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読みかけ日記 「夜明けを待つ」 佐々涼子

昨日も不思議な本との出会い方をした。

 たまたま移動中に立ち寄った本屋さんで、佐々涼子さんの「夜明けを待つ」を見つけた。

 「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場」を出版されてから5年くらい経った後に読んで感動し、「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」を読み、その後「エンド・オブ・ライフ」「ボーダー 移民と難民」と新刊が出るたびに読んでいた作家さん。

 その佐々さんが悪性の脳腫瘍の闘病中であることを9月ごろに知った。その時にこの本が出版予定と紹介されていたことを思い出し、本屋さんの最上段の棚に1冊だけあった背表紙に手を伸ばした。

 手に取って眺めて、ふと目を上げるとすぐ目の前の目の高さの棚に表紙全面が見えるように何冊も積まれている。

 それが目に入らずに最上段に他の本といっしょに一冊だけ並んでいたこの本が先に目に入って手に取った。

 そういえば初めて「紙つなげ!・・・」を手に取ったのもこの書店の同じ最上段だった。

 「本に呼ばれた」と思った。本が「早く読んで!」と言っている。

 発行日は「2023年11月29日」となっているからまだ1週間ほど先だけど、少しでも早く読んでほしかったのだろう。

 幸い今日から少し時間が取れる。

 読みかけの他の本を中断してページをめくる。

 エッセイはどれも命や死を扱っているもので、佐々さんが最後に遺したい言葉なのだろうと思ったし、読んでいて何か胸の奥がつんとくるような「悲しみ」と言っていいような言いたくないようなそんな感覚が湧き上がった。

 ルポルタージュはまだ途中。読みかけだが、外国籍の子供達の問題などを読むと、佐々さんのような作家さんにはもっと長くこうした問題を書いてほしいと切実に思う。

 フライングして最後のあとがきを先に読んでしまった。このあとがきが本当に最後になってしまうことが少しでも先でありますようにと祈ります。

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