自宅でせんべろシステムを構築した話


概要

 酒飲みでは、「せんべろ」という概念があります。1000円札の許す範囲で、酒やつまみを工面するという飲み方のことです。「これを自宅でやったらどうなるか?」という遊びの話をします。

発端

 私は酒を飲むのが好きです。おいしいですからね。しかし、社会人になって金に自由ができてから、「酒を飲むのは週末のみ」という制限をかけていました。これは、際限なく飲むと健康に影響があるという理由と、仕事に支障が出るという理由からです。当時はまだテレワークという概念がなく、出勤をしなくてはいけないことも影響していました。
 この反動で、週末には飲み過ぎるということが度々ありました。特に、自宅では他人に迷惑をかけないということで、足にくるぐらいまで飲むことが時々起こっています。当然、翌日は二日酔いによる劣悪なコンディションが待っています。
 そんな2023年8月の後半、思い立ったのです。「自宅にもせんべろシステムを構築して、飲酒量を制御しよう」と。これはそう思い立ってからの経緯となります。

せんべろシステムの構築

 せんべろのシステム構築には、神田屋を参考にしました。神田屋はサービスとしてせんべろを打ち出しており、1100円(税込み)でメニューに提示されたドリンク・料理を提供するというシステムがあります(他の居酒屋でも、1000円のセットを作って提供しているところはあります。この辺りは店の特色がでています)。
 これを参考にして、自宅用のせんべろシステムを作ることにしました。私は料理をするタイプなので、それを踏まえてメニューを作っています。

せんべろシステムを構築した最初のお品書き。
まだフードの選択幅が狭い。
これは最新のお品書き。
点数は金額だけでなく、量や太りやすさを考慮しての配分。

 神田屋のせんべろ製は1100円で点棒10本なので、それに倣ってドリンク・フードの配分をしました。元々、「食いすぎ・飲み過ぎを避けよう」という観点でお品書きを作っているので、人によって点数配分は変わります。もしやりたいという方が居たら参考程度にしてください。
 これをやるために、イエローサブマリンでゲーム用チップを買ってきました。10点分の配分がわかればいいので、やりたいのなら100均で買ったおはじきやトークンでも良いです。なんなら、適当にノートやメモ帳を切って点棒を作るのでも問題ありません。重要なのは、「今残っているのは何点分なのか?」がわかることです。

実際にやってみる

 話だけだと分かりにくいので、実際にピック内容を振り返りつつやっていきます。

これは実施当時のお品書き。
まだ作り置きのおかずが3点だった。

 夕飯も兼ねているので、最初の品はある程度腹にたまりつつ、酒のアテにもなるものを選んでいきます。この時は試しに作ってみたかった料理があるので、それを選択しました。飲み物は覚えてないけど、点数からして多分ビール。

この日のおかずは、試しに作った納豆そぼろのレタス炒め。結構美味い。
在庫消費の理由もあり、自作料理はあとで2点に下げられた。

 初めて見るとわかるのですが、割と腹にたまるものを初手に取ると次が続かなくなります。量が無いけどアテになるものをリストに加えておくといい…やはり持つべきものは酒飲みの友です。

友人からの勧めで、腹にたまらないアテを足した方がいいということで
追加しておいた味噌汁。ドリンクは日本酒。

 落ち着いたら場持ちの良いアテを選んでフィニッシュ。うまいことゲームプランを構築できると楽しいのは、店でも自宅でも同じです。

形式上はミックスナッツですが、ナッツ系のアソートを組み合わせています。
食べ切りタイプのアソート商品はこういう時に便利です。

 人によっては食べる量や飲む量が違うと思うので、それに合わせて1500で計上するのもアリだと思います。

メリット

 メリットは色々あります。ただ、純粋なメリットというより、楽しんだ結果得られるメリットという方が近いかもしれません。

店で飲むより安上がり

 商品を確保する先は大体スーパーなので、割と安く収まります。雑に考えれば、トリスハイボールが一杯100円ちょっとですし。フード周りも点数調整をすれば、買う値段と消費する値段のバランスを取ることは簡単です。お酒は飲みたいけど節約もしたい、という人には向いていると思います。

