終点駅

言葉を着飾ってみても、それは俺じゃない。
別の誰かみたいだな。
言葉をなぞる度に、ぞわりと鳥肌が立つ。
別の誰かみたいだな。
陰る月が笑ってる。
何処かの誰かが、吐き出した言葉を、
継ぎ接ぎ、自分を演じてさ、
ふとした時に、プツンと切れる音。
此処が終点駅。
多くを知らない。小さな端末に頼る日々。
指先が紡ぐ言葉は、哀でしかない。
言葉を着飾ってみても、それは俺じゃない。
別の誰かみたいだな。
薄ら笑いを浮かべて、心に涙を溜めて。
別の誰かになりたくて。
自己嫌悪に麻酔。雑踏に擦り切れる思考。
ひそひそ話す声が、針のように突き刺さる。
もう何も聞きたくないけど、
静寂は痛過ぎるから。
音の温もりを探して、今日も耳を塞ぐ。
醜い俺は嫌いかい。
何処かの誰かが、吐き出した言葉を、
継ぎ接ぎ、自分を演じてさ、
ふとした時に、プツンと切れる音。
此処が終点駅。
此処が終点駅。


(2021/02/15)

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