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「(動画)イスラエル空軍がガザに白リン弾を投下した映像」は誤り【ファクトチェック】

2023年10月7日、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルに大規模攻撃を仕掛けて戦闘が発生。これに関して、「イスラエル空軍、ガザに白リン弾を投下」と主張する動画が世界中で拡散していますが、誤りです。動画はウクライナで撮影されたものです。

※サムネイルに追記を加えました(修正 2023年10月17日)。


検証対象

2023年10月11日、「衝撃的!イスラエル空軍、ガザに白リン弾を投下」という動画付き投稿がSNSで拡散した。この投稿は13日時点で削除済みだが、1000回以上リポストされ、表示回数は47万回を超えた。投稿削除後も同様の動画を使用した投稿が多数拡散している。

投稿について「ショックを受けた」「とても恐ろしい」などと同調するコメントの一方で、「プロパガンダ」「誤った情報」と指摘する声もある。

検証過程

動画のワンシーンを画像として切り抜いてGoogleレンズで検索すると、2023年3月12日にX(Twitter)上に投稿された東ヨーロッパのメディア「NEXTA」の動画付き投稿がヒットする。

ウクライナ・ドネツク州の町Vuhledarの様子として投稿された動画は、英メディア「テレグラフ」もロシア軍がウクライナで焼夷弾を使用した様子としてYoutubeで公開している。撮影されたのはイスラエルとハマスの今回の戦闘が始まる6カ月前だ。

判定

動画はウクライナで撮影された映像を使用したものであり、イスラエルとパレスチナの状況を撮影したものではないため、誤りと判定した。

あとがき

今回の映像はウクライナのものであり、イスラエルによるものとする言説は誤りです。ただ、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区やレバノンへの軍事作戦で白リン弾を使用しているという指摘はあります。

国際人権団体ヒューマンライツ・ウォッチは、現地の映像を分析し、イスラエル軍が白リン弾を使用していると指摘。「民間人に深刻かつ長期的な傷害を負わせる危険性がある」と非難しています

検証:木山竣策、高橋篤史
編集:古田大輔


検証手法や判定基準などに関する解説は、JFCサイトのファクトチェック指針をご参照ください。

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