大限に利用する、わがまま・自分勝手・腹黒なオンナ」
でした。

え? 皆さんの見立てとは違う???

なぜそうなるのか。

3案、作り込まれた案を前にして、さらなる案を出すことを要求してることからです。
会議室で話しているという設定から言うと、どうやら飛び込み営業ではなさそうですよね。
で、あの状況であれば事前に何度かミーティングを経て、しっかりと双方確認しあって、その提案の日を迎えているはず。
なのに、

・「これで全部ですか?」と言う←提案数は双方で握った数が事前にあるはず。
・「もっと見たい」「多くの中から選べるのはいいこと」と、発注サイドの都合だけで振り回している
・部下の話しぶりからして、この3案がだめなわけではなく、単に「選びたい」だけという、およそ一般的なビジネスシーンではまかり通らない意見をくったくもなく言い放つ

マジでありえないです。
’むちゃぶり’であり、ハラスメント問題に発展しかねないですからね。
決してファンタジー要素があるドラマではないので、ちょっと設定に驚きました。
もちろん、まったくないわけではなく、その昔は公然と行われていたもの。
立場の違いがあるから言い返せず、泣く泣く要求を飲む、みたいな状況。
それを、「よくあるでしょ」的にすっと置かれていることに、「え、これ、今のドラマだよね?」と驚いたとも言えます。

また、自分が取引先サイドで仕事をしている人間なので、ああいう発注元の態度は許せません(きっぱり)。
あの物言いを聞いたら、私だったら以下のように返します。

「は? 先日、方向性と案数については合意したはずだよね?」
「多くの中から選びたい? は? 目の前の3案について、pros/cons
ロジカルに聴かせてもらってからじゃ、話は!」
「つか、今、’妥協’って言った? え? どういう意味だよ、妥協って、あん?」
「なんか、個人の感覚のみで話してないか? そういうの要らないんだよ」
「もっと案数出せというのは、新たなオーダーだよね? 別に費用が発生するよ。って分かって言ってんのか、オラァ!」

あ、もちろん、言葉はもうちょっとはソフトにしますが、内容は全くこのまま伝えると思います。
いや、私だけじゃなくて、あの立場になったことある人は、あのシーン見たら吠えてるはずなんですよ、間違いなく。

そして、もし私が百瀬の上司なら
「あ、いいからちょっと黙って、百瀬。すみません、私のほうから話させてください」
って、すぐ話を引き取ってたと思います。
あまりに人間性を疑う態度だったから。

このシーンを見終わって、弥生の人間性を疑い、この物語の先行きがよくわからなくなりました。
「なるほど、今後夏くんの絡んでくるはずの弥生って人は、自分の利益ばかりを考え、直感で動く自分勝手な人なのね」
と受け取り、その後のどこかの場面で暴れるのかなと思ったほどです。

そして、もう一つの違和感。
最後の部下のセリフです。私は彼女のセリフの意味が全く飲み込めませんでした。

「百瀬さんほどしっかりしてる人だと、甘えやすい」

……え? 
いったい、どこから’しっかり’という認識がやってきたの?
どこに、’しっかり’を描くシーン・セリフがあった?

え? もしかして、私が「弥生=腹黒」ととらえたことが、「弥生=しっかりした人」って思わせる要素だったの???

なので、先に書いた、マイナスな印象につながるセリフの要素である
 ・キャラクターとの乖離感
 ・前後とのつながりの違和感
 ・リアリティの希薄さ
を冒頭で一気に感じてしまい、その後も物語に入っていけず、という状態になったわけです。

どうやら弥生はいい人のようですよね。
1話が終わるまでその目線を作り上げることができず、私はミスリードしっぱなし(笑)。

物語の冒頭では、各登場人物の日常を描きながら、その人物がどんなキャラクターかを手短に見ている側に伝えていく、ということをするわけですが、この弥生という人物をわからせるためのエピソードをなぜこれにしたのか、全然理解ができません。

私の解釈があまりに歪んでいる!正しくはこうだ!とお伝えしてくださる方、お待ちしています、笑。

あ。

その後のシーンで、弥生が夏に言う
「ねぇねぇねぇねぇ。その、うんとさ、ううんの間みたいな返事、やめれる?」
というセリフはとても好きでした。

全然関係ないけど、ヘッダー画像は地元の海を撮影したものです。
すごく好きな場所。


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