デジタルハンター/オープンソースインベスティゲーション

BS1で放映していたBS1スペシャル
「デジタルハンター〜謎のネット調査集団を追う〜」
が意外と面白かったのでご紹介。

銃殺動画の犯人特定

 最初は銃殺動画から、犯人等の真相を暴くところから始まる。
 写り込んだ地形や道路、建物と衛星画像から場所を特定、地面に写った兵士の影の向きから太陽の位置と影の長さ、方向を計算して事件発生年月を特定、銃殺した兵士の軍服や銃の形からカメルーン軍の兵士による犯罪だとして、BBCはこの調査結果を報道し、カメルーン政府にも調査結果とともに送付。カメルーン政府は兵士7人を拘束したと発表、氏名と階級を公開した。

Youtubeでもこの事件の手法がアップされている。

ウイグル自治区の収容所

 また、中国政府によるウイグル自治区の収容所を調査。ある施設を確認したところ、厳重な警備が敷かれていた。2016年に畑だった場所に翌年に建物が建築され、ウイグル族の人たちの収容所と推測。工場にバスで連れて行かれ、働かされている可能性がある。中国政府は収容所を否定している。

航空機撃墜事件

 他にもウクライナ上空で発生したマレーシア航空機撃墜事件の調査を行い、GRUの幹部など具体的な責任者たちの名まで特定したり、2020年初めにイランのテヘランで起きたウクライナ航空機の撃墜事件を、「イラン側のミサイルによる撃墜」と解明した調査結果もある。

オープンソース・インベスティゲーション

 このような手法を「オープンソース・インベスティゲーション」という。OSINTとはまた異なるようです。

 「オープソース・インベスティゲーション」を世界に世界に広めたのは、エリオット・ヒギンズというイギリス人の41歳男性。ゲーマーだったエリオット氏は、世界の難事件の解決に立ち向かおうと考え、国際メディアを賑わす謎の事件を探るようになった。それぞれの特殊技能を持つ世界各地の仲間にオンラインで声をかけ、ネットワークで調査を行うスタイルを確立した。

ベリングキャット

 この調査集団を「ベリングキャット(bellingcat)」と名付けた。

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 「ベリングキャット」の由来は、「ネコの首に誰が鈴をつけるか」というネズミたちの悩みを描いたイソップ童話にちなんだもの。

 このような調査を行うベリングキャットの調査員らは、報道機関に転職している。

新型コロナウイルスの動画

 新型コロナウイルス感染において、当初、武漢が感染の中心地となった時、現状を訴える動画が中国国内のSNSにアップされ、それが世界にも拡散した。しかし、これらの動画が中国政府によって次々と削除された。ところが今度は中国政府の手が届かないYoutubeや海外のサイトなどに、削除されたコピー映像がアップされた。
 削除された動画をアップした中国国内の若者をネットで探り当ててインタビューを行った。これもまた、オープンソース・インベスティゲーションの一つであろう。

 IPアドレスやメールアドレスから攻撃者を特定する手法もオープンソース・インベスティゲーションに近いような気がするが、リアル映像、画像よりかは情報が乏しく難しいかもしれない。

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