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ep.4_ 鮫肌さんの浴衣と下駄と祇園祭


1.そうだ、祇園祭り(浴衣で)行こう

京都の夏デートの定番と言えば、祇園祭!

豪雨、雷鳴が鳴り響いてずぶ濡れになったとしても、
人生で一度はコンチキチン♪浴衣デートがしたい!

と、次のデート相手候補探し。スマホポチポチ。

今回は同郷の年上男性がヒットした。

あんなに面倒臭くて大変で仕方無かったデートの取り付けも、コツが分かって来たのかメッセージをしこたま重ねずとも初回デートに繋がるようになってきた。

「私はまず会って話してみたいタイプだから、予定が会ったら丁度祇園祭ありますし、一緒に回りませんか?」

と、初めまして挨拶もそこそこに、さっさと自分から初回デートに誘う事が出来た。
そして、「私浴衣着て行きますね♪」とか書いた。

私はプロフィール写真に浴衣写真を載せていた。
相手からの初回メッセージが「浴衣に合いますね♪」だったので、京は夏の定番、祇園祭デートの段取りはサクサク進んだ。

2.同郷かよ~本当はこんな人と出会いたいナァ~

折角マッチングしたのに、既に自分の中でこう思っていた。

「同郷か~・・・・。」

この時私は、折角アプリを使うなら、こんな人に出会いたかった。
「ここではないどこかへ連れていってくれそうな誰か」。

1.私とは正反対の、私の知らない事を教えてくれる人
2.普通に暮らしていたら接点持てない人
3.私よりスケールがデカい人。

心底おこがましい理想だけど、折角アプリを使うのだから!
夢見たっていいじゃない???

現実的には、変に高望みせず、会いやすい距離で予定が会う人とうまくいくってこと、この時の私はまだ分かりたくなかった。

厄介なのが、「私よりスケールでかい人」項目。
何を持ってそんな事言うの?
どんだけお鼻ピノキオやねん。と自己ツッコミ。

当時の私は、
将来自分がなりたい姿や夢が無かった。
仕事は楽しくなかった。
人間関係には救われていたものの、根本的に事務職は自分に向いていなかったんだなぁ。
到底定年迄働くビジョンは持てないし、
給料はほぼ底辺。

私、留学も行ったのに。でも英語に満々自信があるわけじゃない。
やりたい事、無い。

誰か、助けて。

夜、シャワーを浴びている時。
ふと襲ってくる漠然とした不安感に
水流の音に紛れて「あー!!」と叫んで対抗する。
そんな日々。

結局縋れる人はどこにもいないんだから、
「助けて」ってただ思うだけなら、いいじゃない。

そんな日々。

マッチング相手。
私の現状が一切変わらなさそうな、実家暮らしの同郷さん。
大してピンと来ていなかった。

3.嗚呼、レンタル浴衣

デート当日、烏丸五条で待ち合わせ。
祇園祭りの待ち合わせは、お祭り中心街の四条烏丸でしてはいけない。
暑い、混雑、悲惨。

烏丸五条集合の理由はそれだけじゃない。
なんと、

「僕も浴衣を着て行こうと思います。」

と、わざわざレンタル浴衣でご登場下さるらしいのである!

数あるレンタル着物ショップの内、彼チョイスの店の場所が、烏丸五条だった。マジー?!モノホンの浴衣デート!!京都っぽーい!💛

男性の和装は女性よりも実は着方が難しいと思う。
着衣方法ではなくて、似合うかどうか。

これは体格に由来する。

「和装はお腹で着る」という言葉があるそうだ。
つまり、やせ細っていると貧相に見えて似合わない。

女性が着る場合、和装の理想とされるシルエットを作る為、胸の凹凸を無くす補正下着類かタオルを使用する。
つまり、胸は無さ過ぎてもあり過ぎても不細工になるのだ。

男性の場合も同じく、腹にバスタオルを巻く等して体幹の分厚さを調整するそう。女性と同じで、胸板があまりに寂しいと浴衣が浮いてしまって様にならない。

さてさて、「自分で浴衣を着たい!」と自前浴衣を購入してからここ数年、浴衣を着慣れてきた私。

かたや、祇園祭デートをランクアップさせようとアレンジされた、レンタル浴衣の彼は「胸元貧相ガリガリくん」。嗚呼・・・・ア嗚呼・・・・・。

そうかー。。。年上ガリガリくんかー。。。
元々着飾る事に興味が無いことが、この格好の見え方で分かってしまった。
なんとマァ、高いハードルでしたね。。。。

嗚呼、レンタル浴衣。
彼は、時間とお金と労力を使って、

自分を「貧相にみえる年上」に演出してしまったのだ。
残念。。。。南~無~。。。
折角の演出が・・・・裏目に・・・・・残念。。。。

4.浴衣スタイルの難しさ~足元丸見え不衛生~

男性の浴衣スタイルのもう一つの難しさに、「足元」があると思う。

と、いうのも・・・・。

女性程に男性は、足元の清潔感に注意が向くだろうか?

