疑問2 本当に災害は増える&強くなるのか?問題
今回参考にしたサイト、感想
●図1 気象庁 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化
▶全国(アメダス)の1時間降水量50mm以上、80mm以上、100mm以上の年間発生回数
全国の降水量、気温、降雪量の変化をグラフで見ることができます。
今回取り上げた雨もそうですが、猛暑日や冬日の数の変化もげげーとなります。
●図2 大気中の水蒸気量増加に伴う積乱雲変化の図
▶DOJIN選書090 極端豪雨はなぜ毎年のように発生するのか
~気象のしくみを理解し、地球温暖化との関係をさぐる~
川瀬宏明 184ページ
タイトルの通り、気象の専門家で気象予報士でもある著者が極端豪雨について丁寧に解説し、温暖化との関係を整理してくれています。
イベントアトリビューションについても記述があり、その点も今回参考にしました。表紙が地味でテンションは上がりませんが、内容は丁寧で分かりやすいです。
●事例 西日本豪雨
▶国土交通省資料 1.平成30年7月豪雨災害の概要と被害の特徴(PDF)
この資料には、72時間降水量が122地点で観測史上1位となったことなどが整理されています。被害の多くは警戒区域で発生していたにも関わらず、人的被害も大きかったことが示されます。極端災害の強烈さ、避難の難しさを再確認。実際避難警報が出て、自分は避難できるかしら、と想像してみても、やはりなかなか難しいよな…と感じる・・。
●事例 パキスタン洪水
▶2022年8月30日 BBC News Japan
”全国土の3分の1が完全に水没したと、同国の気候変動相。”
「国土の3分の1」って!!もう本当に衝撃的。逃げ場がなさすぎる。
▶2023年8月1日 めざまし8
倉田アナが現地取材 大洪水から1年… パキスタン「忘れられた被災地」で暮らす人々 奪われた“生活”と“命”【FNSチャリティキャンペーン2023・前編】
▶「忘れられた被災地」パキスタン マラリア160万人 洪水が生む“感染症の恐怖” 貧困で加速する“児童婚”【FNSチャリティキャンペーン2023・後編】
パキスタンの洪水は知っていましたが、今回描くにあたり改めて調べて見つけた記事です。たくさんの写真を添えて現地の状況をレポートしてくれていて、是非多くの人に読んでもらいたいです。
被災地では1年以上水の引かない場所が多くあること、
家族や仕事、家を奪われて貧困に苦しむ人たちがいること、
5歳以下の子供の9人に1人が、重度の栄養失調になっていること、
貧困から家族を養えないために児童婚が増えていること、
その苦しみを自分ごととしてまるまる感じるには自分の想像力が乏しいけれど、4歳と0歳の子どもを持つ者として、胸が苦しくなります。
「あなた方のように裕福な人たちが、不自由なく食べられて、私たちが食べられないのは正しくありません。…でも、仕方ないですから。」
温暖化の原因をつくったのは先進国。
「気候正義」という言葉がありますが、今すでに大きな被害を被っている人の多くが二酸化炭素の排出をほとんどしてきていない人たちです。
気候正義についても今後取り上げられたらと思っています。
●事例 欧州熱波
▶2023年7月11日 ロイター 昨夏の欧州熱波、6万人超が死亡か 地中海諸国で顕著
”学術誌「ネーチャー・メディシン」に掲載された調査報告によると、昨年5月末から9月初めにかけて欧州35カ国で6万1600人超が死亡したとされる。”
6万人って!!どこまで間接的なものを含めているのか不明だけど、遠因になっている程度だとしたってちと多すぎやしないか!!
▶2023年5月23日 ロイター
アングル:再び干ばつの夏か、気候変動による不作に直面する南欧
”昨年の猛暑が原因となった干ばつについて、欧州連合(EU)の研究者は少なくとも過去500年間で最も深刻だったとしている。”
猛暑が干ばつを引き起こす。農業への影響も深刻。
食糧を輸入に頼っている日本にとって今後深刻化する干ばつは脅威だと思う。子どもたちが食うに困る世界が来るのではないかと非常に不安。今のうちからサツマイモの栽培でも始めるか・・・!
●事例 カナダ山火事
▶2024年4月11日 ロイター
カナダ、今夏も森林火災多発の恐れ 春夏の高温予想で政府が懸念
”昨年はカナダ史上最悪の火災発生を記録。6600件を超える火災により年平均の約7倍となる1500万ヘクタールが消失。”
上のマンガでは山火事と温暖化の直接的な関係は描き切れていませんが、高温や少雨により乾燥が進むことで山火事が発生しやすくなるようです。
以下の記事にもその言及があります。
▶2023年9月17日 朝日新聞デジタル 時々刻々 世界の山火事による森林焼失、20年で2倍近くに 温暖化の影響濃く
●イベントアトリビューション
イベントアトリビューションの記述については以下の書籍などを参考にしました。
▶Newton別冊 地球温暖化の教科書
意外とサクッと読みやすい温暖化の教科書。
イベントアトリビューションの記述以外も色々参考になります。
なお、セミナー受講はできなかったのですが、いろいろな書籍で引用されている西日本豪雨のイベントアトリビューションを行った今田さんのセミナー資料があったのでこちらも見てみました。ちょっと難しくて(かつ解説がないので)よく分からない部分もありますが、参考になります。
▶2024/2/5 第10回 S-18セミナー 東京大学大気海洋研究所 准教授 今田 由紀子「イベントアトリビューションの概要&西日本豪雨の事例」
ついでに、この今田先生のインタビュー記事もあったのでご参考まで。
▶「2023年の夏の猛暑はまだ序盤」危惧される子どもたちへの影響と未来
インタビュー記事の中の、
”近い将来のデータを見ていると、近年の猛暑はまだ序盤なんです。国際的には産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑えることを目標としていますが、1.5度で食い止めたとしても今よりひどい状況になるのは間違いないと科学的に証明されています。”
という研究者の発言には子どもを持つ親として、ぐぬぅ…となります。
●取り上げた事例に関するイベントアトリビューション
なお、今回取り上げた事例はいずれもイベントアトリビューションによって温暖化の影響が認められたとされるものです。
以下がその影響程度について記載されている記事です。
2023年8月23日 日経新聞
カナダ山火事の発生頻度、気候変動で2倍に 欧米研究:日本経済新聞
2023年7月25日 朝日新聞デジタル
熱波 7月の欧州・北米の熱波、温暖化なしに起こりえず 国際研究チーム
2022年9月20日 国際農研
パキスタン洪水における気候変動の役割
●次回予告
さて、ここまでで温暖化により、気温の上昇と災害の激甚化が起きていることが確認できました。次回は、その地球温暖化が本当に人間のせいで起きているものなのかどうかを調べてみたいと思います。
私はそうだと思ってはいるけど、懐疑論も色々あるようなので、一応そういわれている根拠を知っておかないとね。
ではまた次回!
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