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インターン体験記(Yさん)

これまでの人生を振り返ると、この団体と深く関係するフィリピンとの接点はほとんどなかった。そんな私だが、2024年春、JFCネットワークでのインターン活動を通して、日本に住むフィリピン人やJFC (Japanese-Filipino Children)、彼らに関係する問題、また彼らに対する支援について学ぶことができ、非常に良い経験になった。
 以前から日本における多文化共生に興味を持っており、大学でそれに関する授業も履修していたが、その授業の講師とJFCネットワーク事務局長・伊藤里枝子さんが知人同士であると知り、驚いたと同時に今回のインターンシップが自分にとって必ず学びがあるだろうと確信していた。
 インターンとしての主な活動内容は、JFCの子どもたちが日本で国籍を取得するために必要な書類の日本語翻訳である。翻訳する書類には出生証明書や婚姻歴証明書、妊娠中のエコー検査の記録などがある。特にJFCの母親による陳述書にはフィリピン人の母親が日本人の父親と出会った経緯からJFCを育てる苦労までが記されており、JFCの現状や課題を理解することにつながった。また、職員の方々が常にJFC本人やその母親、法的支援を行う日本全国の弁護士らと連絡を取り合っていたり、法的支援や生活サポートの一環でタガログ語や英語の通訳をしていたりする様子を見て、自分以外の業務からも支援の実態を知ることができた。
 事務所の中はいつも温かい雰囲気で、作業中にみんなで冗談を言い合うことも多い。毎回その日に参加しているメンバー全員でひとつのテーブルを囲んでランチを食べ、ときおり職員の方がフィリピンの食べ物を持ってきてくださることもあった。インターン期間中、職員の方が持ってきたフィリピンのデザート・ビコを私は生まれて初めて食べた。また、ランチを食べながら、JFCネットワークが扱うさまざまなケースを過去のものも含めどんなことがあったのかを教えてくださり、事務所にいる時間はずっと新鮮に感じられた。
 そんな柔らかくユーモア溢れる事務所だが、向き合っているのは非常にシビアな問題であり、そこには大きなギャップがある。自分の子どもであるのに受け入れることなく連絡を取り合おうとしない日本人の父親や、貧困でありながら家族へ送金するJFCの存在が活動において当たり前のように登場するのが衝撃的だった。
 このインターンをしていた2か月間を終えて私が強く感じているのは、日本における外国人への直接的支援の重要性である。JFCの国籍取得や生活サポートのためにランチタイム以外はメンバー全員が忙しく、事務所で過ごす以外の時間も支援を行っているのを見てきた。さらに、古着を集めて必要な人にあげることもあり、さまざまな支援がそれを受けるJFCやその家族に届いていることで、団体の事業がとても価値のあるものなのだと実感した。
 私は海外インターンシップを運営する学生団体にも所属しており、日々やりがいを感じながら活動しているものの、団体独自の奨学金や助成金がない中で海外インターンシップに参加できるのは裕福な家庭に生まれた学生だけであることに違和感を覚えていた。しかし、今回のインターンシップを経験して、貧困な状況にある人々を最低限もしくはそれ以上の豊かさで暮らしていけるようにする活動に意味があると感じ、その一部を担うことができるのが嬉しく、意欲的に活動できた。そして、短い期間ではあったが、団体が支援した人々の良いニュースを耳にすることでやりがいを感じることができ、将来的にも多文化共生や外国人支援に携わって困っている人々を近くで支えられるようになりたいと思うようになり、今後の自分のキャリアを考えるきっかけになったといえる。
 これからもJFCネットワークの活動に継続して取り組みたいと考えており、また、ただ活動するだけでなくSNSなどを通じて団体の活動やイベントについて周囲の人に共有し、もっといろんな人にこの団体の活動の意義を広めていきたい。
 この度は、2か月間ありがとうございました!

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