ちゃんとしてるんです
うちの元保護犬の甚兵衛さん、「ちゃんと」してるんです。
秋田県の田舎でちょっと変わり者のおじいちゃんがいて、家にやってくる犬にご飯をあげている。
あまりに数が増えると近所の人が保健所に通報が行って何匹かは捕獲されるけど、捕まらなかった犬が仔を作ってまた増えて……。
な感じのループがあって、捕まった犬のうちの一匹ってのが甚兵衛さんの出自らしいです。「野犬」というには人の手が入っているので「半野良」だったと言うのがふさわしいのかもしれません。
うちは一般的な「しつけ」らしい躾はしていません。
遊びや普段のコミニュケーションの繰り返しで自然に覚えたことはたくさんありますが、トレーニング的な事をしたことがありません。
そんな必要もないほど甚兵衛さんが出来る漢だったから、躾は必要ありませんでした。
ちゃんと待てます
マテの声掛けもかけませんし、教えても居ませんが「食べていいよ」と声をかけるまでご飯は勝手に食べません。初めの頃は袋から食器に移しているときに確認に来ていましたが、そのときも特に制止しなくても食べませんでいした。
茹で卵やヨーグルトをトッピングしたご飯が大好きですが、どんなに大好物でも「いいよ」と言うまで勝手に食べません。
うちはローテーブルで床に座って食事をしているので、甚兵衛さんから届くところに人間のご飯があります。あげても良いものを人間の手からお裾分けすることはありますが、テーブルに足をかけて勝手に食べることもありません。
ちゃんと外で用を足します
これが良いか悪いかは意見が分かれるところですが、うちでは「良いこと」にカウントしています。雨でも雪でも、排泄が終わるまで散歩も終わりませんが、人間だって自分の寝室や居間ではしたくありませんよね。
ちゃんと判断してます
持ち前の職人気質で熱心に破壊工作を行いがちですが、おもちゃとしてもらったもの、自分のものと認識しているものしか壊しません。
やわなおもちゃはあっという間に木端微塵にされますし、頑丈なことでは定評があるシリーズのぬいぐるみも、耳や手がぼろぼろ、甚兵衛さんコーナーに敷いてあるラグもいつの間にか西部劇の登場人物が着ている服みたいにフサフサにされていましたが、ソファやテーブル、玄関マットや靴などには手を出さなくなりました。
人間の靴を齧っても厳しく怒ったり、叩いたりは全くした事は無くて、逆に「すごいねぇ!」なんて感心していたくらいですが、自然と人のものは壊さなくなりました。なんでだろ?
ちゃんと順番待ち出来ます
今年に入ってやっとソファに登れるようになった途端に、お気に入りスポットになっていますが、人が座っていたり寝転んでいるときには乗ってきません。トイレに立った隙きにちゃっかり場所取りしています。
ちゃんと懐いてます
お迎えした当初はケージから出てこず、散歩も隙きあらば逃げ出そうとしていて毎日ヒヤヒヤしていましたが、不思議なことにケージの中にいる時はどこを撫でても触っても大丈夫。
そんなこんなで今ではあごのせして寝てくれますし、帰宅時にはしっぽフリフリで出迎えてくれます。
まだまだ「ちゃんとしている」ところはありますが、一緒に暮らしていてこんなに手がかからないとは想像もしていませんでした。保護犬だって時間はかかっても信頼関係が出来ればちゃんと懐いてくれます。
実家では洋犬の純血種と暮らしていたカミさんの導きも大きかったとおもいますが、縁あって一緒に暮らしている甚兵衛さんが、不自由なく、のんびり暮らしてくれると良いなあ。
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