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今の仕事は縁の下の力持ち

 不思議な縁、というものが、人間50年以上やっていると案外たくさんある。

 私は介護の仕事を辞めた2022年、転職先を探しながらも更年期障害の不調で身体がいうことをきかなくなった。だるくてだるくて、起きていられず、ほとんど寝たきりのようになっていた。

 そんな状況でも、なんとか少しでも働かないと、このままではいけないと気持ちは焦るばかり。ただ、そんな体調では週5日フルタイムで働くことは難しくなっていた。

 ある日、その頃32歳だった長男からLINEが来た。「エイドアシスタント募集」という紙のチラシを写真で撮ったものだった。長男の家の近くの病院での募集なので、ポストにチラシが入っていたようだ。私の状況を心配して、こんな募集あるよ、ということだろう。

 私の家からは徒歩で25分ほどの病院の派遣のお仕事で、看護助手、身体介護はありません、とある。介護で腰も悪くしていたし、基本人と話すことが好き。もくもくとタスクをこなす仕事は、正直性に合わないとわかってはいたけれど、選り好みをしているわけにはいかなかった。

 年齢不問とあっても、うんと若い人が大勢応募してきたら、ふるいにかけられることは避けられない。週に2日~OK! とある。2日ぐらいなら、なんとかがんばれるかもしれない。

 なんとか週2日の条件で採用になり、じき1年半が経つ。

 主な1日の仕事の流れはこうだ。

 昼、夕分の経管栄養のセッティング。患者さんの枕元にある、痰の吸引に使う備品等の補充。昼食時、夕食時のお茶を配る、バルーンの患者さんの尿の破棄、感染性ごみの破棄、その他各部屋に設置してある使い捨てのガウンや手袋、エプロン等の備品補充、各種内職的なお仕事など、息つく暇もない。

 終わるとどっと疲れるものの、収入面だけでなく「外へ働きに出る」という緊張感がなかったら、更年期障害からうつ病になっていたかもしれない。

 初めて出勤したその日、一緒に入職した人に更年期で寝たきりのようになっていた、という話をしたら、4つほど年上のその人に言われた言葉がある。

「更年期はね、無理はしちゃいけないんだけど。ちょっとだけ、がんばるの」

 そのひとことが、ことのほか身にしみて心に刻まれた。自分を責めたり、悲観したりと、良くない方向へ行きかけていた私を救ってくれた。同じ時期に入職した内、何人か続かなくて辞めて行ったけれど、その4つ上の彼女はみんなのまとめ役のような人で、今も一緒に働いている。


#転職体験記

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