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「HOWありきの相談」を真に受けるな!-課題設定という組織開発の出発点‐

こんにちは、こがねんです。メガベンチャー人事で「組織開発」をしています。

noteっていいですね。シンプルで書くことに集中できるUIですし、twitterとの相性が抜群で反応をもらえることがわかっているから書くこと自体楽しいですし。ハマっちゃいそうです。

そんなわけでだんだん慣れてきたnoteですが、いま現在はtwitterのこちらの投稿「組織開発の何が知りたいですかー?」とフォロワーみなさんにお訊きして、いただいたテーマに答えていくスタイルで運営しています。

そんな中で、今日ご紹介するのはこちらのおハガキ。ツイッターアカウントは大原一峰さんからいただいたテーマです。

「ビジネスに効く組織課題の分析/設定 ~経営陣やmgrからのHowありきの相談内容をそのまま受け取るな!~」

ということで「組織開発」の出発点である「課題設定」についての対処方法についての記事のご提案をいただきました。(大原さん、ありがとうございます!)

大原さんは僕のtwitter師匠みたいな存在で今の僕があるのは全部大原さんのおかげでいわば僕のtwitter師匠みたいな存在の方です。(小泉進次郎構文、初めて書いてみましたが何か言ってる風になるの本当にすごい)

他の方からは「こんなテーマで書けますかね?」という投げかけが多かったんですが、大原さんからは本質かついきなり具体タイトルでのご提案をいただいたのでほぼそのままのタイトルでお送りしたいと思います。笑

組織相談は「Howありき」でやってくる

「課題設定」の話に入る前にまずタイトルにもある「組織相談」の話をしたいと思います。

人事部門で全社の人材開発・組織開発をやっている仕事柄、こんな相談を受けることが多いです。

「メンバーの主体性が足りないから主体的になる研修をしてほしい」
「ロジカルな人が少ないからロジカルシンキングの研修をやってほしい」
「組織に一体感がないから合宿をしてほしい」

いかがでしょうか。お気づきになりましたでしょうか。

そうなんです。どの相談も最初から「HOW(解決方法)ありき」の相談なんです。しかも起こってることにそのまま対処しようとしていているところも特徴的ですね。「主体的になる研修」ってどういうこと?笑

「HOWありき」の組織相談って本当に多いです。経験上ほぼ100%の確率で相談事は「HOWありき」です。人の問題は「研修というHOW」、組織の問題は「合宿というHOW」の相談から入ることがほとんどです。

でも実際問題、結局どんな具体的な打ち手を打っていくかという話になる段には「研修」「合宿」という解決策になることが多いのも事実です。

ではいったい何が問題なのか。その答えは「HOW」の話に入る前のずっと前の段階にあります。

本当の問題は「目に見えづらい」

突然ですが、みなさんは「氷山モデル」をご存じでしょうか。

「氷山」とはあのタイタニック号がぶつかった「氷山」、海に浮かぶ氷の塊のことです。(「タイタニック」・・・あれは名作でしたね、好き)

「氷山の一角」なんて言ったりもしますね。「今回の件はまだ『氷山の一角』だ」みたいに表面に現れたのは大きな全体の一部でしかないことを言い表すときに使ったりします。

「氷山モデル」はこの「氷山」をフレームワーク化したものでこんな図で表されます。

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「氷山」は「海上に見えている部分」は10%程度90%の大部分は「海中に沈んで目に見えづらい」状態で海に浮かんでいます。

この「氷山」になぞらえて「物事の本質は目に見えづらいところで起こっている」「目に見えやすいことだけに注目していると本質を見誤る」ということを表しているモデル図です。

「組織開発」ではこのフレームワークを使って「目に見えやすい問題」の裏側には「目に見えづらい複数の原因」、そして「基本、目に見えない真因(本当の原因、本質的な原因)」が隠れていると考えます。

「課題設定」は「氷山を下る」

「組織開発」における「課題設定」のときにはこの「氷山モデル」を下に下っていくことが重要です。

問題の裏側には「直接的な原因①」があり、さらにその「原因①」を生み出している「原因②」があり、その「原因②」を生み出す「原因③」があり、一番深いところには「真因」があって、これを可視化・特定していくことが求められます。

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例えば「組織に一体感がない」という「問題」の裏側には「関係性が不十分」という「原因①」があり、それを生み出しているのは「お互いのことをよく知らない」という「原因②」であり、さらにその下には「お互いを知るほど一緒に向かうゴールの話ができていない」という「原因③」があり、それを支えているのは「組織のゴールを部門長が提示していない」という「真因」があったりします。

この事例でいえば「組織に一体感がない」から「合宿をして一体感を高めよう」という解決策(HOW)がいかに的外れかわかっていただけると思います。「その前に部門長がゴール示す方が先でしょ」となるということです。

このように「組織開発」の「解決策」に入る前の「課題設定」の段階では丁寧に「氷山を下る」ことが大変重要になってきます。

「ゴールデンサークル」で解決策を整理する

さて「氷山を下る」ことで組織開発における「課題設定」ができました。

次に「解決策」に入っていくわけですが、ここでもう1つのフレームワークを使います。

またまた突然ですが、みなさんは「ゴールデンサークル」というアプローチをご存じでしょうか。

こちらも「氷山モデル」に負けず劣らず大変重要なフレームワークになるので是非知っておいていただきたいのですが、そのためにはこちらの動画を見ていただくのが一番です。(たった17分ですごい学びがあります)

