見出し画像

「うつの構造」

泉谷さんの「うつ」の効用を読んでいます。

この方の考察は深いですね。

そもそも論で、人間の体の精巧さ、緻密さ、その宇宙にもにた構造について触れています。

単純にいうと、体のメッセージというのは人間のホメオスタシスの機能により正しく発されているということです。

そして唯一生き物の中で人間だけが体が発する意見と脳の意見が食い違い、脳の意見が優先されることがあるとおっしゃっています。
非常に共感します。

つまり、うつになるというのは心、そして体は嫌なのです。
だからメッセージを発しています。

しかし、脳みそがそれを制御します。

正しい、あるべきという考えから体と心を制御しようとします。
人間は、どれほど気持ちが反対を向いていようと、表情も行動も全然違ったものをとれる不思議な生き物です。
だからこそ社会構造が保たれているということもありますが、しかし、不思議な生き物です。

本来は脳と心、体が一致しているのが生物として良い状態ですが、それがなされない、主に学校や社会に出ると、どうしても自分の都合とは反対の現象に身を投じなければいけないことがあります。

そこを脳味噌で万力のように制御していき、そして数年、あるいは数十年かけて体とこ心を服従させていく。すごいなと思います。

そして泉谷さんは、むしろ生物として敏感で自己をしっかりと持っている人ほど、その服従がうまくいかず、心と体が自分のままでいるがために、脳と相反した状況が起きてしまうと言っています。

本当にその通りだなと思います。

ひょっとしたら社会は直視したらいけないのかもしれません。

気持ちよく洗脳されていく、あるいは疑問を生じさせないのが気持ちよく暮らす方法なのかもしれません。

また、泉谷さんのもう1つの主張は、人間のホメオスタシスを無視してはならないということです。
人間の構造は非常に優れたもので、自己修復機能があるというわけです。

これでいくと、鬱にみられる昼夜逆転も必要な現象であるのではないかと提言しています。
十分、十二分にその状況に体が満足するとそこから回復していくのではないかと言っています。

ここは慎重に議論されるべきかと思いますが、しかし、1つの仮説として面白いなと思います。

鬱に対して、堕落や甘えという風潮が未だある中、そうではなくはっきりとした病気と認定し、回復までの道のりを科学的に提示する人もいます。

しかし、その見極めが非常に難しく、確かに甘えの場合は、残念ですが、少しずつ苦痛はあってもエクスポージャーしていくことが必要になります。
(本人が社会活動をしたくないという場合は別です)

泉谷さんの本は今までのうつの本に加え、色々な考察を投げかけてくださった本だと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?