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ミニ保険企画の考え方。マーケットインかプロダクトアウトか。

少額短期保険業の保険商品企画・検討に先立ってビジネスモデルを検討しますが、「どういう市場」に、「どういう態勢、方法」で「どういう商品」を提供するか、ということが大切です。

ミニ保険(少額短期保険)を提供するのには、主に2通りの方法があり「プロダクトアウト」「マーケットイン」というものがあります。

今回はそれぞれの考え方をメリット・デメリットに分けて紹介したいと思います。

プロダクトアウト・マーケットインを説明した図

「プロダクトアウト」とは

マーケットインの対義語であり、企業が自らが作りたいものや、企業の方針に合致するものなどを重視しながら製品の開発・提供を行う考え方のことです。市場のニーズよりも、売り手である企業側の考えが優先されており、「作り手が良いと思うミニ保険を開発する」「良いミニ保険を開発すれば売れる」といった考え方がベースにあります。

プロダクトアウトのメリット・デメリット

■ 「プロダクトアウト」のメリット

他社に真似できない製品を開発
自社の技術力や強みを発揮できるプロダクトアウトの基本的な方針は、自社が作りたい製品を開発・提供することです。ここでいう「作りたい製品」とは、例えば、自社独自のアイディア・技術・強みを活用して開発する製品を指します。他社に真似できない製品を開発できる可能性が高く、他社との差別化や自社のアピールなどにつなげられます。

大きな売上が得られる可能性
これまでにない保険商品を開発してヒットする可能性があるプロダクトアウトでは、これまで市場に存在しなかった製品の開発を企画することがあります。これまで市場に存在しなかった製品は売上予測を立てられないものの、もしも世の中の大勢の人に注目されれば評判となり、大きな売上が得られる可能性もあります。

■ 「プロダクトアウト」のデメリット

需要が無く、伸び悩む可能性も
プロダクトアウトの性質上、市場が必要とする製品を開発・提供できない可能性が十分に考えられます。この場合、思いのほか需要が無く、伸び悩む可能性があります。
一般的に保険商品の企画・開発・提供には時間とコストがかかるため、保険商品が売れなかった場合には損失を被りかねません。なお、製品が売れない場合には、原因の分析を行うことが大切です。具体的には、製品のニーズや販売方法の課題点などを調査するケースが多いですが、こうしたプロセスにも多くの費用・時間が発生します。

「マーケットイン」とは

マーケットインとは、市場(顧客)の立場に寄り添いながら、市場が必要とするモノを提供していく姿勢をさします。言い換えれば、あらかじめ市場のニーズを調査したうえで、これに沿った製品を開発・提供していこうという考え方です。
市場が本当に求めているモノを開発し、提供することを重視している点に特徴があります。

マーケットインのメリット・デメリット

■ 「マーケットイン」のメリット

顧客の期待度の向上 / リピーターの顧客を獲得できる可能性
顧客が必要とする製品を提供できるターゲットとする顧客のニーズを事前に念入りに調査することで、顧客が実際に必要とするものを把握し、自社製品の開発・提供に反映できます。これにより顧客の期待度・信頼度の向上やリピーターの顧客を獲得できる可能性もあります。

売上を予測しやすい
市場のニーズを把握した上で製品の開発・提供を行うため、売上を予測しやすく、事業計画の立案にも役立ちます。さらに、市場調査の結果に基づいて顧客の層やボリュームを予測できるため、的確なマーケティング活動の実施にもつながります。

■ 「マーケットイン」のデメリット

必ずしも大きな売上が得られるとは限らない。
マーケットインでは、顧客が必要とする製品の提供を最重要課題に設定します。そのため、ある程度の売上は期待できるものの、斬新な製品・画期的な製品として世の中に大きなブームを巻き起こすほどの大きな売上が見込める商品の開発は行いにくいです。

他社に類似製品を開発されるリスク
独自の技術を必要としない製品は、参入障壁が低いため、他社が類似製品を開発し、競合となるリスクが常に存在します。さらに、競合が自社製品の弱点を克服した改良製品を販売した場合、市場シェアを奪われる可能性も高くなります。
このリスクを回避するためには、単なる製品開発に留まらず、市場調査・分析を継続的に実施し、常に市場ニーズを把握することが重要です。

自社のイメージが揺れ動くおそれ
顧客に寄り添うことは企業にとって重要ですが、その姿勢が自社のイメージを揺るがす可能性も秘めています。新規顧客獲得には効果的な施策も、既存顧客の離反に繋がる恐れは常に存在します。

少額短期保険会社 開業時の考え方

マーケットインでは「売れる商品を作る」というアプローチが主流ですが、一方でプロダクトアウトでは「良い商品であれば売れる」という観点が中心にあります。この点において、両者には大きな違いがあります。

さらに、マーケティング(自社の製品が市場で売れるように仕組みを構築すること)との関係性から見ると、マーケットインの方がプロダクトアウトよりもマーケティングの概念に近いと言えます。

少額短期保険会社を開業し、まず最初に販売する商品としてはマーケットインを重視したミニ保険を提供することで、計画的な事業展開が可能と考えられます。

また一方で、少額短期保険は保険会社と比較して短期間で商品化できるメリットがあります。これまでにもコロナや熱中症など、時代と共に変化する人々のリスクに対処する保険を生み出し、話題となりました。世の中を見て「こんな保険があったらいいな」を実現できる業界でもあると考えます。


お知らせ

弊社は、グループ企業である株式会社justInCase​​での少額短期保険の運営実績や、保険業界における多数のシステム提供実績​​を活かし、企業の少額短期保険事業立ち上げをサポートする新事業「少短設立Navi」を開始いたしました。
少額短期保険設立に関するご相談・お問い合わせがありましたら、ぜひお気軽にお声掛けくださいませ。

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