なぜAppleが革新的であり続けたか。マーチン・ルーサー・キングが革命化になれたか。その理由は優れた企業、優れたリーダーは「WHY(なぜやる)」「HOW(どうやる)「WHAT(なにをやる)」の3つの要素を伝えるときに、内側の抽象的な「WHY」から始めて、外側の具体的な「HOW」「WHAT」に向かって伝えていく、ということです。

人と組織を動かすのは「WHAT(なにをやる)」「HOW(どうやる)」ではなく「WHY(なぜやる)」です。

仕事では企画ストーリーを作るときに活用できます。「WHY(企画目的・解決したい課題)」「HOW(解決の方向性・大まかな手順)」「WHAT(具体的な施策・ファーストステップ)」という風に大きな話から具体策に繋がるストーリーを整理することができます。

この活用方法がそのまま「組織開発」にも使えます。

「WHY→HOW→WHAT」の逆三角を下る

「ゴールデンサークル」を「組織開発」に使うときには「丸」ではなく「逆三角」でイメージします。最も大事な大きな話である「WHY」から話を始めて「HOW」「WHAT」と具体的で細かい話に落ちていくイメージがしやすいからです。

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この「逆三角」も「氷山」と同じように下りていきます。「WHY」から「HOW」「WHAT」とこんな感じにです。

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さきほどの事例で言えば「課題」は「組織のゴールを部門長が提示していない」という「真因」によって「組織に一体感がない」という「問題」が生み出されていたのでここが「WHY(なぜやる)」になります。

「WHY」=組織のゴールを示して一体感を生み出したい

じゃあ次はそれをどうやって実現するか。お待たせしました。ここでようやく「HOW(どうやる)」の話になるということですね。

「HOW」を考える上では「進め方の方向感」や「大まかな流れ」を「複数の打ち手」に落とし込むことが重要です。

さきほどの事例で言えば「まずゴールを提示が大事だな」「示し方は朝礼・キックオフイベント・合宿などがありそうだな」「いきなり示す方がいいかな、それとも皆の意見を吸い上げてからにしようかな」「誰から合意形成していこうかな」などを考えてこれらのパーツを整理します。ここでは

「HOW」=①マネージャー陣とゴールの合意 ②キックオフイベントで組織全体に提示 ③合宿でメンバーに自分事にしてもらう

と整理したことにします。

最後の「WHAT」は「HOW」の具体詳細を決めます。

「WHAT」=①のマネージャー陣とゴールの合意はいつどの会議でやる ②のキックオフイベントはいつどれくらいの尺でやる ③の合宿は期が始まって中間くらいでやる

といった施策の具体的な内容を決めていきます。

これが「ゴールデンサークルの逆三角を下る」というアプローチになります。

「氷山」を下り「逆三角」を下ると・・・

ここまでの話をまとめますとまず「HOWありき」の相談を受けたら「問題は何か」「原因は何か」「真因は何か」という「氷山を下り」ます。

そして「真因」までたどり着いたらこんどは「WHY(なぜやる)」「HOW(どうやる)」「WHAT(なにをやる)」の「ゴールデンサークルの逆三角を下り」ます。

絵にするとこんな感じです。

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でもこれではお伝えしたいことが十分伝えられていません。

先ほどの話を思い出していただきたいのですが、「氷山モデル」の一番下の「真因」がそのまま「ゴールデンサークル」の一番上の「WHY」に繋がっていくことを考えると、この2つは相互に関連しています。

そのイメージを図で表すとすると、もう少し2つの図を近づけてみるといいのかもしれません。

こうやって、こうやって・・・

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よいしょ、よいしょっと・・・

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どっこいしょ!おー!入った!入った!

そうそうこの「真因」と「WHY」が重なって2つの図が1つになった状態こそ今回お伝えしたかったイメージって・・・これはまるで「ソフトクリーム」じゃありませんか!!

いやー今日も決まりました。決まり手は「ソフトクリーム」「ソフトクリーム」でした。(相撲!)※粗品がツッコんでるイメージで

おあとがよろしいようで。

さいごに

ふう。ということで、またやってしまいました。おでん」「ハンバーガーがウケたので調子に乗って「ソフトクリーム」やってしまいました。でも今日も書いてる本人は大真面目です。

その証拠にタイトルにある「HOWありきの相談を真に受けるな!」の意味もお伝えできたんじゃないかと思います。「ソフトクリーム」の「HOW」の位置をご覧ください。コーンの真ん中ですよね。ソフトクリームはコーンの真ん中から食べないですよね。上からなめていきますよね。コーンの上のソフトクリームをなめおわってから、コーンの上の方とコーンの中のソフトクリームを食べて、ようやくコーンの真ん中、つまり「HOW」にたどりつきますよね。「HOWありきの相談」はする人も真に受ける人も「ソフトクリームをコーンの真ん中から食べ始めようとしている」ようなもんです。そんなのは許されることではないですよね?どうでしょうか?お伝えできたでしょうか?そうですか!よかったです!(なんだか押しつけがましいし、この段落だけ文字量が多いし、うっとおしい)

さて、ちょっと気を取り直して、今日お伝えしたかったのは「組織相談」というものは「HOWありきでやってくる」ということ。「HOWの前にWHYを考える必要がある」ということ。「WHYを考えるにあたっては目に見えやすい問題だけでなく目に見えづらい問題・真因まで深堀りしてなぜやるかを考える必要がある」ということ。そのためには「ソフトクリーム」を頭に思い浮かべること。でした。(結局ソフトクリームの話)

もうすぐ夏ですね。ソフトクリーム食べたいですね。

それでは、また。

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