川に柳（川柳50句）

　　川に柳　　　丸田洋渡

ふつつかな加害者ではございますが

犯罪が椅子に座っていた様子

爆弾魔がかけた九つのアラーム

燦々と霊に火の粉が降りかかる

今あなたへと捜査線上のアリア

鼓笛隊らしき五人が浮上する

比喩とかじゃない血祭だった

光源みたいな犯人だった

スローモーション・アンド・バレット

地球でチームプレーってこと？

　○　

おふたりは百階の放送委員

夜となれば琴線を触れあうように

うすやみのバウムクーヘン的旅情

七年かかる視力検査の七年目

廃校は校を廃すと書きますが

学校の倒立を見せられている

一夜漬けとは勉強にほかならず

まぐれだというサインが欲しい

随分といたいけな分度器

先生たちのロマンスと非ロマンス

美化されるのが取り柄移動教室

大丈夫恍惚が見てとれたから

頭に来て壊そうとしたかき氷

私たちには教室が憑いている

訃報ならフライパンから手を離す

飛ぶ椅子と飛ばない椅子と銀のナイフ

忘却に次ぐ忘却に火の脚色

　○

宇宙なら水性ペンで描ききれる

星空が映写機よりも下にある

竹林の中ということだけ分かる

金の所以は泳いで示す

婉曲で猥褻で斬新な歯朶

灰色の犬だけが気がかり

湖を飼っているなら分かるはず

花に嵐・海に雷・川に柳

原風景がやみつきになる

誕プレは巨大武器セット一式

時効って無くなりましたっけ？

むやみやたらと有刺鉄線

いやらしくジェットコースターが止まる

解かれないことに美があるというのに

百階で知る爆弾の作り方

みだらに思い出さざるを得ない

早業のロープさばきが活きるとは

硝煙を卒アルが吸いこんでいく

　○

運命の本質は蝶なのだから

アルミ缶神に指紋があるとして

ということは地球が事故物件なのか

フラフープからフラフープまで。

川に柳　その川は赤色だった

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読んでいただきありがとうごさいます。
ふだんは俳句も短歌も作っています。
川柳はできるだけ置く（フルーツを熟させるために使う''置く''）ことが大事だと思っているので、更新頻度は下がるかと思いますが、川柳も作っています。よろしくお願いします。

〈過去作品〉