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若い先生方へ(19)

 いつもお読みいただきありがとうございます。少し間が空いたのですが、今回から2編、授業参観について載せます。教師として一番力を発揮できる業務は「授業」です。その授業を改善・向上させるには、教科を超えて多くの先生方の授業を参観することから始まります。これは参考になるとか自分の授業に取り入れたいと思った技や構成は、すぐに次の授業から使ってみることです。そして工夫改善をして自分のものにすることです。しかもその参観は、なんと無料なのです。他業種の研修講座は費用がかかりますが、ただで盗めるというのが、この業界の良さだと考えます。
 そして、授業力を上げる二つ目のポイントは、公開授業や授業研修といった類の研修で、人前で恥をかいて、爾後の研究協議でズタズタに批正されることです。いくら冷や汗をかき、涙を流したかで授業の腕は雲泥の差となります。校長や教頭も、配下の職員の大切な時間をいただいて授業をみせることは校内研修にとって大切な要素です。研究協議で偉そうなことをいうばかりの校長ではいけません。「やってみせ 言って聞かせて させてみて 誉めてやらねば 人は動かじ」山本五十六
 では、まいります。
Ⅵ 授業参観の視点
  暇があればではなく自ら時間を作って、突然ではなく事前に依頼して先輩 の技を盗みに行く。授業達者な先輩の教室や授業は宝の山である。
 もちろん、担任は多忙です。しかし心を亡くしてはいませんよね、生活ノートの朱書き、提出物の点検、授業評価の講評や教材研究と行うことはたくさんあります。ここでつぶれていては授業達者にはなれません。「忙中閑あり」進捗管理のもと、短時間でも授業参観におじゃましましょう。
1 授業の前に
 チャイムが鳴るまでに授業者は何をしているか。子どもは何を準備して どんな姿勢でチャイムを待っているか。礼が終わったらエンジン全開。
 参観は、授業チャイムの前に行くべきです。当該教師は、子どもたちにどのような学習習慣をつけているか観察できます。私は、机上に出すものを決めておき、教科書・ノートを広げて待つように指導していました。今日学習する箇所は前時に示していたので、学習係は黒板の左端に教科書のページを書いて各人の学習開始を牽引していました。
2 参観の心構え
 参観者は空気になって、発言内容、表現内容、ノートなどを見る、観る、 看る。教室の後ろでは子どもの顔が見えない。どこで参観したらよいか。 参観して、学ぶべき内容を見極める。参観者は授業者よりも疲労するのが あたりまえ。
 私は、廊下側の側面、前から3分の1の場所で参観していました。教師と子どもたちの表情が見えるのでベストポジションです。そして、気づいたことやまねたいことを細々メモしました。これが授業改善の肥料になるのです。
3 教室に入ったら
 後ろの掲示板には、全ての子どもの作品が評価を受けて掲示してあるか。 掲示は係活動によるとしても、内容には全て教師の目が入っているか。来校者や保護者は笑顔で見られるか。後ろの蜂の巣は整理整頓されているか。
 前面刺激は制限されているか。学習の基礎的・基本的内容や定着を促す内 容が整理されて掲げてあるか。子どもの机は容易に動かせる状態か。床にごみが散乱していないかと俯瞰する。教室環境を整えることから授業達者への道が始まることを知るべし。
 授業参観で教室内を俯瞰する時間はありませんから、放課後に他教室を学びに行きましょう。上に書いた視点で隅々見渡すと宝物がいくつも発見できますよ。
4 礼に始まり礼に終わる
 大きな声で「お願いします」「ありがとうございました」と言うだけではなく、授業者は何と念を込めて礼をしているか。子どもは何を念じているか。
 礼に始まり礼に終わる授業に念を込めるには、礼に「何」を込めるかです。子どもたちは「お願いします」と申します。先生教えてくださいと熱望しているのですから、教師の礼は、「たっぷり教材研究をしてきたので、どの子も漏らさず、しっかり教えるぞ」こちらこそ「お願いします」と呼応したいものです。
 古い人間なので、若い先生方には違和感もあるかもしれませんが、これは不易事項であると確信しています。ではまたお会いしましょう。88

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