あなたの傍で
午前3時半。昔の人なら黎明とでも言うのだろうか。
現代人の私にとっては、彼との大切な約束の時刻だ。
薄暗闇の中、外を歩くのは久しぶり。
頭上にはまだうっすらと星空が瞬いている。
だんだんと、私は本当に自分の脚で歩いているのか不安になってきた。
なんだかフワフワとした感覚。景色が残像を帯びる。
今日は彼と私にとって特別な日になるはず。
そう期待している。
だって、普段は私をほっぽり出して山ばかり登っている彼が、わざわざ私を誘ったのだ。
一歩を確かめるように、地面を蹴るように、歩く。
空気が、少し湿った木の匂いを伴いながら澄み切っているのに気がつく。
屋久島 荒川登山口。
彼はそこで待っている。
そして私はこう言う。
「こんなところに突然呼び出して、どういうつもり?」
彼は果たして、どんな反応をしてくれるのだろう。
はぐらかすのか、それともニヤリと笑うのか。他の表情も見てみたいけど。
東雲の時刻。
私は茜さす日の中で、満面の笑みを浮かべる彼をすぐに見つけることが出来た。
徒然なるままに、思いつくままに文章を書いてみたい。 私の文章が読んで下さる方を少しでも元気づけたなら、嬉しい事この上ない。