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「貼れないカイロ」と「貼らないカイロ」一文字で変わる日本語
2種類のホッカイロ
こんにちは。Jessieです。
寒い時期になると、お店の目立つ位置にホッカイロが並び始めます。
売り場を通った時、私はあることに気が付きました。
ホッカイロには大きく2種類あります。
ひとつは両面が白い不織布で覆われた、手に持って使うタイプのホッカイロ。
そして他方、片面にテープがついていて、服や靴下に貼って使えるタイプのホッカイロです。
この記事でフォーカスするのは、前者の「手に持って使うタイプのホッカイロ」。
よく見ると、お店や商品ごとに、微妙に言い回しが違うのです。
私が見つけたところだと、これまた2種類。
貼れないカイロと、貼らないカイロです。
違いはたったの一文字。
けれどこの一文字で、ニュアンスに大きな違いが生まれるのではないでしょうか。
Case1 貼れないカイロの場合
貼れない。つまり、貼ることができない。
「貼れない」という言い方をすると、ホッカイロのメイン商品は「貼れるタイプ」のような印象を受けます。
そして、若干の申し訳なさも。
「ホッカイロには2種類ありまして、こちらは……申し訳ないのですが……貼れないんです」
と言われているような気がします。
悪質クレーマーに詰めよられた店員さんが、平謝りするしかないような。
「貼れなくて、ごめんなさい」と言われているかのような。
こう書くとネガティブですが、同時にこれは非常に日本的な表現だなとも感じます。
日本では、本来「ありがとう」の方が自然な場面でも「すみません」と言う人が多いです。(エレベーターのドアを押さえてもらった時とか、道を譲ってもらったときとか)
日本にある、相手より下に出る気持ち、心遣い、へりくだる態度。
そういうものが反映された結果、つつましい「貼れないカイロ」が誕生したのかもしれません。
Case2 貼らないカイロ
対する「貼らないカイロ」からは、より断固とした意志めいたものを感じます。
「ホッカイロには2種類あります。衣服に貼って使うものと、手に持ったり、ポケットに入れたりして使うものです。こちらは貼らずに使うものです」
セリフを与えると、こんな感じでしょうか。
「貼らないカイロ」は、自分に接着面がないことに自信をみなぎらせている印象を受けます。
貼らずに使う自分に、自信を持っているような。
ニュアンスは違っても、ホッカイロはあたたかい
人によって、ホッカイロを使う場面は様々です。
お腹や背中に貼って温かいのは嬉しい。
ポケットから出したホッカイロをシェアして、友達と一緒に暖まるのも、距離が縮まったようで嬉しい。
結局、貼っても貼らなくても、ホッカイロはあたたかいのです。
……とはいえ、冬みたいにしんとした気持ちの時は「貼れないカイロ」を、
なんとなく自信が欲しい時は「貼らないカイロ」を買って、ひそかに元気をもらったりしています。
日本語っておもしろい。
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