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総合的な探究の時間を創る(1)

おはようございます!
「教員の働き方改革と一体にした授業改善をめざすカリキュラムマネジメントについて」(1)~(7)を毎週ご高覧いただきありがとうございました!

今週からは、大阪府立東百舌鳥高等学校 校長時に、平成30年度より2年間取組んだ 国研教育課程研究指定校事業「総合的な探究の時間」2年次の実践をできる限り詳細にその理論的背景、授業で活用したワークシートも交えながら毎日曜日に更新していきたいと思います
現場の先生方の何らかの手助けになれば幸甚です
引き続き、ご高覧よろしくお願いいたします

紹介する実践は、令和2年2月5日(水)午前 旧文部省庁舎6階 第2講堂「小学校・中学校・高等学校 総合的な学習の時間①」分科会 研究協議会で資料とともにプレゼンした内容になります
本稿で紹介する授業等の様子は、東百舌鳥高校ホームページ「校長ブログ」「学びに向かう探究学習ブログ」で当時公表した写真を引用しています

「小学校・中学校・高等学校 総合的な学習の時間①」分科会は、初等・中等教育学校が対象校ですが、高校指定校2校では、平成31年度入学生より始まった新学習指導要領の先行実施(「総合的な探究の時間」「総則」「特別活動」「地歴・公民科の領土に関する規定」「家庭科の契約の重要性及び消費者保護の仕組みに関する規定」)に則り、「総合的な探究の時間」として研究・開発・実践に取組んでいます

高校においては、「総合的な学習の時間」の時代から継続して、
○ 3年生で真面目に取組ませるのか(受験勉強との絡み、単位数=授業時数を充分確保したい教科とのせめぎ合い、等)、
○ 誰が教案を作成するのか、担任が受け持つのか(HR+αと捉えられる担任の負担感)、
○ そもそも進路行事や修学旅行、学校行事、HR活動と、何でもかんでも教科目標に対して「不適切」な内容をも、「総合」に入れてしまっている
等の現状があったのではないでしょうか

これは自省を込めて振り返りをしているものです
東百舌鳥高校では、さすがに「総合」に代えて「教科の授業」をすることはありませんでしたが、進路行事や修学旅行、学校行事、HR活動と、「総合」に関連するだろうと推測で考えた内容を「総合」に入れてしまっていて、研究指定校1年目の秋に、文部科学省より 初等中等教育局 教育課程課 教科調査官が学校訪問にみえられた際に、カリキュラム・シラバスをご覧になるや「不適切」と指導・助言を受けてしまいました(一刀両断に切って捨てられました)
国研研究指定校事業での学びが深まるにつれ、教科調査官の先生の、新学習指導要領、とりわけ「総合的な探究の時間」にかけられていた強い思いに理解が深まっていきます

それでは、研究指定校2年目、「総合的な探究の時間」先行実施前年度 平成31年度入学生2年次の取組みについて述べていきます
国研指定校事業の中心を担ってくれた 稲川 孝司 先生、勝田 浩次 先生、北野 堅司 先生、福島 洋平 先生、川瀨 岳 先生、西川 英志 先生、そしてアドバイザーとして指導・助言いただいた関西学院大学の時任 隼平 先生には、SpecialThanks!です

先ず、「不適切」(一刀両断に切って捨てられた)と指導・助言を受け精一杯の改善に努めた 平成30年度の成果と課題をふまえ、
1 「主体的・対話的で深い学び」を実現する探究過程の充実
2 関連単元配列表の活用とカリキュラムマネジメントの充実
3 形成的評価法の研究・開発
の3つを研究内容としました

「探究学習」では、探究の対象が、地域(堺=東百舌鳥高校は堺市にあります)→日本(北海道=修学旅行先です)→世界(SDGs)のように広がるように設定するとともに、生徒一人ひとりが自己の在り方生き方や学ぶ意味を考えながら課題を設定することを重視しました
さらに、協働で探究に取り組むことで、マインドセットを育みながら、各教科・科目等で身に付けた資質・能力等を発揮し、理解の質を高めることをめざしました

「H31年度 GS(総合的な学習(探究)の時間)年間計画」

1.さかい探究学習 「堺市に提案!」では、地元堺市の抱える問題点から、グループで興味・関心のある課題を見付け、その解決に向けた自分たちなりのアプローチを考察しました

堺市生涯学習「まちづくり出前講座」(図1)を活用し、堺市の問題を知り、「さかいまちづくり出前講座」ワークシート(図2)で、4つの専門コース(東百舌鳥高校は普通科専門コース制の学校です)に関連させた「関心領域」から、堺市の現状・課題、未来の堺市像について考えをまとめました

堺市各機関、地域の皆さま方の協力も得て、泉北ニュータウン地域の再生について・公共交通の現状や取組について・ともに育む花と緑のまちづくり・みんなで守ろう!堺の里地里山・みんなでつくろう男女共同参画社会~男女がともに輝く堺をめざして・みんなのユニバーサルデザイン・災害に備えて・「予防救急」知ってふせごう!救急事故・「ごみ」はどこへ行くの?・燃料電池自動車(FCV)体験・堺市の産業施策について・私たちの暮らしと地域福祉・堺の子育て施策について、の13講座を開講していただきました

「さかいまちづくり出前講座」ワークシート(図2)

次に、「堺市の課題についてアプローチ(個人ワーク)」(図3)で、各自で考えた堺市の課題を、5Wで掘り下げ、「堺市の課題についてアプローチ(グループワーク)」(図4)で、各自が考えた堺市の課題について、グループで協議して一つに絞り、解決に至る取組みを検証し、自分たちの提案としてまとめました

「堺市の課題についてアプローチ(個人ワーク)」(図3)
「堺市の課題についてアプローチ(グループワーク)」(図4)

課題解決への提案と、それによって未来の堺市はどうなる??の2点を中心に、ワールドカフェ方式でプレゼンテーションし、ルーブリックで相互評価をしました

地元自治体の皆さまに支援していただき、高校生の視点から地元自治体の課題や魅力、将来像等について提案する 取組みは高校にとっても自治体にとっても、主権者教育、将来の社会の担い手育成を始めとして大変有意義な取組です
但し、福井県の先進校視察を訪問した際に課題を伺い、なるほどなぁと思いました
1,2校と少数校の取組みなら地元自治体の皆さんも対応できるが、取組みが拡がって多数の高校が参加してくるとなると自治体がまわらなくなる
また、1校だとしても、複数年にわたって継続していくとなると両者とも手詰まり感がでてくる
訪問した県立高校さんは、とても素晴らしい実践をされていて、大変参考になったのですが、担当してくださった先生は、持続可能な取組を模索されているとおっしゃっていました

次回は、2.北海道探究学習 「北海道の農村からSDGsに迫る ~北海道の農村への提案!」について
研究・開発・実践のポイントは、修学旅行を「探究の過程に位置付ける」こと
その工夫を共有したいと思っています

「総合的な探究の時間」の取り扱いにお困りの現場の先生方の何らかの手助けになれば幸甚です

何かのきっかけで、現場の生徒たちや先生方が幸せになっていくような議論が拡がればと願います

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします

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