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sora tob sakana last live 「untie」を目撃した。

★配信をまだご覧になっていない方は、パフォーマンスのネタバレになる部分があるのでスルーをしてください。あと、これでも推敲した方ですが読みづらいです。それだけ生の感想っぽいと思っていただければ。





4時間半の公演が無事に終わって、私はすぐに席を立つことができなかった。席を立つのは作品の終わりを認めるということ。なるべく解散に向けて前向きな気持ちを用意して臨んだつもりだったが、やはり寂しいのは寂しいに決まっている。
魔法のようで、決して魔法と簡単に言い切ってはいけない彼女達の努力が積み重なった6年間に幕が降り、彼女たちは煙に巻かれて消えた。
そして日常へと歩いていった。

解散ライブを経た今は、彼女達についてまずは十二分に休んでもらいたいと思っているし、これからの新たな門出を祝う気持ちでいっぱいでいる。
ただ、「もうsora tob sakanaの楽曲が奏でられることはない」という事実だけ、それだけが悲しい。


当日は定演にほぼ同行していた先輩と参加した。
sora tob sakanaを全曲浴びた我々の帰り道は、私が喋らないとほぼだんまりになる程。
明日からどうしよう…何を糧に生きよう……今後彼女らは何をするのかな……元気な姿見られないな………とか、2020年の楽しみもう無くなったとか。後ろ向きな話がポツポツと出た。それだけ布教に成功したと言えるのではないかと思う。


ステージに出てきて最初の決まり文句が
「sora tob sakanaです」ではなくて
「sora tob sakana始めます」であって。
結局メンバー=sora tob sakanaでなかったというか。
MCでも言っていたように「決められた世界観の中で生きる」、あくまで表現者ということだったのかなと思う。その点において本当にプロで、それがプロデューサー作曲の世界観や、マネージャーが勝ち取ってくれた仕事で作り上げられていて、彼女たち個人の意思が介在していなくても、幼いながら常に「sora tob sakana」をパフォーマンスしてくれた。
(まあ結成したての頃は平均年齢13歳くらいだから介在してなくて当然といえる。)


でもこころとからだが大人になるに連れて、やっぱり自我は目覚めるし、だからこそ「●●ガキ」なんだろうし。
だからこそ、最後のdeep blueのメイン•サブ衣装、ラストライブ新衣装があれだけカラフルで三者三様のテイストになっているのは、それぞれの意思が尊重されているようで見ているこちら側もとても嬉しく思えた。新衣装はdeep blueのアクセが散りばめられた民族衣装と似た配色で、あえてカラフルな布だけで、一部トレンチのような箇所も見られるポップで素敵な衣装。愛ちゃんの左肩の部分が、ディズニーの白雪姫のように見えてとても可愛かった。


【untie】とのコンボを決めると思っていたので、初手に【ribbon】が来たのは個人的にかなり不意打ちだった。【ribbon】→【夜空を全部】冒頭までドレープ幕に包まれシルエットしか見えない状態が、蛹だった頃の比喩の様。ライブの進行につれ「あ、今日はやっぱり全曲バンドで披露するんだ…」という予感がすると、cocoon epで孵化して可愛い衣装で飛び出していく彼女たちを表現したのが【ribbon】なのだから、初手で当然だと思える。


解散発表後は定演やツアー千秋楽などでMCをかいつまんでいる傾向があったので、照井氏との初会話のある今回のMCはとっても良かった。
【ささやかな祝祭】の間奏メンバーソロ回しでの紹介、いつも「こんな素敵なバンドメンバーと…」と恐縮そうにしているけど、ようやく同じラインに立ってステージを作っている感がある、明けのMCで照井氏とステージ上で初めて喋っていて、「そうそうこういう関係性が見たかった」…と。これだけでも大変満足。


余談ですが、照井氏や庫太郎氏がジャズマスをジャキジャキ掻き鳴らすのが本当に好きなんですが、【透明な怪物】や【untie】ではもう渾身の弾き散らしでしたね…中継カメラにも映してくれてありがとうございます……【夜空を全部】のアウトロは本当に泣きのギターだった………


最初のMCでは、「ここまで16曲披露してきましたが、いつもだとここで『おつかれー!』て言って帰るんだけど、まだ1/4なんだよね…」「頑張ろ…!」とお互い励ましていて、まだいつもの様子だったけれど
「私らがライブビューイングって何?て感じ」「鋭角な日常で最後に本物の火柱を…」
「歌うつもりなかった暇を昨日声をサンプリングして…」
やりたかったことを最後にできた、実現させたと、嬉しそうにはしゃぐ姿に少しずつ切なさを覚える。
最後の関係者への丁寧な感謝の言葉、ファンへの想いを口にする時、最後まで泣かずに自分で紡いだ言葉で話しているのを見て本当にしっかりしている(し過ぎている?)、もう誰が見ても自律したりっぱな大人だ。
ラスト定演での照TONの部屋(おまけの座談会)が、私が体験できなかった5年分を補ってくれたようでTONTONさんへの言葉には当事者じゃないのに涙腺が緩んだ。
「明日から一般人だって、どうするよ〜」と風花ちゃんが喋った後、もっと感慨深くなるかと思ったら「明日は寝る」となっちゃん。笑
それはそうだ。本当ゆっくり休んでもらえたら嬉しい(今日終わりは特典会もないし)
「どの大人を信じたらいいか見分けがつくようになった」、アイドルってやっぱり闇深い。アイドルって何なんだろう。歌って踊るって何だろう。何でアイドルじゃなきゃいけないんだろう。


