指す将順位戦8th振り返り 2回戦 VSトミエルさん戦

こんにちは。
前回の記事を見てくださった方、ありがとうございました!
今日も引き続き振り返り記事を書きます。

2回戦のお相手はトミエルさんです。トミエルさんは振り飛車党で、指す順での対戦経験もあります。Twitterで毎日将棋の振り返りを行っていてとても熱心だなといつも思ってます。ウォーズを週に数局指すだけの私とは大違いです。
本局はこちらが相振りを目指すか、居飛車を指すか選択の余地があると思っていましたが、深く作戦を立てることはせず、当日どのような展開になるかで決めようと思っていました。

今回も棋譜を最後に載せているので、並べながら見るとわかりやすいと思います。


超急戦を挑む金上がり

実戦は後手のトミエルさんがゴキゲン中飛車を採用してきたので、対策としてはごく少数派の超急戦の姿勢を見せました。こういった作戦選択は特に大会などの一発勝負で有効で、相手を「こちらは超急戦を研究してきている→妥協して無難な形を目指そう」という思考に陥らせることができれば大成功です。超急戦自体は居飛車が優勢を築くのも容易ではないですが、振り飛車が回避してきた場合は通常の形に比べて非常に作戦勝ちしやすい形になります。個人的にはゴキゲン中飛車を指す以上、超急戦くらいはしっかり勉強していないとまずいのではないかなと思っています。振り飛車党は居飛車党の限られた作戦の対策を持っていればいいのに対して、居飛車党は相居飛車などに加えていろんな筋の振り飛車を対策しなくてはいけないなか、振り飛車党側が研究負けを認めるのはかなり悔しいからです。

本譜はそういった目論見を察してか超急戦を後手が受けて立ち、激しい展開になりました。

ここで想定していない手が飛んできた

ここまでは超急戦の中では割とオーソドックスな展開で、見たことのある人も多いと思います。しかし、私はここで8九馬か9九馬の二択だと思っていて、その2通りにはある程度の方針があったのですが実戦は7二玉。はじめて指された手で混乱しましたがソフト検討すると8九馬に続く次善手に挙げられており、私の勉強不足でした。そもそも私の超急戦の知識がソフト発達以前の段階で止まっていて、あまり実戦級ではなかったなと反省しました。

こうした早々に予想外の展開になったときの考え方として、私は「なるべく自分の知っている形に近づける」という意識で指しています。特にこのような激しい展開で臨機応変に対応しようとすると見たことのない筋にハマったりして一撃で負けてしまう可能性があるので、大きな方針転換をしなくて済みそうな手を選べると力を発揮できずに負ける可能性が下がりそうです。本譜の7五角もよくある将棋に近づけようとする一手でしたが、実際悪手ではないようです。

ここでの8二歩は悪手だった

少し進んで上図になりました。少し前に8七馬で8筋の歩が切れたことで、8二歩が手筋になると思っていましたが、最悪でした。平凡に同玉と取られた形は6三地点こそ破れるものの後手玉が深くなっていて序盤で指した7二玉が最大限活きています。ここは7二玉を無駄手にするためにも6三で清算して玉を露出させるのが勝りました。本譜はここで形勢を損ねました。

平凡に7六飛で悪い

本譜は相手玉を自ら深くした挙げ句、飛車まで捌かせてしまい大劣勢です。ここでは自然に7六飛と角取りで歩を削っておけば、6八歩や5七歩などの手筋でこちらの居玉が今にも寄りそうなのでかなり後手が良さそうでした。実戦はややひねった感のある8八馬。3二との時に1一馬を見せて銀取りを間接的に牽制した手です。しかしここは先手のチャンスで、8四歩と玉頭をこじ開ければ深かった後手玉の弱点の上部から攻めることができ、先手優勢でした。本譜は8八馬に反応して狙われそうだった角を捌こうと6六角としたため再び形勢不明の将棋になりました。6六角は直前の7六飛を恐れていたことによる指し手なので、このあたりは人間的心理が働いた進行と言えそうです。以下5七歩には怖いようでも6七金と先手を取るのが大事で、後手に金駒がないので5八への打ち込みは大丈夫です。

本局2回目の手筋の悪手

6七金に2六飛と回られたところ。2九飛成を防ぐ手段が難しく、2八歩ではいかにも心細いです。ここで1八角が攻防手風だと思い打ちましたが、これも手筋を履き違えた悪手でした。2六飛は一見2九飛成の一点狙いに見えますが、2八角も狙っています。この時1八角は何の防ぎにもなっていないどころかより2八角を効果的にしています。実際は2筋を受けずに8四歩と攻め合い、2九飛成には4八玉で案外耐えていたようなのですが、飛車を成らせるのはさすがに抵抗があるので2八歩が現実的最善手だったようです。本譜は2八角を見送り5五桂と頭上から攻めてきたので、また少し指しやすくなったようです。

わかりやすい攻めがあるときは駒の投資を惜しまない

進んで5七角と打ち込まれた局面。同金は同歩成なので論外として、4八銀や4九玉も綱渡りの受け過ぎて指し切れません。こちらは3二とというわかりやすい手が残ってますし、角を追って6六角成とさせれば6二歩の攻めも生じます。よって4八銀打としっかり投資して、それらの攻めを間に合わせるのが正解です。以下6七桂成の局面も同様で4一とおよび6二歩を間に合わせるために、6七同金同馬に5八銀の投資が急所です。本譜は4一とおよび6二歩が実現し、勝ちになりました。

本局は超急戦の出だしから勉強不足が祟って形勢を損ねたものの、なんとか勝ちを拾えたという内容でした。古く浅い知識では大けがをすると反省しました。対局相手のトミエルさん、ありがとうございました!

