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若い先生方へ(17)

 いつもお読みいただきましてありがとうございます。今回は教師の技「授業」の3編目です。どうぞお読みください。
12 筆順・チョークの色
 役者なら、板書の筆順も正しくなければならない。チョークの色使いも一考したい。通常は白。強調は黄色、また赤。緑や青は色の判別が難しい子どももいるので使わないようにしたい。学級のすべての子どもの視力や色の判別の状況は知っておきたい。
 チョーク製作会社のご努力で色覚に優しいチョークが多く出回っています。しかし、白・黄・赤の3本で5類の板書における文字階層が表現できます。子どもに識別しやすい板書を心がけましょう。また、チョークは太さがテーパーになっています。太いほうから使い始めることや、指3本で保持することはご存じでしょうか。また、掌に2本のチョークを持って、ちょうど2色ボールペンのように書く技術も身につけてください。
 今は黒板ではなくホワイトボード主流かもしれませんし、タブレット授業では板書が軽視されるかもしれませんが、不易流行。教師文化は伝えたいものです。
13 子どもに目を配る
 目を見て話し、目を見て指名し、目を見て話を聞かせよ。大事な場面では子どもと対峙せよ。子どもの眼に自分が映るまで目をのぞき込め。これを「間合い」という。いつも指名は礼儀正しく名前を呼ぶことが基本。しかし時には目で合図して発言を促すこともある。学級全体の子どもと目を合わす。これで子どもは担任の目を見るようになる。
発表する子どものみに対峙せず、脇役や発表を苦手にしている子どもにも出向いたり目配りをしたりしたい。
 以前、新年度初めの授業巡回で、ある教師は教卓の上にビンゴゲームで使う数字玉を出す器具を置いて、発問後の指名で、器具を回して出てきた数字を「何番」と呼んでいる授業に出会いました。つまりその出席番号の子どもを指名したのです。私は、驚きと怒りでその場を離れました。そしてすぐに
校長室にその教員を呼び、理由を聞き指導しました。しかし、その教員の指名の仕方は改善せず、一問一答方式の深みのない授業はいつまでも続いていきました。おそらく今もそのやり方を踏襲しているでしょう。その教師に指名された子どもは何と思うでしょうか。残念でたまりません。読者の皆さんには他山の石でしょうが。
14 指名 
 子どもを当てるとき、思慮に欠けるのは順番当て。次は自分の番と耐えられないほど緊張が高まる子どももいることを知るべし。言えなかったけれども言えたことにする教師のマジックも必要。
 私は吃音に悩んでいましたので、文章の順番読みは苦手でした。あなたの授業において指名はいつも順番あてではありませんか。もう一度上の3行を味わってくださいね。 
15 指導書
 指導書を教卓において授業をしていないか。「赤刷り」を参考にするの  はよいが、過多に頼ってはいけない。
 「先生の教科書はなぜ小さな赤い字が書いてあるの」とたずねてきませんか。指導書を教卓において授業をするのでは授業達者にはなれないでしょう。
16 ことば遣い
 礼儀正しさが基本。方言の温かみはよい。
 方言はいいですね。暖かいし、子どもを包みこむ。その土地土地の方言は大切な文化として、あなたの授業のアクセントに使われたらどうですか。
17 声の大きさ
 隣の教室の教卓まで届く声をもちながら、後ろの掲示板に声を留める。子どもたちの声が大きくなったら教師はささやく。これが技。
 教室が騒がしくなった際に、先生が大きな声で制止する癖をつけると、そのボリュームは次第に上がって、収拾不可能になりますよ。こんな時は小さな声でささやくのです。そうすれば子どもたちは注目するものですよ。
 ちょうど時間になりました。次をお楽しみにしてください。72

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