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ジュエリーの国際輸送とCOVID-19

ジャパンジュエリーフェア主催「新型コロナウイルスが及ぼす海外輸送の現状」(ブリンクスジャパン株式会社代表取締役 小牧忠浩氏)のウェビナー(2020年6月5日)を受講しました。

※素人の拙い講義メモをもとに書いているものでおそらくまちがいもあると思われます。最新情報は各輸送会社へお問い合わせ下さい。

1 ブリンクスとは?

・貴重品専門の警備輸送会社(1859年アメリカ創業)

・世界100カ国以上に1100拠点がある

・日本では日商岩井(当時)とジョイントベンチャーで1990年設立

・2020年4月に最大のライバル企業だったG4Siを買収

・貴金属,宝飾品,現金,クレジットカード,精密機器etcについて,国際輸送,保管,通関,流通,プロセッシング(在庫管理)

・世界の主要宝飾展において公式警備輸送会社として認定

・原則法人どうしの取引のみに対応(個人事業主はNG,初取引には審査が必要)

2 貴重品輸送業界における新型コロナウイルスの影響

・旅客便数が激減

・医療品や必要物資が優先になっているため,飛行機があっても貴重品用のスペースがない(後回し状態)

・貴重品貨物は7-8割減

・2019年1月との比較で輸出6割,輸入7割減

・全日空・日本航空が一時期は欧米向けでは唯一の路線となる事態に

・キャセイ航空は継続的な運用を続行

・シンガポール航空は5月から不定期で運行を再開

・直行便がないときは,経由がないかを模索する

3 各国の状況(輸送取扱の実感)

・中国:武漢を含めて小売再開,かなり増えてきている(リベンジ消費)

・アメリカ:NY州は未だロックダウン中,大手デパート(ニーマンマーカス,バーニーズニューヨーク)倒産,人種差別抗議運動が大規模化(店の略奪なども発生)。ただし金価格の上昇に伴い金地金の輸出需要は増えているが貨物スペース確保が困難(予約も受け付けていない)。

4 税関・通関の対応

・弾力的に対応してくれている;輸入申告に押印が難しい場合の電磁的記録(pdfをメール等)で対応,原本書類提出期限の延長,利便の良い近くの税関官署での申告など

5 国際輸送への影響

・特定の地域への輸送停止

・料金の値上げ

・事前に営業所に確認してから


<今日の気づき>

ブリンクス社では,貨物便はキャンセルやスケジュール変更の可能性が高いので,原則変更のない旅客便の貨物スペースを押さえているとのこと。展示会などスケジュールが厳密に決まっているジュエリーに関しては遅れたら大問題ですからね。

これまで宝飾小売とリユース(宝石買取)などBtoCのサービスにリーガル面で携わることが多かったので気付きにくいですが,その背後にはいずれも世界的な宝石貴金属市場というグローバルな流れと繋がっていることを再認識することができました。

これまでも税関やワシントン条約関連のご相談も経験がありますが,とても専門的な領域だなと思いますので,アップデートの必要性を感じました。




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