「愛している」にも色々ある
I love youをかの文豪・夏目漱石は「月が綺麗ですね。」と訳したとか。
本当かどうかはわからないが、とてもロマンチックな逸話だ。
そもそも日本人は「愛している」と言い慣れていない。いや、もしかしたら毎日「愛しているよ❤️」と呼吸をする様に言葉を交わしている関係も日本にだって存在するだろう。だが、私の周りにはそんな人たちは皆無だ。
フランス語を習い始めた初日、先生がやけにジャムジャムと言っているように聞こえた。
ジャム?なんだよ?ジャム食べたいの?と思っていたら、J’aimeだった。
それでもなんのことか分からなくて、「は?」みたいな顔をしてたら、先生が手でハートを作って見せてくれた。
あぁ!好き!likeってことね!とやっと理解ができた。
そしてフランスで本格的にフランス語を勉強し始めたある日。「愛している、好き」という表現にも違いがあることを知った。
一番有名なのはやはりJe t'aimeではないだろうか?
フランス人にとってはこのフレーズの意味の重さは半端ないんだなと感じることが多々ある。
そして紛らわしいのが、Je t'aime bienとJe t'aime beaucoupだ。
辞書によると・・・
bien【副】①よく、うまく、立派に②非常に、大いに③まさに、確かに
beaucoup【副】①たくさん、大変、とても、非常に②(〜de)たくさんの、多くの
という意味がある。
これがJe t'aimeにつくと、こっちの方が「愛している!」の意味合いが強いと思ってしまう。
しかしJe t'aime bienは、「友達として君が好き」という意味で、そしてJe t'aime beaucoupも同様「(恋人としてではなく)君が大好き」という意味合いが強い。しかしこの解釈には色々あるようなので、私は先生から習ったことを今書いている。
実は私はこの2つの表現で、自分がその男性の恋愛対象ではないんだなと悟ったことが2度ある。
Je t'aime bien, mais.....(君のことは友達として好きだよ、だけど・・・)
Je t'aime beaucoup, mais...(君のことは大好きだよ、だけど・・・)
フランス語の先生にも確認したが、「残念だけど、脈ないね」とダメ押しされた。がーん!
それからはJe t'aimeにトラウマがあるというか笑、ものすごい大切な言葉なんだなと感じるようになった。気軽に使える言葉ではない。
一方で、先日のテレビでハングル講座では「韓国人は、友達や家族に사랑해とよく使います」と言っていた。言語によって色々だな。
私たち日本人特有の奥ゆかしい文化の中では、直接言葉で表さなくても「察してね」という部分は多少なりともある。
私は子供の頃に傷ついた言葉の数々を、愛の裏返しとは到底察することができなかった。愛している人にはきちんと愛を伝えよう、それが今の私のポリシーでもある。
愛の表現も似て非なるものなり。そのことをフランス語から考えてみた。
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