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COC公式で見かけたいろんな武器データ

はじめに

 本稿では"Call of Cthulhu"(日本ではクトゥルフ神話TRPGおよび新クトゥルフ神話TRPG)の公式およびサードパーティ製サプリメントにおける武器データの掲載元紹介を主とし忘備録を兼ねるものとする。現行で販売されているものや絶版も含むため参考程度に頭の隅に入れていただけると幸いである。

やっぱりあるもんだ世界の武器

 日本産サプリメントも古くは平安から幕末に至るまでの刀剣・投射物のデータなどが豊富であるが、未訳サプリメントでも他の国や時代の武器データもやはりあることはある。詳細なデータは省くが、この時代の特色のある武器を紹介していくとしよう。(要はそのサプリにおけるユニークな武器で、日本刀など汎用データは省略している。
 またクトゥルフ2015などに出てくる天下五剣や神器などのアーティファクトなどは本稿では取り扱わず、別の記事にて紹介とさせていただく。

日本の武器

◆平安時代の武器
出典:クトゥルフ・コデックス
 平安時代では槍や薙刀の前身となった鉾、鉄製の爪をつけた武器としての熊手がある。鉾は刺突に用いられるが、熊手の方は馬上の標的を引きずり降ろしたり引っ掛けて転ばせるなど袖絡みに近い運用をしていたといわれている。防具では大鎧と、革鎧としての袍(ほう)、胴丸がある。
 また鎌倉時代まで大きな武器の変化・進化はないので、同時代シナリオを創作する際はこのサプリメントの武器データを用いると良いだろう。刀剣と木刀もあり。

◆室町・安土桃山時代の武器
出典:比叡山炎上
 この時代に入ると、刀剣での破壊力の増加や銃砲の導入によりやたらと物騒な物が出始める。斬馬刀や大槍、抱え筒など。また忍者の投擲術により印字打ちに用いられる石もより殺傷力を増したものになっている。防具は武者鎧、南蛮胴、忍装束、足軽具足など多彩である。

◆江戸時代 幕末の武器
出典:クトゥルフ・フラグメント
 幕末に入ると刀剣に代わり、銃砲が戦場の主役になりつつある。ゲベール銃、ツンナール銃、シャープス銃、エンフィールド銃など。火砲ではガトリング砲やアームストロング砲など。近接武器では十手や刺又、鉄扇など。
 しかしこの時代の弓はなぜか他の時代のサプリに比べると射撃回数が多い。

◆大正時代から戦前・戦中の武器
出典:クトゥルフと帝國、ナチス邪神帝国の陰謀(絶版)
 この時代になってくると、武器表の内容も基本ルールブックとほぼ同じとなってくる。ユニークなのはモーゼルミリタリー、南部十四年式拳銃、十三年式村田銃、三八式歩兵銃あたりだろう。
 ナチス邪神帝国の陰謀の方では九九式軽機関銃くらいである。


◆戦後及び現代日本の武器
出典:クトゥルフ2010、クトゥルフ2015、黄昏の天使(絶版)
 おそらく最も日本国内で普及しているであろう2010と2015。この頃になってくると小火器も近代化が図られ現代的になる。日本刀や太刀、長刀やヌンチャク、三節棍、柳葉刀や青龍刀なども多彩である。
 黄昏の天使の方ではミサイルや艦砲、ナパーム弾や気化爆弾、核爆弾のデータと現代兵器のデータは豊富であるが、絶版かつ中古でも10万円前後とかかるので、無理して調達する必要はない。


◆海外から見たトンチキジャパンの武器
出典:Secrets of JAPAN(絶版)
 アメリカ人から見た間違った日本観満載のSecrets of JAPANであるが、汎用武器は結構おとなしめであり、ユニーク武器と呼べるのは自衛隊探索者の初期装備である64式小銃と、妖怪ハンター探索者の初期装備であるカスタムチタニウムカタナくらいだろう。

アジア方面の武器

◆中国の武器
出典:The Celestial Empire(絶版)
 正確にはCOCでなく、大本の基幹・汎用ルールの"Basic Roleplaying"のサプリメントであるが、Secrets of JAPANの拡張データとしても開発されたようなので紹介する。
 王朝開始時から清朝までを取り扱っているため色々とユニークな武器が存在する。
 鏢と呼ばれる棒手裏剣状の刃物に3–5mの縄がついた縄鏢、戦闘用警棒の鐡鞭(鉄鞭) トンファーの取っ手がついたような槍の拐槍、西遊記で沙悟浄が持つ月牙鏟、連弩、袖箭など。とくに袖箭はSleeve combat(袖内の暗器)技能で運用と独自色があってよい。


