忘れないよ、ずっと
10年前の 3月11日の朝、5時37分。
厳かな声が聞こえた。
あれは、何だったのだろうか。
切迫早産の恐れがあって、病院に入院して
24時間点滴をしていた私が見た、朝方の夢。
病む人の苦しみを知り、横たはる人の悲しみを知り、
その中で なほ光り輝く 強き美しい魂を知る。
何をせずとも為せぬとも、ただ生きる事への感謝と
尊敬と慈しみを持つことが 今の己に出来る役割。
様々な困難から逃げず、受け止め 受け入れたる
数々の崇高な生命と向き合い、教えられたる
愛の何たるかを 知るべし。
あの日の地震の後、妊婦さんはテレビを見ないで、新聞も読まないで と
情報が遮断された中で、心から祈るしか無かった。
どうか、無事で居て欲しい。
どうか、もう一度、声を聞かせて欲しい。
そう願いながら 10年の月日が経ってしまいました。
あの日から、あなたは 私のピンチの度に 夢の中に現れて、
泣き言を言う私を慰め、励まし「大丈夫、大丈夫」と
背中をさすってくれましたね。
助けられなくて、本当に ごめんね。
もしも あの時、あなたに知らせる手段があったら、と
物理的に不可能な もしも、もしも を繰り返している私に
「もう、そんなに自分を責めるんじゃないよ。」と
つい3日前も 夢に出てきてくれた。
「私のこと、恨んで無い?」と聞いた私に
「どうして恨む事があるの? 恨まれるようなこと、して無いじゃん」と
笑顔で言ってくれた。
ずっと胸を押し潰していた悲しい思いが、ちょっとだけ溶けた気がしました。
息子は 震災の年に生まれました。
息子が生まれたことが 震災を忘れないこと、あなたを忘れないこと
一生懸命、生きていくことを 私に教えてくれているのかも 知れません。
忘れないよ、ずっと。これからも。
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