食事量・飲酒量の調整ができる

 これは私が本件をやろうと思い至った経緯と同じですね。点数という枷を付けることで、強制的に食事量や飲酒量を制限します。夕飯に食べた量は体型に直結するので、それをある程度抑えることができます。また、飲みすぎによる翌日の影響を抑えやすくなるので、平日に飲酒をする習慣のある人が自分を制御することにも使えます。

お品書きを作るのが楽しい

 やっていて感じたのですが、新しい品を追加するのが娯楽になります。料理ができなくても、スーパーなどで商品を手に取るとき、「これはお品書きに足せるかもしれないな」という観点が出てきます。生活に変化を作りやすくなるので、やっていると結構楽しいです。

新作料理の試行場所にできる

 これは料理をする人向け。少量を作ることの理由になるので、試作費用を抑えることができます。駄目でも酒と一緒に食べると、割と何とかなります。というより、酒が大体ごまかしてくれます。美味いなら当然酒が進むのでよし。

家飲みがアトラクションになる

 元々せんべろは「手持ちの点数で何を飲み食いするか」というアトラクションです。あえて制限をかけることで、飲食物の質を疑似的に上げるというやつです。なんとなく飲み食いするのではなく、今できるベターな選択を考える遊びをやることができます。面倒そうに聞こえますが、やってみると思ったより楽しいです。「残った点棒で、いかにして良い時間を過ごすか」という選択は、試しにやってみるとなかなか面白い遊びですよ。

人に迷惑をかけない

 際限なく酒を飲んでいると、まあ大体何かしらやらかすわけです。自宅せんべろは家でやるので、少なくとも知らない人に迷惑をかけることが無くなります。また、飲酒量を強制的に抑えることができるため、前後不覚に陥って家族に迷惑をかける可能性は減ります。

外食の時に楽しみが増える

 外食をするとき、「この程度なら自宅でも再現できるかもしれない」といいう気づきが増えます。ありがちなところで言うと、「冷凍ポテトを揚げれば家で飲めるのでは」とかですね。外食をするときの視点が増えるので、生活に楽しみが増えます。気が向いたら料理本を買うのもよいかもしれません。結構、飲みに使える料理が載っています。
 外食以外にも、コンビニではおでんを始めとした酒のアテになるものが多く売っています。こういったものをどう点数配分して使っていくかも、遊びとして考える余地になります。

デメリット

自分への制御が雑な人には向かない

 自分に枷を付けるのが億劫な人には向きません。そもそもせんべろは「制限内で何を飲み食いするか」という制度なので、「飲み足りないし、一杯ぐらい追加してもいいだろ…」と考える人には向きません。自分の定めたルールを順守できる人向けです。

お品書きのストック場所が必要

 お品書きには足の早いものと日持ちするものを混ぜるのが安定しますが、日持ちするものを保管する場所がどうしても必要になります。住宅環境によっては保管スペースがないということもあるので、そういう人には難しいです。とはいえ、冷蔵庫と幅30cm程度のケースがあれば事足りはするので、よほど大きいものをお品書きに入れなければ大丈夫だとは思います。

準備と片づけが面倒な人には向かない

 当たり前ですが、お品書きの品を出すのも、使った皿を片づけるのも基本的には自分です。それをやるのが面倒だなあという方には向きません。一応、お品書きの内容を「片づける必要がないもの」だけにするか、もしくは紙皿など使い捨ての食器にするといった方法があれば別です。
 それぐらいは…と思う人でも、「酔った状態でそれをする余裕があるか?」ということは考えておいた方がよいでしょう。

おわりに

 思い付きで始めた自宅せんべろですが、やってみると考えることが多くて遊ぶ余地が広いと、記事を書いていて思います。
 自宅で晩酌をすることが多い人は、試しにやってみることをお勧めします。「飲み方を組み立てる」という遊びは、やってみると中々楽しいです。

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