【400字の独りごと】 好きなひとの名前を100回唱える
好きなひとの名前を100回唱える
小学校の頃に流行ったジンクス。
「好きなひとの名前を紙に100回鉛筆で書き、それを消しゴムで全て消し、
消しカスをいつも身につけていると両思いになれる」
同級生の女の子たちは頬を紅潮させて、誰の名前を書こうかとはしゃいでいた。けれど何故だか、私はそのジンクスを信じきれないでいた。
最近になって自分のわだかまりがようやく解けた。
好きなひとを想う情熱というものは胸の内に満たされていて、その人の名前を書き続けていると、鉛筆の先から熱い想いが少しづつ滲み出てしまい、
100回も書いてしまったら胸が空っぽになってしまう気がするのだ。
そうではなく、一度だけゆっくり丁寧に名前を書き、わずかに漏れた情熱の香りを楽しむほうがよほど効果がありそうだ。
25歳の女は、そんなふうに思う。
(2004年12月30日)
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