◆インドの武器
出典:The Unspeakable Oath #16-17.の合併号(絶版)、
 同誌の"Dhanurvidya, Varman, and Avarna"にてインドのユニーク武器が掲載されている。ジャマダハル(まだカタール表記の頃)とパタ、ナックルダスターに刃物を付けたようなバグ・ナウ、刺突用の突起がついたマドゥ(鉤鑲)、柔らかく鞭のように撓る長剣ウルミ、戦槌のザグナル、鉈のような斧ラム・ダオなど。
 特にトリッキーな武器に関してはどの技能で判定するかと日本でもたまに見受けられるが、この武器データを参照すると大体は片が付くのでお勧めしたいところであるが――絶版中なのが悔やまれる。

アフリカ方面の武器

◆ケニアの武器
出典:Secrets of Kenya
 アフリカの投げナイフことマンベレや、双頭刃なダブルブレード、編盾などが特徴的。また弓も張力によって威力も変動する仕様もとっている。その他はショーテルなど汎用武器があるくらい。

アメリカ方面の武器

◆中南米の武器
出典:Mysteries of Mesoamerica(絶版)
 アステカ人が使用した鈍器 Quauholōlli(クアウホロリ?)とHuitzauhqui、黒曜石を板で挟み剣としたマクアフティル、石槍のホルカンカなど当地の特徴的な武器がある。

欧州方面の武器

◆古代ローマ時代 ローマ帝国および地中海沿岸部諸国の武器
出典:Cthulhu Invictus
  古代ローマサプリと銘打ってるだけあって地中海沿岸国も含むローマ帝国領内の武器も多彩である。グラディウスやスパタはもちろん、エジプトのケペシュ(コピシュ)などもあり、セスタスや投網、プギオやシカなどの短刀もある。
 攻城兵器も豊富で、ガストラフェテスやスコルピオやバリスタなどといったやたらでかいクロスボウから、オナガーやカタパルトといった投石器、果てはギリシャ火薬など攻城戦したいキーパー向けの一冊ともいえる。

◆10世紀及び中世期の武器
出典:Cthulhu Dark Ages(日本語版:クトゥルフダークエイジ)
 中世期の武器であるが、ユニークと呼べるのはフランキッシュソードや、フランキッシュアックスくらいなものだろう。ただ、攻城兵器は古代ローマのものより強力になっている。トレビュシェットが特に強力で、当たりどころが良ければ神格すら沈むくらいの威力はある。
 もとい、古代ローマとダークエイジは武器よりも、防御面で盾が強い。キーパー裁量によるが、マーシャルアーツや武道のオプションによる格闘でも易々と通さないのと、銃弾ですら受け切るほどの頑強さがある。
 現代日本でもライオットシールドなどがあるのに、頑なに盾技能周りをなぜ導入しないか、私個人としては歯がゆいところでもあるくらいの性能である。

◆近世の武器(ドリームランド含む)
出典:H.P. Lovecrafts Dreamlands(日本語版:ラヴクラフトの幻夢境)
 中世世界をモチーフとしているが、出てくる武器の一部が近世のものであったりする。特にポールウェポンでハルバードやグレートソード(ツヴァイヘンダー)あたりがそれである。
 またクレド人の斧やウォーハンマー、吹き矢ことブロウガン、コンポジットボウやオッサランボウなど多彩である。

◆18-19世紀の武器
出典:Regency Cthulhu
 1795年から1837年の摂政時代を扱ったこのサプリであるが、武器は汎用データと同じであることくらい。ただこのサプリでは探索者の家柄と名声も武器として必要な物であり、社交界で天下を取るためなら権謀術数やら奸計やら図らなければならない。

出典:The Gaslight Equipment Catalogue(絶版)
 1890'sの武器や道具、ほか通貨レートなどが事細かに記された追加データカタログ集。この当時の著名な拳銃やライフルなどのモデルが記されている。特にエレファントガンより強めの.600 N. E.弾があるのも良い。またショットガンは8ゲージまであり。