VJについては、ライブビューイング会場では3人にスポットが当たった中継が多めだったので、残念ながらVJとのコラボレーション全貌はBDを待とうと思う。その中でも印象的だったものを以下に記す。
【広告の街】
全体が見れなかったので合ってるかわからないけど、今回のために新たに作られてたのと、従来のものと比べて白黒多めとシンプルなつくりで、でもメンバーのパフォーマンスが引き立つようなものに仕上げられていたように思う。
【シューティングスター•ランデヴー】
もっとTONTONさん渾身のVJ見たかった……!ライブビューイングだと3人がよく映ったので、コラボレートしている所は円盤で確認したい。無観客配信になってからのVJはまじで素晴らしすぎて……3人を追いかけるように天使の輪が動いたり、腕を大きくクルッと回せば流星がついてくるなんて、なんて可愛らしいのか。天才すぎて見てた当初スクショが止まらなかった記憶。
3人の魔法が最後爆発して会場にキラキラ……と降り注いだと思っていたら↓
【魔法の言葉】
魔法かかったわーーー!!
ダンスのソロ回しのある特殊なイントロ大好き。


そして【WALK】
玲ちゃん卒業時にもセトリに入っていたと聞いていたが、これがもうVJが神憑りすぎている。粋。
これまでのライブで披露されたVJが1枚ずつ、セピア色の写真に収められて上へと上がっていく。ずっとオサカナのバックでパフォーマンスをしていた、という点で確かになっちゃんの言う通りTONTONさんはもう1人のメンバー。
そして鯨が🐋、ライブの終わりを予感させる鯨がオサカナの最後に迎えにきてくれたような、やっぱり守護神みたい。

「歩く」というのは自分の意志が伴って初めてしっかり踏み出していける行為、そのナンバーをuntieを除く全曲の最後に持ってくるのは、元メンバーの卒業ラスト曲以来披露してなかった大事な曲というのもあり、本当に前向きな解散を体現しているんだなと思う。

ニュースト(メジャー後初タイアップ)
lighthouse(ラス曲定番、初めて銀テープが飛ぶ)
そしてWALKだもんなー…。(ここめっちゃ独り言)

50曲の締め【untie】
初披露し歌が終わった後、3人が手を繋いで向かい合わせになり
3人の表情を3つのカメラで抜く、愛ちゃんのとびきりの笑顔、なっちゃんの2人を見つめる優しい目、風花ちゃんがぎゅっと目を瞑った笑顔が見えた瞬間、画面に大量の分厚いスモークが流れ込む。
(見えなくなった!)と頭に過ぎった時にはもう、バックからライトが眩く客席を照らし
アウトロで楽器陣が思い思いに弾き鳴らす、掻き鳴らす。
歓声を上げられない観客の代わりに、メンバーの姿が見えなくなったのを悲しんでいるような叫び声鳴き声にも聞こえる。
そうして、スモークが薄くなる頃にはメンバーの姿は見えなくなっていた。

この世に、sora tob sakana を体現する者はいなくなった。


コロナ禍での発声禁止ライブを逆手に取った演出もとてもよかった。【嘘つきたちに暇はない】や【帰り道のワンダー】で一緒に歌いたかったなーというのはあったけど、あえてメンバーは歌わなかったり、逆にそこだけアカペラにして強調したりもあり、アレンジがとても練られている。
あと、これは完全に個人的な感想なので批判は受け付けないんですけど
今回のライブに限ってはコール&レスポンス無くて良かったと思っている。世界観を打ち壊されるからあんま好きじゃ無くて。ステージングを見たいから、急に現実に引き戻すようなことはしないでほしくて。でも今回それが無かったから非常に終始美しかった。


翌朝、予め10時出社にしていた通勤の道でWALKを聴く。意外と短い曲で、でも玲ちゃんを送りだすように3人がAメロを歌って、サビで合流して「大好きだよさようなら」と玲ちゃんが返す。
「知らない景色を私は歩いていく」に向かって畳み掛けていくところに連れて、自然と聴いてる私の足にも推進力が加わる不思議な曲。

1週間過ごしてみてライブの音を上書きしたくないと思いつつも、
今回初めてバンドで披露されたり、私自身初めてライブで聴けた曲もあったり。やっぱりCDやヘッドホンで聴くよりも、より良さが発見できるのがライブだし。
個人的にこのコロナ禍でまじでありとあらゆるライブの予定や遠征がなくなったのもあって、正直半年以上は心がカラカラに涸れた日々を送ってたから。解散ライブの後なのに喪失と同時に心が満たされている不思議な感じ。だからあつもなら解散ライブの後は聴けなくなる期間があったけど、今回は意外にも翌日から聴けていた。
それでもまだuntieは聴けなくて、あの時の映像付きでしばらくは冷凍保存しておきたい。アーカイブもどうしようかと思ったけど、記憶を寝かせておいて3ヶ月後のBD到着を待ちたい。


初めて定演に何度も行って、天体の音楽会で色んなアイドルも知れて、チェキも一回だけ買わせてもらって、最後にはなんとか言葉をまとめてファンレターも人生で初めて書いてしまった。こんなにも応援したい人達に出会えてとても幸せだった。半年しか触れてきてないって前の記事でもずっと言ってたからそう思いこんでたけど、flashきっかけだからいつの間にか1年経っていたんだと。この間に転職もして喪に服して、心が疲れていたことがあったので毎朝flashに鼓舞してもらってた。早いね。

一応ファンレターで感謝の言葉を綴らせていただいたので最後特に何も書かなくていいかな…。

これからも皆の歌に助けられると思うので、お世話になります。よろしくお願いします。


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