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

開始日時:2023/06/16 21:37:57
棋戦:自由対局 持ち時間15分
手合割:平手
先手:jellyfish0611(2772)
後手:* tomikenn(2500)
手数----指手---------消費時間--
1 7六歩(77) ( 0:10/00:00:10)
2 5四歩(53) ( 0:01/00:00:01)
3 2六歩(27) ( 0:46/00:00:56)
4 3四歩(33) ( 0:03/00:00:04)
5 2五歩(26) ( 0:01/00:00:57)
6 5二飛(82) ( 0:01/00:00:05)
7 5八金(49) ( 0:36/00:01:33)
8 5五歩(54) ( 0:58/00:01:03)
9 2四歩(25) ( 0:00/00:01:33)
10 同 歩(23) ( 0:01/00:01:04)
11 同 飛(28) ( 0:02/00:01:35)
12 5六歩(55) ( 0:01/00:01:05)
13 同 歩(57) ( 0:07/00:01:42)
14 8八角成(22) ( 0:01/00:01:06)
15 同 銀(79) ( 0:01/00:01:43)
16 3三角打 ( 0:01/00:01:07)
17 2一飛成(24) ( 0:01/00:01:44)
18 8八角成(33) ( 0:01/00:01:08)
19 5五桂打 ( 0:00/00:01:44)
20 6二玉(51) ( 0:01/00:01:09)
21 1一龍(21) ( 0:24/00:02:08)
22 5四銀打 ( 0:02/00:01:11)
23 6六香打 ( 0:00/00:02:08)
24 7二玉(62) ( 0:29/00:01:40)
25 7五角打 ( 0:12/00:02:20)
26 2一歩打 ( 0:10/00:01:50)
27 同 龍(11) ( 0:37/00:02:57)
28 3二銀(31) ( 0:03/00:01:53)
29 1一龍(21) ( 0:03/00:03:00)
30 8七馬(88) ( 8:07/00:10:00)
31 2三歩打 ( 0:39/00:03:39)
32 2一歩打 ( 0:05/00:10:05)
33 8二歩打 ( 0:34/00:04:13)
34 同 玉(72) ( 0:56/00:11:01)
35 6三桂成(55) ( 0:08/00:04:21)
36 同 銀(54) ( 0:10/00:11:11)
37 同 香成(66) ( 0:02/00:04:23)
38 5六飛(52) ( 0:01/00:11:12)
39 2二歩成(23) ( 0:09/00:04:32)
40 8八馬(87) ( 3:41/00:14:53)
41 6六角(75) ( 0:25/00:04:57)
42 同 馬(88) ( 1:06/00:15:59)
43 同 歩(67) ( 0:02/00:04:59)
44 5七歩打 ( 0:16/00:16:15)
45 6七金(58) ( 0:10/00:05:09)
46 2六飛(56) ( 0:25/00:16:40)
47 1八角打 ( 0:01/00:05:10)
48 5五桂打 ( 0:48/00:17:28)
49 5七金(67) ( 0:08/00:05:18)
50 5六歩打 ( 0:54/00:18:22)
51 5八金(57) ( 0:01/00:05:19)
52 5七角打 ( 0:19/00:18:41)
53 4八銀打 ( 0:54/00:06:13)
54 6六角成(57) ( 0:44/00:19:25)
55 3二と(22) ( 0:03/00:06:16)
56 6七桂成(55) ( 0:58/00:20:23)
57 同 金(58) ( 0:33/00:06:49)
58 同 馬(66) ( 0:42/00:21:05)
59 5八銀打 ( 0:01/00:06:50)
60 6六馬(67) ( 0:16/00:21:21)
61 4一と(32) ( 0:24/00:07:14)
62 1一馬(66) ( 0:55/00:22:16)
63 6二歩打 ( 0:01/00:07:15)
64 6八歩打 ( 0:55/00:23:11)
65 同 金(69) ( 0:31/00:07:46)
66 7九飛打 ( 0:29/00:23:40)
67 6九金打 ( 0:01/00:07:47)
68 8九飛成(79) ( 0:49/00:24:29)
69 6一歩成(62) ( 0:02/00:07:49)
70 5七桂打 ( 0:56/00:25:25)
71 7九金打 ( 0:45/00:08:34)
72 6九桂成(57) ( 0:49/00:26:14)
73 同 金(68) ( 0:01/00:08:35)
74 7七馬(11) ( 0:53/00:27:07)
75 6八歩打 ( 0:12/00:08:47)
76 9九龍(89) ( 0:53/00:28:00)
77 7一と(61) ( 0:08/00:08:55)
78 9四歩(93) ( 0:57/00:28:57)
79 8五桂打 ( 0:10/00:09:05)
80 投了 ( 0:45/00:29:42)
まで79手で先手の勝ち


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