一過性脳虚血発作で入院したお話③

前回は入院が決まったところまで。

はじめての入院

入院自体が始めてなので、何から何まで初めて尽くしで戸惑うことが多かったです。救急車で搬送されてきて、家族も駆けつけた形のため全く準備がなかったので、家族には一旦家に帰ってもらい、カミさんに着替えその他モロモロの入院セットを準備してもらうことにしました。

家族が一斉に帰宅した後、自分や病室の様子を観察する様子も出てきました。

下着は自前ですが、パジャマはレンタルのものを借りました。
左腕にはリストバンド。名前や生年月日、バーコードなどが印字されてました。
24時間の点滴。また、トイレも含めてベッドから降りる際は「必ず」ナースコールで看護師さんを呼ぶように注意がありました。
点滴をしているとおしっこが近くなるので、忙しそうな看護師さんを呼ぶのは申し訳ない気もしましたが、転倒などの事故よりは付き添いの方が良いのかな?と思いました。
点滴がつながっている状態でTシャツは着替えづらいのも解りました。

病室は脳神経外科病棟のナースステーションの目の前。ドアは常時開放。

手術後、ICUから出た直後で目が離せないとか、何か特別な事情がある等、訳あり患者が集められている4人部屋の、ドア前のベッドです。看護師さんの説明では一般のベッドに空きが出たらすぐに引っ越し予定とのことでした。(実際、2日目の夕方には病室移動しました)

向かいと、斜め向かいはかなり重篤な状態で、頻繁に看護師さんが様子を見に来ていました。
隣のおじいちゃんは術後それなりの時間は経っているようですが、まだ頭の包帯は取れず、点滴、バイタルモニターはつながっていて、さらに痴呆症状が出ていてるので、ゆるく拘束されているようでした。
点滴を抜いてしまったり、色々外してしまったりと問題行動があるようで、手はドラえもんの様にグーになった状態で手袋を嵌めらていて、ベット周りには転落、脱走検出のマットが敷かれていました。

このおじいちゃん、昼夜逆転していて、最初に見た昼間は殆ど寝ていたので、「ほぼ寝たきりなのかな?」と思っていましたが、夕方目を覚ますと活動的になり、看護師さんがやってくるとアレコレと命令したり、居ないときは脱走を企んで、ほぼ一晩中ドラえもんの手でガチャガチャとベット脇の転落防止柵や物置をいじって音を立手続けで、「このまま最大3週間ここに居続けるのは、ちょっときついな」と感じていました。

スーパー看護師現る

おじいちゃんはリクエストが多く、その要求は多岐にわたるものでしたが、ふわりと捌いていく看護師さんの話術が面白かったのを覚えています。

要求その1。「食事がまずい。刺身がたべたい。」
看護師「ごめんねえ。今日は板前さんが帰っちゃったから、明日来たら頼んでみるね。」

要求その2。「刺身を持って来るように家に電話するから、携帯取ってきて」
看護師「携帯電話は板前さんのロッカーに仕舞ってあって、さっき板前さんが帰っちゃってロッカーの鍵が開かないの。明日お願いしようね。」

要求その3。「ご飯を自分で食べたいから、手袋外してほしい」
看護師「大変!手袋についている鍵を、板前さんが間違って持って帰っちゃった。明日必ず持ってきてもらうように頼んどくね。」

要求その4。「もう病気は治ったから退院したい。先生呼んで。」
看護師「さっき板前さんが、一緒に帰ろうって誘って帰っちゃった。明日にしよう。」

要求その5。「もう退院したい。家族を呼んでほしい。」
看護師「板前さんがおうちの近くに住んでて、帰ったら伝えるようにお願いしてあるから、明日来るよ。」

板前さんの万能感(笑)

もはや院長先生よりも強力な権限を持っていそうな雰囲気で、全てのリクエストを「板前さん」で躱していくので、次はどうするのか楽しみに聞いていました。

初めての病院食

片麻痺もなくなり、特にすることもないので物珍しさに病室を眺め回しているうちに昼食の時間となりました。

初入院で勝手がわからず、目の前に食事が載ったトレイを置いていかれましたが……。

画像1

お箸が無い……。

特に説明もなかったので、そのままぼんやりと待っていたら通りがかりの年配の看護師さんに叱られました。

「お箸が無いから食べられない?家から持ってきた箸は?持ってきてないなら黙ってても出てこないから、自分で言って!」

どうやら箸とお茶のコップは自分の物を用意するルールのようでしたが、「入院の手引」的な配布物には書かれておらず、口頭で言われた記憶も有りません。

救急からの流れで緊急入院となった為なのか、説明されていない事が、後々沢山発覚しました(笑)

・食事の献立表はナースステーション前に貼ってある
・夕食の主菜は選択式の日がある
・お風呂は自己申告が必要で、許可が出れば毎日入っても良い
・デイルームのお茶も許可が出ていれば飲み放題
・禁止の食材が入っていなければ、ふりかけの持ち込みOK

こんな感じで、口伝の奥義のようば文書化されていない、細かいルールが沢山ありました。特に、知らなくても困らないが、知っていれば入院生活がちょっと快適になる様なものが多かった気がします。

麺喰

自分は麺が好きなのですが、2週間の入院生活中、一度も麺に出会えませんでした。他の患者さんのトレイには麺類が載っていたのを見ていたのですが、何が理由でメニューが違うのか退院の前日まで謎でした。

退院の前日。運命の日。
最後の点滴が終わって、看護師さんに針を抜いてもらう時に

「2週間麺食べてなかったから、明日退院する足でラーメン食べに行く」

と、軽く話をしたら、

「毎週水曜日は麺の日。ナースステーション前の表にチェック入れとけば、麺が出る。チェックがないとご飯になる。金曜日は主菜が2種類から選べる。ちなみに朝食はパンかご飯か毎日選べるよ。」

と、さらりと教えられて、がっくりきました(笑)

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