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溶ける糸とは〜抜糸不要?

〝溶ける糸で縫ってますからね〜〟はちょいちょい言われたり聞くことがあるかもしれません。いくつかの場合が考えられます。

糸の種類

人体を縫う糸の種類ですが大きく分けて4種類。
実際に皮膚や皮下組織の縫合では3種類が主に使われます。

・吸収性のモノフィラメント
・吸収性のマルチフィラメント
・非吸収性のモノフィラメント≒ナイロン糸

https://www.jfmda.gr.jp/kikaku/17/2.html

いわゆる抜糸が必要となるのは非吸収性の糸で皮膚を縫っている場合です。

皮膚より下を縫っている場合、吸収性でも非吸収性でも抜糸は必要ありません、というか傷開けないとできないので、できません。


抜糸がいらないのは以下の2パターン

①吸収性の糸で縫ってる場合

そもそも、非吸収性の糸で通常皮膚は縫いません。刺激が強いからです。溶けるときは加水分解されて溶けますが、炎症反応が強くでます。

ですが、例外的に吸収性のマルチフィラメントで縫う場合があります。

・粘膜(口唇、口腔内、鼻腔)
・陰部(陰嚢、大小陰唇、肛門付近など)

前者は粘膜は柔らかく非吸収性のモノフィラメントで縫うと裂けやすかったり、粘膜は治りが良いので瘢痕になりづらいからです。
後者はチクチクしたりして非吸収性のモノフィラメントだと痛かったり、伸縮性に富み、粘膜に近い部分で瘢痕残りにくいためです。

瘢痕になりやすいけど、なりにくい部位で糸の柔らかさを優先したい場合に使う。という事です。

これらの部位で吸収性のマルチフィラメント使って皮膚を縫うと、治癒に合わせて1週間程度で自然に脱落してきます。残ってる場合は抜糸しても大丈夫ですし、私はします。びっくりしないように取れても傷開いてなければ大丈夫という説明はしてます。

②皮膚縫合してない場合

皮膚の下、表面より下をしっかり縫っていてズレが少ない場合やダーマボンドといって接着剤みたいなので表面をシーリングしてる場合です。

この場合も抜糸は不要となります。

②はわかりやすいですが、①のように縫っていても抜糸が必要ない場合やそういう縫合もあると知ってもらえると抜糸までも過ごしやすいかなと思います。

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