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表現と認知の個人的な考察

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個人のライフワークのひとつとして、観察や反証から得られたものをまとめます。
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記事一覧

仕組みはつくるけれど、ユーザーは仕組まない

仕組みとユーザー体験に関する課題意識をつらつらと書き出してみる。 ソフトウェアやシステムの設計をする際に「仕組み(しくみ)」という言葉を使ったり意識する。これは名詞(仕組み)であり、動詞(仕組む)にもなる。 誰が何をどう仕組もうと勝手だけど、ユーザーがそれを望むかどうかは分からない。「仕組まれる」ということは、いいことばかりでなく、不都合や不便益をはたらく可能性も大いにある。 仕組みを通じた体験を、ユーザーがどう感じるか。最終的には相手が決めること。としても、私たちの設

ワークショップをデザインするときに考えていること(ゆるゆるver)

先週出したワークショップデザイン入門ワークショップの記事より、もっとサクッと読める内容として以前LTした内容を記事にしました。 雑なラクガキと共に「サクッ」と読めるはず。気軽にみていってください!そして、興味があればぜひチャレンジしてほしいです。 ※以降スクリプトを画像キャプションに記載します ※スライドに英語を併記してますが、ほとんどDeepLなので校正協力いただける方はコメントください

雇われデザイナーはどうやってコアを獲得するか?

デザイナーのコア(核、本質)ってなんだろう? そして、それはどのようにして獲得するものなんだろうか。AIの話題が飛び交うタイムラインを眺めながら、こんな大きな問いについて思索している。 描けば描ける。大層なことを言わなくてもデザインタスクには取り組める。でも、なんとなく受け身で仕事してるだけでは手に入らないもの。偉人の言葉やデザインは響くものの、それとは違う。 そもそもコアってなんだ?どうやったら確かめられるんだろう。 自分の中でもかなりフワフワしている。経験や発達の

みえないブランドを捉えたい

この記事はinHouseDesigners Advent Calendar 2020の記事です🗓 事業会社でデザインチームリーダーをしています。ブランドを設計する機会があったので、どのような事前整理をしたか、これまでの経験も含めて書いてみました。 本記事でロゴなどデザインやアートディレクションのHOWTOは解説しませんが、ブランド設計のプロセスを経て、非デザイナーを中心とした関係者全体のデザイン方針に対する納得感やプロジェクト自体のクオリティが高まることを意図しています。

誰かの気持ちになることとアクティングアウト

この頃はTwitterをやっている。タイムライン上で同業の皆さんと話したり、いろんな意見を聞くことは嫌いじゃない。登壇やコミュニティ参加の機会に、多少のセルフブランディングをしながら職業人としてのアカウント色を強めている。 かたやnoteのようなインサイドアウトな行為はあまりしていない。放っておけば沸々と湧いてくるネタもある。こうやって自然と書き始めるのだから、人っておもしろいな、と思う。 自分のあり方を見つめ、さらに表現することはとても演劇的であり、自分のような自分でな

感動の取り扱いと解釈の必要性

感動した物語がすぐさま売り物のように扱われると、どこか裏切られたような気持ちになる。それが「死」を扱うなら尚のこと。 私たちは、売り物からたくさんの感動を受けている。何にどう感動しようと自由。泣くと分かっていて泣くことも、誰にも知られない涙も、どんな感受性でどう感動しても間違いはない。 けれど、それを左右する側はわきまえることがある。強い表現は受け手の感情に影響を及ぼす。やろうと思えば、いくらでも強く、いくらでも恣意的に脚色できる。そして、一定数の人をコントロールできてし

22歳の祝辞①を読んだ

話題になった大学卒業生、22歳の祝辞①を読んだ。 このあまり見たことのない祝辞に、それっぽさはない。メッセージのようでもなければ、何かを“隠してる”というふうにも、逆に“出してる”というふうにも感じない。削り出しの刃そのまんま、エッジの効いた22歳という感想。美辞麗句よりいくらかリアリティを感じた。 22歳。多くが大学卒業の年齢。思い返せば自分の22歳も、自分なりのリアリティのようなものを持っていた気がする。彼女とは程度がまるで違うけど。 学生だった頃、自分の力の自覚や

