【400字の独りごと】　黒

　黒

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　黒は闇の色。畏怖の色。黒は全てを飲み込む。覆いつくす。
　黒は創造の色。全ては黒を反射して、鮮やかに光放つ。
　黒から生まれるものを、私はずっと探している。見つめ続けている。
　黒のなかで、何かが蠢いている。それを掴もうと、必死に手をのばす。
　クレパスで、そのなにかを描きとる。
　手をカラフルに汚しながら描き続ける。
　期待に胸を膨らまし、描き終えたものを見下ろして、私は愕然とする。
　手に触れたものはこんなものじゃなかったはずだと。
　そうやって、幾度も幾度も黒い画用紙を手に取るのだ。
　私は、永遠に、黒と追いかけっこをしている。

　(2004年5月27日)