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縁もゆかりもない場所に移り住もうと考えた時に決めた「選定基準」

時代は変わった

コロナ禍の影響で、東京から地方への移住を検討している人がいらっしゃる、というのをニュースで目の当たりにした。確かに、毎日ニュースで新規感染者数の日本地図を見ていると、東京だけ数字が突出している。確かに、どうしても勤務先に出社しなければならないという事情がない限り、東京に住まなければならない理由はないだろう。事実、私自身は3月からテレワークに移行して約半年経過したが、新橋にある勤務先に出社したのは3回。仕事が終わってふらりと立ち寄るのは、家から歩いて行けるスーパーマーケットになった。生活の変化も相まって、寄り道用として入会していたルミネカードを解約したほどだ。

私は2008年2月から茨城県つくば市に住んでいる。まさかこんな感染症が広がるなんて思わなかったが、今振り返ってみるとずいぶん振り切った決断をしたものだと思う。そして、つくばに移住していてよかったと実感している。

移住を考えたきっかけは熱帯夜だった

私が東京からの移住を考え始めたのは2004年だった。入社して3年目になる直前、住んでいたアパートの契約更新時期を迎えていたことと、結婚を控えていたこともあり、武蔵小山から足立区にある竹の塚に引っ越した。新居を約30年強のUR団地だったので相場と比べて格安の家賃だったことと、日比谷線直通列車の始発駅だったことが決め手だった。

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竹の塚がどういうところかは何となく理解はしていた。ただ当時私は20代。結婚を前後するタイミングで、お金を節約することを優先した。確かに物価が安く経済的に助かったのは想定通り。治安もある程度想定通りだった。想定以上だったのが、夏の熱帯夜だった。夏の暑さは慣れっこだとばかり思っていたのだが、夜になっても一向に気温が下がらないのにはさすがに参ってしまった。このままでは東京には住めないかもしれない、そんな思いが頭をもたげつつあった。

衝撃だったつくばエクスプレス

そんな状況で迎えた、2005年8月24日。東京・秋葉原と茨城県つくば市を最短45分で結ぶ「つくばエクスプレス」が開業した。毎日北千住駅を通過する私にとっては、毎日のように「まもなく開業!」と目にしていた。元々鉄道好きな私。どちらかというとプチ乗り鉄な私。思い切ってつくばエクスプレスの快速つくば行きに乗車した。乗ってすぐ、衝撃を覚えた。加速がすごかったのだ。利根川を渡り、守谷駅を過ぎると何かにとり憑かれたように疾走する快速つくば行き。車両はどこからどう見ても通勤列車。でも加速は新幹線なのではないかと錯覚するほどの速さ。大学3・4年の2年間、実家から新幹線通学だった私だったので速い列車には慣れていたはずだったが、それでも衝撃的だった。つくば駅に着いた時、しばらくぼーっとするしかなかった。

「これなら、通えるかもしれない」

家に帰って妻に打ち明けるとびっくりされたのは言うまでもない(今でもネタにされるほどである)。後日、休みの日に妻と一緒につくば駅まで乗り、観光をしてみた。

「これは、アリかもしれない」

移住先を決めたポイント

移住先を決めるにあたって、私自身が判断基準としたのがこの4つだった。優先順位の高い順で並べてみた。

(1) 始発列車が設定されていること
笑われてしまうかもしれないが、そこそこちゃんとした理由があった。移住を検討している頃、私は人事で採用・育成を担当していた。休日出勤まではなかったが、22時までの残業は当たり前、ピーク時には深夜タクシーが度々あった。(勤務先から最も遠い)つくば駅から勤務先までドアツードアで最短1時間30分ほど。駅から徒歩移動となるとさらに時間がかかる。移動時間は睡眠時間としたかったのだ。当時、つくばエクスプレスで始発駅が設定されていたのは八潮・守谷・つくばの3駅(記憶が正しければ)。

(2) 自転車があれば何とか生活していけること
これは自家用車の維持費を払うことを避けたかったからだ。茨城県は車社会だが、週5日は都内に通うわけだから、車が稼働するのは最大で週2日。週2日のためにお金を使うぐらいなら、少々不便でも自転車で生活できる環境であることを重視した。幸い、(1)で書いた3駅とも駅の周辺には商業施設が揃っていたので、問題なかった。

(3) 休みの日に楽しく生活ができること
これは「ただ単に寝に帰る場所」にしたくなかったからだ。せっかくローンで家を買うと決めた以上、休日もそこそこ楽しめるようなところがベストだ。八潮なら都心が近いので都心に行けばいい。つくばは研究機関の見学施設やつくばエキスポセンターがあり、知的好奇心は満たせそうだった。守谷はショッピングモールやビール工場はあるが、他の2か所と比べるとちょっと弱いと考えた。

(4) モスバーガーとミスタードーナツがあること
これは完全に私自身の趣味の世界だ。私はモスバーガーとミスタードーナツが好きで、独身時代、お茶をするなら優先順位が最も高かったのがこの2つだった。移住するとはいえ、私自身にとって心地よいと思える環境があればなおよし、ぐらいに考えていた。


私は上記の基準で、妻は妻の基準で考えてすり合わせた結果、最終的につくば駅周辺に住むことを決めたのだった。で、実際にどうだったのか?はまたいつか。

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