出典:Fatal Experiments(絶版だが日本ではクトゥルフ・タブレットに掲載)
 19世紀の銃は珍妙なものが揃っており、ナックルダスターとリボルバーを組み合わせたものやら、折り畳みナイフの中に仕込んだ拳銃やら多銃身のペッパーボックス拳銃やら、リボルバーと16ゲージショットシェルを打ち分けるれまっとリボルバーやら。火力も自重していないものであり、ショットガンでも8ゲージから4ゲージ、2ゲージと俗にいうバ火力ともいえるものが揃っている。2ゲージショットガンを探索者全員に持たせれば下手な神格も沈むほどである。

未来の武器

出典:Cthulhu Rising(絶版)
 このサプリメントでは23世紀の武器を扱っているためか、ガウスライフルやレールガン、プラズマ兵器、無重力化で発砲できるゼロGガン、携行できるマイクロミサイルポッド、果ては個人携行ができる戦術核など未来ならではの物騒な兵器が揃っている。また一部であるが実弾もバリエーションがあり、用途に応じた弾種を選ぶことが可能である。

出典:Basic Roleplaying
 基幹にして汎用システムであるこのBasic Roleplayingでもサンプルとして未来武器が掲載されている。たとえば単分子鋼ソードや振動剣、エナジーソード、プラズマやレーザー銃などといったものである。シナリオで未来武器を出したいなら、本書をまず買うことを勧める。

出典:New Horizon(無償 ファンメイドサプリ)
 Cthulhu RisingとEND TIMEのルール周りを統合し調整を加えたファンメイドなのに正統進化を遂げているこのサプリメントだが、なぜ無償かというと――古今東西の有名SFのネタや画像を使用しているため、版権の闇鍋状態になっているため有償で出したら確実に怒られるくらい愛があふれたものである。
 ただ、武器データに関してはエイリアンシリーズ、HALOシリーズ、プレデターシリーズ、DOOMシリーズなど著名なSFの武器や他データなどがこれでもかというくらいに製作されている。

銃火器全般

出典:investigator weapons vol.1からvol.3(vol.1だけ絶版)
 この銃火器カタログはvol.1(1920's-1930's)、vol.2(現代)、vol.3(1890's)と銃火器データが欲しいならこれらを買えば事足りるくらいデータが充実している。また非殺傷弾や徹甲焼夷弾などの特殊弾頭や、スコープやレーザーサイト他アクセサリーを付けたときの補正など、諸々のデータやルールが充実している。

神話生物の武器

◆ミ=ゴの武器
出典:Delta Green : Eyes Only
 このサプリメントでは、MJ-12と同盟を結んでいるミ=ゴがエージェントに改造手術を施しミ=ゴの武器を運用できるようなものとなっている。電気銃や冷凍光線、噴霧器などルールブックやキーパーコンパニオンに記載されているものはおろか、重力錐という重力発生装置でターゲットを無力化ないしは圧殺する代物まで扱っている。またミ=ゴ製のその他ガジェットも面白い。

出典:Strange Aeons II(日本ではクトゥルフ・フラグメントに掲載)
 色々と賛否両論のある、とあるシナリオに出てくるミ=ゴの武器だが、金属製のプローブ、レーザーメス、未知の重い道具、採掘用レーザーとバラエティに富んでいる。

◆ムーンビーストの武器
出典:アカシック13
  このシナリオ集に収録されている或るシナリオにて、トラバサミや金属線、放電鞭、ムーンビーストの槍がデータ化されている。

ネタ武器

出典:クトゥルフ・ホラーショウ(現在ではコデックスに掲載されている)
 B級ホラー映画に出てくる日用品や工具などがその場しのぎに運用でき、かつ火力も高いというおバカ具合がナイスである。熱したフライパンが扱うものによっては45口径拳銃弾より強いとか、ミキサーや芝刈り機でミンチにしたりとか。ただ不満点としては13の恐怖にあったパイ投げ用のパイが無かったことくらいか――おい、パイ食わねえか。

おわりに

 もともと武器好きであるのと、前例があればそれを調達してセッションで運用したいという性分もあり、気づけば武器データ集めから嵩じて未訳サプリメント開拓をしていたのが本稿の筆者である。
 本稿では「とりあえずこんな武器があったよー」程度の紹介であり、読者の中に興味を沸いて購入するきっかけが得られれば幸いである。ただし、日本に限らず、海外もやはり商売の都合で終売してしまうことも珍しくないので、買えるうちに買っておくことをお勧めしておきたい。

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