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Kenwood TS-440Sにフィルターを装着する

 前回の記事(Kenwood TS-440SをPCと接続する)で気づいた方がいらっしゃるかもしれませんが、この機種は標準ではセラミックフィルターだけしか内蔵していません。CWフィルターはおろか、SSBのフィルターが取り付けられるところにも部品が取り付けられずに空いています。せっかくなので、SSBとCW用のフィルターを取り付けることにしました。
 作業自体に難しいところは全くありません。ただ、いくつか気になるところがあったので備忘録を兼ねて書いておきます。まず、取り扱い説明書から見てみることにしましょう。

TS-440Sの取扱説明書より

まず、この説明書には誤植があります。2.で「ネジ7本をはずし」とあるのに対して、7.では「ネジ6本で固定します」と書かれています。7本のネジを外したら7本すべてを取り付けなければならないので、7.の方が間違いだということはすぐにわかるはずですが、自信がないと不安になるでしょう。
 それでは作業に入りたいところですが、もちろん工具が必要となります。プラスドライバーの1番、2番が必要です。工具は安物を使ってはいけません。ホームセンターの工具コーナーに置いているもの(ベッセル製など)を揃えてください。見かけは同じでも、使われている材質や工作精度が安物とは違いますので、ネジ頭をなめて壊したりする危険性を大幅に減らすことができます。また、ネジ頭の規格には何種類もあるので正しいものを使わなければなりません。1.で指示されている「セット上側のケースをはずします。」は本体の上部にある4本のネジ(スピーカー周りの4本は外さない)、右側面の3本のネジ、左側面の2本のネジを2番のドライバーで外します。一度も蓋を開けたことが無ければかなり固く締まっているはずです。押し付ける力を7割、回す力を3割くらいのつもりで反時計回りに回すと、外れるはずです。

上蓋を外して、スピーカーの配線を外したところ

上蓋をあけるときには、説明書に書いてあるようにスピーカーにつながっている配線に注意します。画像の左下に黄色で囲ったコネクターに接続されていますので、これを外します。また、VOX・ブレークインを切り替えるスライドスイッチのところに黒いフェルトがありますので、これも外しておきます。はずした蓋、ネジ、フェルトは散逸しないように管理してください。
 次に、2.の指示に従って7本のネジを外します。今度は1番のドライバーを使います。ネジの位置は画像の赤丸で示しました。配線の下にあってアクセスしずらいものもありますので注意してください。7本をすべて外したら、さきほどと同様に管理してください。初めに外したネジと比べると、こちらの方はタッピングビスになっていることがわかるでしょう。ネジがはずれたら、3.の指示にしたがって基板を起こします。基板につながっている配線類は外さないのがポイントです。7本すべてのネジがはずれていたら、問題なく基板が本体から浮いてくるはずです。
 ここからは部品の半田づけになります。電子工作に用いるはんだごては、セラミックヒーターのものを使います。昔ながらのニクロム線ヒーターを使ったものは、できるだけ避けてください。はんだは、電子工作用のすず60%(あるいは63%)のやに入りはんだを使うのがいいでしょう。個人で使うので鉛フリーである必要はありません。
 部品のはんだ付けができれば、次に配線の変更を行います(説明書4.から6.)。運用モードに合わせて自動的にフィルターを切り替えるために必要です。今回はSSBとCWのフィルターをとりつけましたので、4.と5.に従って白と青のリード線を付け替えました。

SSBとCWフィルターを取り付けた後

基板を7本のネジで本体にとりつけてテストをします。スピーカーの配線が外れていますので、ヘッドフォンを使うのが確実です。TS-440Sでは前面パネル右下にフィルターの切り替えスイッチがありますので、これを使って確認します。問題がなければスピーカーの端子を接続し、上蓋をねじ止めします。同様にスピーカーでもフィルターの聞き具合を確認して、問題がなければ作業終了です。
 なお、この無線機は技適が導入される前のものですので、交信するためにはJARDやTSSで保証認定を受けて無線局の工事設計を変更する必要があります。今のところは受信専用機として使います。 de JI3XOK/JM8SMO

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