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余談メインの夢日記 5/19

 夢には、永山瑛太が主人公として出てきた。

(昨日、ドラマの「あなたがしてくれなくても」を見ていたから出てきたんだと思う。(瑛太といえば、上野樹里や長澤まさみのイメージがあって、それは昔のドラマ「ラスト・フレンズ」から来ている。錦戸亮の怪演は未だに鮮明に覚えている。大好きだったラスト・フレンズを思い出したいがために主題歌の宇多田ヒカル「Prisoner Of Love」を聞くときもある。)(あの数年後にやっていた松本潤・新垣結衣・小栗旬の「スマイル」というドラマも相当救われないしんどい作品で、あと瑛太・満島ひかり・風間俊介「それでも、生きてゆく」と(風間くんのサイコ演技が素晴らしかった)、壇れい・仲間由紀恵の「美しい隣人」の四セットが僕の思い出ドラマになっている。))

 彼は部屋が真っ暗な状態では寝られない癖があるので、明るくしたまま布団で横になっていたら、遠くで床にクリップが落ちたような小さな物音がした。

(僕は真っ暗でないと眠りづらく、逆だなと思いながら夢を見ていた。(部屋が明るい場合、自分は寝ようとしているのに「部屋が起きている」と思ってしまい、そこのずれがずっと気になってしまって寝つきが悪くなる。自分も自分の周囲も眠りに傾いていて欲しい、と思う)映画「ミッドサマー」で、日が沈まないことがだんだん怖く感じてくる描写があるが、あれは確かに苦痛だなと思う。起きている気配が全世界に満ちているような感覚、自分一人眠っていては怒られそうな感じに、ぞわぞわと恐怖を覚える。)
(下村敦史『闇に香る嘘』とか、映画の「見えない目撃者」とか、目が見えない人が主人公のものを見るたびに、''物音''の重要性の違いを感じる。物音、という言葉からイメージするのは、正常なものが発する大きな音ではなく、何かが落ちたり当たったりして偶然鳴っただけの小さな音、であって、どうでもいい。でも見えない人にとっては、そこで音がした、ということの重要性が上がるはずで、理由のない物音、はどれくらい大きく聞こえるものだろう、と思う。(物の音に限らず、おそらく信じられないくらいの些細な音を私たちは生活上たてている。音の世界のことをいちいち認識していたら追いつかないのでしていないだけで、考え出すと相当にmusicalな世界だと思う。)(夢の中で音に耳を澄ませる、という経験は、もしかしたら今日が初めてなのかもしれない。))

 何かが落ちたのか、と気にせず眠ろうとすると、また同じところで何かが落ちる音が聞こえた。もしかして何かいるのか? と思ってその方向を見てみるがもちろん何もいない。

(色んなホラー映画や小説を見てきたが、「繰り返し」という動作はシンプルに怖い。(なぜなら、人は、同じことを全く同じように繰り返すことをほとんどしないから。同じ繰り返しは明らかに''退屈''で、だからほんの少しくらいは変えながら同じことを行う。退屈だし、再現が難しい。何気なく自分がしたことについて、精確に記憶していないから、細かい再現は出来ない。毎朝同じ人とすれ違うとして、同じ顔と姿勢と声と言い方で「おはようございます」を言い続けることは、ふつうに再現が難しい。どんな姿勢と声量で言っていたかをいちいち記憶していない。できたとして、まずそんなことに意味は無いから、退屈で、していられない。)それを、精確に繰り返すことができる人間、は、そのとき、怖い。前と同じ動きを記憶していることも、それを再現することが出来ることも。「シャイニング」で父親がタイプライターを打ち込むシーンとか。ずっと同じことを連呼するテレビとか。10年くらい前のほん怖の大島優子が出ていた5分くらいの短めの話(上から音がして天窓を見たら、空から赤い服の女が飛び降りてきて天窓にぶつかり、5秒後くらいにまた同じ女が飛び降りてきてまた天窓にぶつかる、を繰り返し続ける話)もかなり怖かった。)
(漫画やライトノベル等で異世界転生が流行る前に流行っていた、セカイ系のループ作品については、形は似ているが、抱く感情は逆になっているのがおもしろい。セカイ系における繰り返し(ループ)は、「試行錯誤」として現れる。明らかに退屈な世界の繰り返しだが、それに恐怖するわけではなく、こんな世界はおかしい! としてそこから脱出を試みる。繰り返される要因は何なんだろうと考え、自分が動き出せばこの退屈なループから抜け出すことが出来る、世界を動き出させることが出来る、と考えていく。(「エンドレスエイト」、「ビューティフル・ドリーマー」、などなど……)むしろループものの作品は、繰り返しを脱却する前に、「このループの中に身を任せたい」と繰り返しを好むような感覚が見られたりもする。みんなといるこの夏休みが永遠に続けばいいのに、みたいな。)
(それと比べると、繰り返しが怖い、と思う条件には、「自分が動いたらその繰り返しが止むはずだという確信が、全く持てない状態」があるかもしれない。)

