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「トルコの地震で起きた原発事故」という動画は誤り【ファクトチェック】

トルコ南部で発生した地震で、原発が爆発したとする動画が拡散しています。しかしこれは2020年にレバノンの首都ベイルートで起きた爆発事故の映像で、誤りです。

検証対象

2023年2月6日にトルコ南部で発生した一連の地震では、トルコと隣国シリアで合わせて4300人超の死者が出たと報じられている(2月7日現在)。この地震が原因で原発が爆発したとする動画付きのツイートが世界で拡散し、表示回数は100万回を超えている。

動画は、今回のトルコの大地震で起きたものではないという指摘が多く、このアカウント自身も後に「2020年のベイルートの映像」と書き加えている。一方で、「PrayForTurkey」などのハッシュタグで拡散するユーザーも見られた。

検証過程

Twitter Blueによる認証マークの付いた「CBKNEWS」というアカウントのツイートには、以下のような注意喚起がついていた。Youtubeのリンクとともに「このビデオは、2020年8月4日のベイルート港に保管されていた硝酸アンモニウムの爆発事故」と書かれている。

リンクは、イギリスのニュース番組SkyNewsの公式アカウントが2020年8月6日に投稿した「ベイルートの爆発事故について」というもの。ニュース動画の3秒付近に、検証対象の動画と全く同じ箇所がある。

この爆発は港湾に保管されていた大量の硝酸アンモニウムによるもので、原発の爆発ではない。

判定

以上のことから、トルコの大地震が原因で起きた原発事故の動画とされるものは、レバノンの港で起きた爆発事故で誤り。

(Top画像のツイート部分は全体像を伝えるために一部加工をしています)

あとがき

Twitter Blueの認証マークは、月1000円足らずの課金で獲得できるため、信頼性を担保していません。災害が起きたときには、真偽不明な情報が飛び交います。すぐに拡散しようとせず、元の情報を辿ってみることが大切です。

検証:金子祥子
編集:古田大輔、藤森かもめ


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