生まれてくる順番は選べないけど
先日読ませていただいたこちらの記事。
この方は「きょうだいがいないことを人に伝えると、『ひとりっ子はわがまま』という色眼鏡で見られ、周りから嫌なことを言われたのがトラウマ」なのだそう。
そういう、一定の枠にはめたがるのはどういう概念なのだろう。私はわがままどころか、とても気づかいのできるひとりっ子も知っているし、むしろわがままいっぱいにふるまうきょうだいのいる人だって少なくない、と思う。
33歳の長男が幼稚園の頃。お友達にひとりっ子の男の子がいた。その子のパパは男ばかりの3人兄弟の末っ子だそうで、ある朝出勤前に菓子パンを持って出ようとしたところ、ママ(奥さん)に止められた。
「それ、〇〇(息子くん)が楽しみにとってあるパンなんだけど……」
「いいんだ。あいつはひとりっ子で、食べ物を持っていかれたとか、そういう経験ができないから、あえて俺がやるんだ」
だそうだ。その話を聞いた時、うなってしまった。そうは思っても、なかなか心を鬼にしてそこまでやるのは難しい。
ちなみにそのひとりっ子の彼は、小2になって我が家に長男の友達がおおぜい集まったとき、おやつのゼリーをもらい損ねたことがある。1リットル分のゼリーができる粉末を、流しかんにたっぷりとつくり、10人以上いたのでお皿やスプーンを用意したり、切り分けて盛ったりと大忙しで、お皿を洗っているところへひょっこり現れ、
「ね、ぼくのゼリーは?」
と言われて、「えっ!」と青くなった。たまたま冷蔵庫に、フルーチェを牛乳と生クリーム半々でつくり、ビスケットにはさんで凍らせたクッキーアイスが常備してあったので、
「ごめん、ゼリーは終わっちゃった。これは特別。みんなの分はないからここで食べてね」
と言ってクッキーアイスを食べてもらった。お迎えにきたママにこっそり話すと、
「ひとりっ子はいつ行っても自分の分は確保されてるからね……。そのおかげでみんなと違うものをいただいちゃったのね、ありがとう」
と言われた。
私はふたりきょうだい、第一子長女。3歳下の弟がいる。同性のきょうだい、つまり姉や妹がいる人がうらやましいと思うこともあった。
しかしよくよく観察していると、私の近い身内の姉妹の人たちは仲が悪い場合が多く、なんだかんだ厄介なようで、大人になった今はないものねだりな気持ちはなくなった。
私の子どもは長男(33歳)、二男(30歳)、長女(28歳)の順で、一番下の娘は幼稚園ぐらいの頃、
「お母さん、弟とお姉ちゃん生んで!」
という、無理難題を言ってのけた。
そして私が敵わない! と思ったのが数年前の二男の言葉。
「オレ、きょうだい全クリしたぜ」
兄がまず結婚し、その相手は二男の義理の姉。その後妹が結婚し、相手は二男の義理の弟だ。たしかに。今の二男には、兄と姉、弟、妹すべてが揃った。
そしてなんと、
「お母さん、弟とお姉ちゃん生んで!」
と言った娘は、義理の姉(長男、二男ともに結婚したのでふたりも!)と義理の弟ができたのだ。娘の夫はふたり兄弟の長男。
その、娘の結婚が決まった頃。我が家で初めて、長男夫婦と顔を合わせたときに、長男の妻が
「〇子ちゃんの姉です」
と、なぜかこれから義理の弟になる彼にドヤ顔で言ってのけた。あの時の長男の妻のドヤ顔。ああ、この子と私は今、同じ苗字なんだなぁ、と思うと不思議な気がした。
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