否。

女性程、夏の肌露出の為に、せっせ足元お手入れする頭は無いだろう。
無自覚を自覚したならば、無防備に足元を晒すのは控えるべきだ。

彼の下駄足を見て、私はこう思った。

鮫肌やな~、てか、爪まわりがごっつ汚い。。。。。

私がいくらお肌パサパサ系が好きとは言え、限度がある!!
見えなきゃ特段気にもしない爪回りの汚さに、鮫肌が余計目立って私の気持ちは「そそそ~・・・・・」と引いていったのを覚えている。

5.私の脳内

結局のところ、そもそもピンと来ていないところに
浴衣スタイルの残念さが刺さり、
そこまで相手の事を知りたいと思えなかった。

鮫肌さんは年上で、
呉服系のWEB仕事をしていた。
WEB回りは自分で独学で勉強したらしい。努力家だ。
結婚願望はある方だが、割とヒッキー、趣味はゲームで
あまり自分から外に出て行くタイプじゃないらしい。
海外旅行経験はあって、タイに行ったことがあるって。
また行きたいって言っていた。

私はお得意の初対面無双を発揮し、「うんうん、へ~、すごいですね!」と笑顔で相槌を打ちながら話を聞く一方、マイ下世話脳内はこう思考していた。

デートのルートやお店指定からして相手の懐具合・・・ケチ度高・・・
相手の両親も実家の生活範囲内・・・
万が一結婚したらリアル親介護4人分って絶望・・・
思想や趣味趣向に年上感が無いな~・・・
私ゲームしないしな~・・・

男女経験値と相手のコミュ虚弱振りからして、、、
ゴケーケン無い私が、頑張って引っ張らなあかん系•••私がリードしなきゃいけない系・・・汗汗?

「今の私を救い出して欲しい」ってのに、
態々同郷の現実感に引き戻されるのかぁ~・・・絶望

初対面無双を発揮して会話をリードしていた私。「年上のくせに」の枕詞が余計に相手を頼り無く見せた。私よりスケールデカい感無い。。。

いやいやいや、私、何を鼻ピノキオにしてんねん!
着実に、堅実に積み重ねた仕事したはるで?
自分らしく慎重に現実見て暮らしてはるんやんか!

そらそうなんやけど・・・・・
どんな御託を並べても、私の本能に響かなかった。これが全て。脳内で静かに速攻後ずさり。って、最初っから後退ってたか。

6.総括


デート終盤、どこに向かうか、いつ帰るか決めるのも、
特段リードないな~・・・
と思って、つい誘ってしまった。
「最近オープンした烏丸御池付近にあるオシャレ王将に行ってみたいです」
(ほんでもって、どーせ割り勘やねやったらここじゃあ〜!)

安価で美味いが担保されている、それが京都発祥、餃子の王将の魅力!
女子受けする店舗をコンセプトに作られたOHSHO。(餃子の王将オシャレ店舗名)
この後絶対にチューとかしないけど、せめて、ナケナシのデート感を最後まで装いたい!と疲れた頭で頓珍漢な体裁を取り繕うには最適の場所だった。

流石に初回デートで王将を指定したのは後にも先にもこれっきり。
(王将はいい店なんだよ。本当にいい店なんだよ。大好きだよ。でもニンニク臭と特別感の無さが理由で、初回デート場所では無いんだ・・・・)

夕暮れ、安定の美味しさで〆の祇園祭浴衣デート。
鮫肌さんのレンタル浴衣返却期限と私の内心疲れによって早々と解散。

私はしこたま残念な感想を持ったのだが、
オシャレOHSHOでの会話「見たい映画の話」から

彼は後日、律儀に映画デートに誘って下さった。
(ってことは、彼の中では私の印象は悪くなかったってこと・・・?浴衣がやっぱりウケたんかな!)

私は「(永遠に)予定が合わない」という理由で、フェードアウトした。

貴重な一つのデート経験のお陰で、偽れない自らの素直で下世話な心の動きを発見し、教訓を得れました。暑い中、時間を割いてデートしてくれた鮫肌さんに感謝!

<教訓>
1.男性の浴衣は体形を選ぶのでリスキー!
よっぽど自信が無い限り初回デートでは避けよう
2.浴衣女子は120%男性ウケする!
3.どうせ残念なら、〆は餃子の王将で
真夏!ビール!餃子!くぅ~!
お腹も懐にも丁度いい感じ!
あとこの後絶対チューとかする流れにならないから安心!
4.自分勝手、理不尽上等!
自分にとって違うなら次へ!


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