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住宅手当は不公平? 手当の存在意義とこれからの手当について考えよう。

サラリーマンをしている皆さん、毎月の給与明細にある「手当」の項目についてじっくり考えてみたことはありますか?

基本給とは別に支給される「手当」のおかげで生活が成り立っている、という人も少なくないかもしれません。

一方で、実家に暮らしているかどうかで住宅手当(家賃補助、社宅など)の有無が決まったり、子どもがいるかどうかで家族手当の有無が決まることを不平等だと感じる人もいるでしょう。

今回は、手当の性格をよく考えた上で、これからの企業が整備すべき手当について考えていきます。

(執筆:ミッションパートナー ちひろ)

▼手当について考えるシリーズ
(前編)家族手当は不公平? 手当の存在意義とこれからの手当について考えよう。
(後編)フルリモートの会社が整備すべき手当を「平等」の観点で考える。

手当の存在理由って何なんだろう

基本給を高くするのではなく、手当として別に支給するのには何か理由があるのでしょうか?
手当の種類を見ていくと、その理由が少しだけ見えてきそうです。

まず、法律で支給が義務付けられている手当として、時間外手当、休日手当、深夜手当があります。

そのほかにも住宅手当、技能手当、家族手当、地域手当など、様々な手当が存在します。

一度、ご自身の会社の就業規則を見てみてください。
誰を対象に、どんな手当がありますか?

手当の多くが「特定の誰かのみを対象としている」ことに驚くかもしれません。
「あると助かる」「あると不公平」と、どちらの声も聞かれる中、手当はなぜ存在するのでしょうか?

少し古い資料ですが、賃金における手当の存在理由を考察した論文がありました。

なぜ賃金には様々な手当がつくのか/日本労働研究雑誌 2009年バックナンバー|労働政策研究・研修機構(JILPT)

ここで、手当の機能による分類表がありましたので引用します。


機能ごとにまとめると、
・基本給ではカバーできない「大変」「責任」「危険」「頑張った」などの項目を補填するため
・会社の命令による転勤や通勤の負担を補填するため
・より良い仕事をしてもらうための資格取得支援のため
・養うべき人が多い社員の生活費を助けるため(家族手当・住宅手当)
などと言えます。

この中で、特に「家族手当」「住宅手当」は不平等感が出やすい項目としてよく挙げられます。

論文の中では、大正時代にまでさかのぼって家族手当の歴史が書いてありました。

当時、戦争などで物価が高騰し、家族のいる社員の生活が苦しくなったため、家族手当を採用する企業が増えたそうです。
まだ公的福祉の制度も未熟な中、会社は人々にとって第二の家のように機能していたのかもしれません。

みんな苦しいけれど、より大変な状況にある人が働き続けられるよう、会社が面倒を見る。
その見返りとして、社員はその身を会社に捧げる。
このような図式が成り立ち、のちの終身雇用制度に発展したとしたら、うなずけます。

また、社宅方式など、企業にとっても社員にとっても節税になるといったメリットのために採用されている手当もあります。

これからの手当

今の時代は、大正時代とは大きく状況が異なります。

貧富の格差による相対的な貧困は日本でも大きな問題ですが、公的福祉も整備された今は、昔ほど絶対的な貧困(生命の維持が困難な状態)に陥ることは少なくなりました。

終身雇用制度も崩壊しつつあり、かつての名残として存在する「手当」のあり方も徐々に見直されています。

家族のあり方が多様化する社会においては、結婚や出産を前提とする「家族手当」だけでは支給対象にならない人たちもいます。

リモート勤務が増える中で、住宅手当の存在意義も見直されるべきでしょう。

その分を一律で支給し、社員に自由に使ってもらうほうが、彼らの生活をより快適にすることができる可能性も大いにあります。

では、どんな手当ならすべての社員が平等にメリットを得られるのでしょうか?
手当は全部廃止して、全額給料に上乗せすべき?

いえいえ、手当はうまく使うと、社員にも会社にも節税対策になるのです。

次回はフルリモートフルフレックスで、誰もが対等・平等に働ける環境を作っているJPTの手当について紹介します!

→次回「フルリモートの会社が整備すべき手当を「平等」の観点で考える。」へ続く。


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