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カンヌ国際映画祭が始まりました

2013年の春ごろ、私は3ヶ月間だけカンヌ近くの小さな村・ムージャンという村に滞在していた。小さな村だったが、奥に行けばいくほど豪邸が立ち並び、「さすがコート・ダジュール」と思った。カンヌまではバスで30分、ニースだともう少しかかるかな。よくカンヌやニース、遠くはエクスにまでバスに乗って遊びに行っていた。

カンヌといえば「カンヌ映画祭」。今年の開催は7月だが、私が滞在していた時はちょうど5月の中旬ごろに開催された。その頃は観光客も一段と多くなり、一目レッドカーペットを見ようとたくさんの人が会場に集まってくる。

私もお上りさんだったので、もちろんレッドカーペットの写真を取りに行った。開催期間中はカンヌの浜辺でも映画館が設けられ、昔の映画が上映されていた。

私は帰国間近だったので、そのお祭りの気分だけ味わえたからもう十分と結構満足していたのだが、お世話になっていたお宅のマダム(兼私のフランス語の先生)が、「手に入れたよ〜!」と映画祭の、しかもコンペティション部門のチケットをヒラヒラとさせながらやってきたのだ!いまだにあのチケットはどこから手に入れたのかわからないが、とりあえずおしゃれをしていかなくちゃいけない!やばい!ドレスない!

仕方なく日本で3000円で買ったロングワンピがあったので、それを着て会場に向かった。

連日すごいいいお天気だったのに、その日だけ大雨だった(ここまで雨女だともう笑うしかない)

びしょ濡れで並んでいたら、あまりにチープなドレスにサンダルで行ったものだから「この服装ではダメだ!」と危うく入場できなくなりそうだった(ドレスコードが厳しいらしい)。マダムが「いやいやこの子達、日本人の観光客で何も知らないからごめんなさい」と言って、私もフランス語全然わかりませ〜んというジェスチャーをしていたら通してくれた。カンヌ映画祭に行くとわかっていたら、私だってドレスぐらい用意したのに!笑笑

映画監督やスターらがレッドカーペットを先に通るので、一般客はかなり外で待たされる。ちょうど私たち一行の前に一人の青年が並んでいた。すごい雨だったね〜と話しかけると、この映画をみるためにパリから来て、しかもタキシードも借りてきたんだよ〜とのこと。ばっちり決まった彼をみながら、「ごめんね、私3000円のワンピ・・・」と恥ずかしくなった。並んでいるのも暇なので、その人とおしゃべりをしていたら、なんとパリで通っていたマッサージスクールが同じという偶然!嘘でしょ!?と話に花が咲き過ぎて、あっという間にレッドカーペットに到着した。

レッドカーペットでは私たちも写真を取れるし、カメラマンに写真をとってもらえたりする。お上りさんを満喫していよいよ会場に入ることができた。おそらく日本の映画配給会社の人たちが買い付けに来ているので、日本人も多かったように思う。私がみたのは、是枝裕和監督の「そして父になる」だった。この時はパルム・ドールを逃したが、その数年後に「万引き家族」で賞を取ったから、すごい監督なんだな。

ところで、私はどのくらいパルム・ドールを取った作品を見ているかをちょっと調べてみた。

2019年 パラサイト 半地下の家族

2012年 愛、アムール 

2008年 パリ20区、僕たちのクラス

2007年 4か月、3週と2日

2002年 戦場のピアニスト

2001年 息子の部屋 

1993年 ピアノ・レッスン

どの映画も結構衝撃でどんよりするものもあったが、私は「愛、アムール」というフランス映画がとても好きだ。あまりに感動して、主演女優さんのセザール賞でのスピーチをフランス語で書き起こたりした。
まだまだ好きな映画はたくさんあるが、またいつか好きな映画については書きたいと思っている^_^

コロナ禍において、映画や舞台などエンターテイメント業界も打撃を受けたものの一つである。
こういう危機的な状況でこそ、芸術は人々の心を癒し、力になってくれると感じた。昨今は気軽に自宅で好きな映画を観られる時代になったが、私はやっぱり映画館が好きだ。

映画という文化、そして娯楽を絶やさぬように努力している人たちが世界中にいることを、この映画祭で改めて確認することができると思う。

今年のパルム・ドールはどんな映画だろう。発表が楽しみだ。


あ、そうそう。
帰国する時に空港でコーヒーを飲んでいたら、カンヌ映画祭に来ていた俳優さんが、私の前を偶然通り過ぎた。

「先日カンヌで映画見ました!よかったです!」と声をかけたが、どーみても映画関係者に見えない女からいきなり声をかけられて、ちょっと迷惑そうではあった。
おしまい。

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