 すると足元で座っていた女性が、当然かのように、「物音がするときは、そこに必ず人がいるんだよ」と言った。「人がいない時は、物音がしないし、物音がするときは、人がいる。簡単でしょ?」

(自分は足元に女性がいることに驚いたが、夢の中の彼はその女性が知り合いだったからか、何一つ驚いていないようだった。)
(でもこの女性の言い方はかなり嫌な言い方だった。「小学校で習ったでしょ?」が後に続きそうだった。大人が、大人に対して、''あなたは物分りが悪そうだから子どもに言うみたいに言うよ''の意を決して「〜は〜だからね、〜なんだよ、わかった?」とあやすような言い方になるのが本当に許せない。人という存在に対してのリスペクトが根本的に欠けている人だ、とそこで判断するようにしている)

「そんなに気になるなら見てくれば?絶対誰かいるから」とその女性が言うから、見てみようと思った。布団から立ち上がろうとしたとき、また同じ場所で同じような音が鳴った。女性は手を叩いて「早く♪早く♪」と急かしている。

(急かすなよ、と思った。急かすのはいいとして、急かすときに手を叩くなよ、と思った。)

 彼は立ち上がって、ゆっくりその遠くに向かって歩き始めた。おそらく音で判断すると隣の部屋の隅の方だと思う。ゆっくり、何がいてもいいように、ゆっくり歩く。そして鳴っていると思っていた場所を見ると、そこには何もいなかった。

(ホラーが好きだからなのか、SFが好きだからなのか、昔から僕は、変なことが起きて欲しいと思っている節がある。変わらない日常、も魅力的だとは思うが、何か少しくらいは変なことが起きてもいいんじゃないかと思っている。オカルトっぽいことだけではなくて、たとえば本を読むときも、一文字くらいは誤植があった方が楽しい。喫茶店でなにか頼んで、店員さんが手を滑らせてこぼしても、「目の前でこぼれた」というイベントが発生しただけで実りがあると思う。こぼれなかったら何も無く済んでしまっていた。
 ポジティブシンキングという訳では無いが、起こらないよりは起こった方が人生上面白いんじゃないか、という判断基準がある。(だから全員が全員同じことをしている、という状況にあまりいい気持ちは持てない。就活とか体操とかでかなりの人数が全員が同じ服装で同じ動きをしている、というのが見ていられない。1人くらい急にバク転して欲しいと思ったりする。)
 だから、実際に物音がしたときも、幽霊じゃなかったらいいな、とは思わず、「そこに幽霊が本当にいたらおもしろくなるのにな」と思って近付いていく)

 なんだ居ないのか、立ち上がって損をしたと思ったら、自分の右にいたさっきの女性が、
「どこ見てるの、ちゃんといるじゃん、そこに」
 と棚の下の狭い空間を指さしている。
 部屋が明るいのではっきり見えたが、男の子が、横を向いて、体育座りをして、棚の下にうずくまっている。さっきまで学校にいたような服装だから、「家に帰った方がいいよ」と言いたくなったが、それはやめた。
 何も言えずその子を上から見ていたら、ポケットからクリップを一個出しては、近くの床に投げている。それを何度か繰り返している。
「この子、どうすればいいと思う」
 と横の女性に尋ねたら、半笑いで、さっきの小学生相手にするような顔になって、
「それ私に聞く?」
 と言われた。

(明らかに相手をなめているときの人間の顔ほど醜いものは無い。)
(霊がいるよりも、完全に生身の知らない人間がそこにいる方が怖いことは確かだと思う。霊であればこの世のものでは無いとかなんとか言って、気持ちで切り抜けることもできるだろうが、本当の人間であった場合、ふつうに死の危機を感じて怖い。扉の鍵を開けて家に入ったら知らない人がいる、という状況があるとしたら、ふつうに殺されるかもしれないし、住居侵入罪も相手にかかることになる。もしかしたら自分が知らない家に入ってきた可能性もある。現実であるだけで、自分が対処すべきことが膨大に増える。
 もし部屋に知らない子どもがいたとき、放っておけば自分が犯罪者になってしまうかもしれない。何らかの対処を必ずしなければならないという圧がかかる。)

 その棚の下の子どもを見ていると、別の部屋からもコンコンと物音がしている。まさかもう一人居ないだろうなと思ったら、またそれとは別の方向からトントンと物音がする。横の女性を見ると、半笑いで「もちろん」と言い、棚の下の子どもは彼の方を見て「友だち」と言う。
 直後、三方向くらいから、「友だち」と子どもの声が聞こえてきた。
 そのとき何故か、みんな、自分の声に似ている、と思った。横にいた女性は「似てるっていうか、そうだから、そうなんでしょ」と今度は怒ったような言い方だった。

 そこで夢は終わった。
 怒られるのは嫌だな、とだけ思った。


20230519



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