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【読書感想】スピノザの診察室

今年の本屋大賞で4位を受賞した作品で、水鈴社という小さな出版社が出版していたので、以前から気になっていたのですが、今週、読了しました。

京都の住宅街の病院に勤める、医師が主人公ですが、彼の務める病院は街の診療所といった雰囲気の病院で、患者も高齢者ばかり。

完治することはない病気を抱える患者たちを診察する主人公の生活を淡々と描写しながら、彼のこれまでのキャリア、そしてなぜその診療所に勤めているのか、彼の人生の背景が徐々にあきらかになっていきます。

美しい京都の街並みと、京都が誇る甘味の数々が小説に彩を添えています。

人生にはどうにもならないことがたくさんあるけれど、決して悲観することはなく、ひとりひとりの患者がよい人生の終末を迎えられるよう、最大限の努力を続ける様子は、胸を打ちます。

暗くなりがちなテーマですが、全体を覆うユーモアが、物語をほのぼのとした雰囲気に変えています。


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