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『エターナル・サンシャイン』(2004)のテーマと原題について【おはなし玉手箱】

本記事では、↓の動画で使用した台本を掲載しています。

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こんにちは!
ジェリーわたなべです

ジェリーわたなべのおはなし玉手箱

今回は 2004年公開のアメリカ映画、ミシェル・ゴンドリー監督の『エターナル・サンシャイン』についてお話します

本作品は脚本を『マルコビッチの穴』のチャーリー・カウフマンが書いており、アカデミー脚本賞も受賞しました

世界的な映画情報サイトであるIMDbでスコア8.3を叩き出し、BBCが選ぶ二一世紀最高の映画ベスト100では第六位に選ばれたこの作品

好きな人がいるんだけど、その人の嫌な部分が気になって、自分の感情に自信が持てないという人にぜひ見てもらいたい映画です

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この映画はジム・キャリー演じるジョエルという冴えない会社員が電車を待っているシーンから始まります

主演のジム・キャリー
『マスク』や『ライアー・ライアー』や『イエスマン “YES”は人生のパスワード』等に出演しているコメディアンですね

普段はおどけたキャラなんですけど、本作ではその顔は一切封じてシリアスな演技だけを見せています。これはゴンドリー監督が彼がいつものコメディな演技をする度に、撮影を止めていたからだそうなんです。そしてついにジム・キャリーの方が折れて、笑いを封じて演技をしたというわけです。

で、このジョエルが突然反対ホームに走って、会社とは逆方向の電車に飛び乗るんです。そしてついたのがモントークという海沿いの駅。なにとなく砂浜を歩いていると、髪が真っ青のクレメンタインという女の子と出会います

このクレメンタインを演じるのが、ケイト・ウィンスレット
『タイタニック』や『レボリューショナリー・ロード』でレオナルド・ディカプリオとカップルを演じていた女優さんです

「僕は女性とは目を合わせられないんだ」と心の中でつぶやくジョエルですが、なぜかこのクレメインタインとは意気投合します

そしてそのまま仲良くなって、ジョエルの家に彼女がその晩やってきます
ここで「おや?」と思うわけです

「どうして女の子にもてないジョエルが、いきなりこんなにモテモテになってるの?」と
その訳はこの映画を観続けると分かるようになっています

翌朝ジョエルがクレメンタインを彼女の家まで送ると、急に場面が変わって、ジョエルが泣きながら車を運転して帰宅するというシーンに変わります

そして家にはラクーナという記憶を消すサービスを提供している企業から「クレメンタインさんの記憶を消去いたしました」という内容の手紙が届いていました

ジョエルが会社に出向いてその真偽を問うと、お医者さんが「彼女はあなたとの恋愛では幸せじゃなさそうだったので、お手伝いさせていただきました」と答えます

絶望したジョエルは自分もクレメンタインの記憶を消してもらうように依頼します

この記憶を消すという手術なんですけど、患者が寝ている間に少しずつコンピューターで該当する記憶を消去していくという地道なものなんですね

で記憶が消去されている間、ジョエルの意識が残っているわけなんですけど、最初はクレメインタインとの嫌な思い出、例えば「いつもの中華料理屋で、いつもの普通の味の料理を食べて、特に話すこともない」みたいな思い出を消していきます

でも、徐々に彼女との楽しかった思い出も出てくるわけですよね

一番象徴的なのは、凍った川に一緒に行って二人して寝そべってみたりしたこと
ジョエルは「氷が割れたらどうするの?」とか弱気なこと言うんですけど、クレメンタインが「良いから来てみなよ」みたいに背中を押すんですね

ここでジョエルが思い出すわけです
クレメンタインとの記憶を消すと、いうことはこれらの楽しかった思い出も消すということになるわけだと
思い出を消されないように、なんとか抵抗して最終的にはどうなるか?という内容です

最後のシーンは僕的には結構すっきりしたんですけど、エンディングテーマにも鳥肌が立ちましたね

1980年のコーギスというバンドの曲で
"Everybody's Got to Learn Sometime"

本作用にベックがカバーをしています

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この作品で語られているテーマとは何でしょうか
僕は「 人間同士、ずっと近くにいると嫌な面も見えてくるもの。じゃあそういった面が見えてきた時にどうするのか?すぐにお別れするのか?他者と深い関係になるとは、どういうことなのか?」を問いかけてくる映画だと思います

似たテーマの映画に、映画が大好きな大学の後輩が教えてくれた、1966年の映画『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』ってのがあるんですけど、こちらの方はかなりハードでしたね

全編を通して夫婦で罵り合いをしていて、観ているこっちも一瞬も気が抜けない感じがとても高カロリーな映画でした

そして最後に本作のタイトルについてなんですけど、邦題だと『エターナル・サンシャイン』となってますが、原題は『Eternal Sunshine of the Spotless Mind』といいます

この原題には出典がありまして、18世紀に活躍したイギリスの詩人、アレクサンダー・ポープが書いた 『エロイーザからアベラードへ』という書簡詩です

どういった内容かと言いますと、

舞台は中世ヨーロッパ
家庭教師アベラードと、その教え子のエロイーザが登場します

この2人は年齢差が20歳位あったんですけど、恋に落ちてしまったんですね
そのことが親にバレてしまい、両者は引き離されて、生涯再会することはなかったそうなんです

そんな2人が送りあったという設定の書簡詩が『エロイーザからアベラードへ』なのです

今回は最後に、その詩の一節をご紹介して終わりにしましょう。最後までお聞きいただきありがとうございました。

「幸いなるかな 罪なき尼僧が運命!
 彼女は世界を忘れ、世界に忘れられたのだ
 永遠なる陽の光が汚れなき心に射す
 祈りは聴き入れられ、願いは断たれ」

人に言われたことを真に受けやすい、何でも馬鹿真面目に考えてしまう、そんなボクのように不器用な人でも楽しく生きられるような情報を発信していきます。まだnoteでアウトプットを始めたばかりですが、がんばります!サポート、よろしくお願いします(^o^)