短編小説「Donuts Boy?」part1

私はラクーン警察署に勤める何の変哲もない警察官レヴィット・ルーシーだ。その晩は、警察署のトイレで奇妙な男の子に出会うことになる。

何の前触れも無く、私の目の前に現れた少年。 奇妙な少年。

 1

闇は私を包容する。最近ラクーンは忙しい。慌ただしい。警察の仕事はまるで迷宮だ。やってもやっても罪人たちが目の前に現れる。だがそれもいい。罪人には罪を名付ければいい。それだけのことだ。情けは人の為ならず。

三十五歳の誕生日を迎えた私はいくつかの友人とパーティーをした。昨晩のこと。ロウソクの火が消えてゆくたび、考えていた。

果たして、私は立派な大人になれているのだろうか?と。何度も何度も自問した。だが答えは出なかった。

小便をする一人しかいないトイレの窓には漆黒の雨が降り続く。用を足しているその横を見れば、窓がある。
それが、途方も無い私の〈イービル〉悪魔に見えた。なぜだろうとても暗い。いつも以上にホラー映画の何かに感じる。いやばかな。私の勘違い。良い年した大人の呆けだ。
そう考えていた。

何故か私の横に見知らぬ奇妙な少年、が立っていた。もぞもぞとズボンのチャックを降ろして、用を足している。

「やあ、君は?」
出てくるには、あまりに年下だ。しかももう夜遅いこの警察署で何故子供が出入りしているのだ?不思議だ。

「ママが事故ったの。……」
親が事故を起こして、それでここに?奇怪な深夜のトイレに、子供がいるという恐怖。

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