009 用紙の選定と罫線の設定

ルーズリーフ穴を設けることにした新カードは、疑似B6サイズのルーズリーフノートとしても使えます。そこで用紙も「カード」だけではなく、ノート用の薄いものを用意することにしました。様々試した結果、本来のカード用には、白色が美しく書き味の滑らかな「しらおい135」を、普段使いのリーフとしては、カードの半分程度の厚さで綴じてもあまりかさばらない「しらおい70」を、そしてその中間としてしっかりと腰があって裏写りしにくく、目に優しいクリーム色の「クリームキンマリ90」を選びました。

罫線に関しては、初期に 5mm方眼、8mm罫線、200字詰原稿用紙を用意、罫線色はユーザーの目障りにならないよう、ごく薄く印刷することにしました。また、5mm方眼用紙の上部にタイトル、日付などを記入するための空白部分を設けた、「トピックシート」を用意しました。これは後述する「階段ファイル」などに使う、B-TAOならではのフォーマットです。そしてもちろんこのほかにプリンターでデータを印刷するのに使ったり、ユーザーが自ら好みの罫線を印刷できるよう、罫線のない無地も用意しました。

さて、問題は印刷と、紙の保管です。紙は非常に重く、保管の難しい物品です。売るとすればコストの問題を考えねばならず、また、多品種少量販売になることは目に見えていますから、大量の在庫はすぐ赤字につながります。また、印刷は薄色になればなるほど高精度のプリンターが必要です。少量の高精度の印刷をローコストでこなす、これはなかなか大変な仕事でした。

それともう一つ、重大な問題があります。新しいフォーマットを提案したら、そこには供給責任が生じます。カードの使用は、言ってみればその人の「知の部分」を全面的に支えること。用紙が途絶えることは脳の血流が止まるに等しいのです。私はこのことをB-6カードで痛いほど経験しています。そして、それが嫌だから自分のカードの開発を始めたのです。だから、一旦供給を始めたら、ユーザーの最後の一人が使用をやめるまで、決して供給を止めてはならない。そのためには、どんなになっても供給を続けられる体制を構築しなければなりません。



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