それっぽいUXやUIの前に、誰かが根底から求める価値をつかみたい

昨日Yahooさんで開催されたUX JAM in OSAKA 03 x Mix Leap合同イベントに登壇させてもらいました。たくさんの人前で話すのは、超ひさしぶり。 2020年、新年の抱負的に、UIやUXの前の、人の根底にある価値を探すことについて話しました。5分LTなのでアウトラインしか語れないけど。濃ゆい反応をいただけて嬉しかったです。 ぼくは、制作会社で10年、バイトなど含めると15年ぐらい制作業をやってきました。途中、つくることを目的にはしたくない、と思いながら

社員もブランドを捉えたい

事業のブランディング、ブランドについて考えている。 自分はいまデザイナーとして働いているけど、少なくとも、ロゴやタグラインを決めたら=ブランドとは思わない。大事だけど、即物的な側面はそのひとつ。それも、根幹がないと考えることが難しい。 機能や雰囲気の前に捉えるべきことがある。思索するほど、そういう気持ちが高まったので残しておきたい。 そのもの:自問するループの中でこれそのものがブランドだ!と定義して終わるなら、この話は終わる。これがブランドって、どれのことだ? ブラン

漠然と不安な(だけど特に何もない)状態をことばで反証する

他の人になったつもりで書くセルフワークです。読んでも得はありません。ネガティブな表現もしますが心配しないでください。心身とも健康です。 - - - 題名のような人のことを考えています。いま、来たる未来に漠然とした不安を抱えている人は、ザラにいると思います。 この記事は「こうすればいい」というメッセージではなく、そんな人の事実と感情に対する反証を目的に、ただのテキストの問答として記述します。 - - - 若年層は自己肯定感やなんだと言われるものの、同時代を生きる自分た

“できる”の線引きに悩める人へ

「あなたは何が“できる”人ですか?」 いつも“できる”という言葉は、捉えやすくて掴みづらい。 誰がどこで、どの範囲で、どの程度、どのように…。ひとくちに言っても、たくさんの“できる”があります。 自分が「できる」と思っていても、誰かには「できない」。ある環境では“できない”。いま仕事で学生の声を聞いていると、まだまだ自信のない青年たちの線引きが見え隠れします。 これは社会人になったとて変わらない話です。「できる」と思うものの、思ったようにうまくいかない。自分より他に理

現実は観察と認知によって作られる

「そんなことより」と言ってたら、らちが明かない。 たとえば、有名人を集めて桜をみるためのお金と、タレントの違法ドラッグ、そこに群がる方向の異なる批判。テレビもウェブ上も、お互いの関心と時間を奪い合うように、必死にニュースを取り上げている。 そんなことより、というと怒られるかもしれない。 そんなことより、今ぼくはスーパーの野菜の値段が気になるのだ。価格変動すごいし、毎年違う。生産量と流通量、購買量等々バランスでもって決められるんだろうか?安いのか高いのか、この先どうなるの

サービスで人の欲求も痛みもムゲにしない

どんな体験も、人が中心にあると考えます。自分が興味のないサービスには見向きもしないし、続かないアプリは消します。こんなドライなのに、サービス設計に取り組もうとしています。 よほどの強いニーズがなければ使われない。この“よほどの”を探すうちに、自分の取り組みが正しいのか、書きながら反証して確かめたくなりました。きっとこのモヤモヤは結果でしか消せないのだ、と思うし、大したノウハウも結論もないけど、よかったら読んでいってください。 思いや前提がユーザーたる誰かの本心をぼやかすた

スマホの写真と良さ・確からしさ

早速ですが写真と本文は関係ありません。 iPhone11と1億画素以上ある富士フイルムGFXの写真を比較する記事をみました。 https://iphone-mania.jp/news-263984/ 同じ縮尺で比較すると、被写体の輪郭、ボケ感、描写など、見栄えの点で前者が高く評価されていました。評価軸がよく分かりませんでしたが。 つい先日発表されたPixel4のカメラは隔世の感があります。暗闇を撮影する機能はバージョンアップし、カメラ単位の露出やドラマチックな星空を写