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男の子になりたい女の子と女の子で生まれた男の子

すみません番外編です。
お題チャレンジさせてください。
性転換についです。

ぼくには妹がいたんですが、彼はある時を境に弟になりました。ぼくは地方で一人暮らしをしてたので、その家族会議には参加してないのですが、本人から「男の子になりたい」とカミングアウトがあり、紆余曲折を経て、身体も戸籍も男性になった次第です。

男女平等とか、ジェンダーフリーとか言われてますけど、現実はまだその理想には追いついてなく、須く、うちの親も「性転換は認めない」と泣いたり怒ったり大変でした。

彼女は当時20歳を過ぎた頃で、何がきっかけでそのタイミングだったのかは知りませんが、まあ、限界だったんでしょう。

ぼくはそこらへんフレキシブルな方なので、性転換に対して特にネガティブな印象はなく、むしろ本人が望むならそうするべきだ、というか、それ以外の選択肢がないと思っていました。

ただ親はそうではなくて、「女の子として産んで女の子のして育ててきたから」と、それの一本槍でびた一文譲らず、毎日泣きながら電話をかけてきてました。

まあ確かに、ぼくは親になったことがないから、自分の子供がそうなった時の親の心境は想像の範疇を越えないわけですよね。もしかしたら、自分の子供が性転換をしたいと言ったら、止めてるのかもしれません。(ないと思うけど)

親と妹は冷戦状態で、ぼくが性別について調べ、間に入って親を説得する日々が始まりました。

今でこそ、女装家のテレビタレントが市民権を得て(こんな言い方怒られますかね)、活躍してくれてるおかげもあってだいぶ抵抗感は薄まってますが、世間にうっすらとある性の少数派に対する「変態」という偏見は、それまで女装家タレントをテレビで観て楽しんでいた親であっても、いざ我が子がそうなると色濃く浮かび、途端に拒絶反応を見せました。

調べてわかったことは、性別は遺伝子上4つにカテゴライズされていて

・肉体的性差
⇨身体の差異
・性自認
⇨自身をどちらの性で認識するか
・社会的性差
⇨社会的にどちらの性と認められたいか
・性対象
⇨どちらの性別が恋愛対象になるか

に分かれているらしく、それぞれの情報は独立して存在いるらしいです。

ぼくの妹はどういう状態かというと
・肉体的性差
⇨女性
・性自認
⇨男性
・社会的性差
⇨男性
・性対象
⇨男性(女性を好きになります)
こんな感じです。

では、ぼくの親がしきりに言う「女の子として産んだのに、男になるなんて…」という発言はそもそもあってるんだろうか。と、ぼくは思うわけです。

確かに、性転換って「変化」というイメージで、ぼくの家族の例でいうと女の子が男の子に「なる」っていう印象ですよね。
ただ、(言い換えと言われればそれまでですが)「変化」というよりは「回帰」とかのほうがしっくりきますよね。「なる」というよりは元の姿に「戻る」って言う印象です。

で、ここの解釈がうまくいかないと、(うちの親のように)心の折り合いがつかなくなるんじゃないかと思ったんです。

ぼくは「女の子を産んでその子が男の子になるんじゃなく、男の子を産んだんだけど身体女の子だったから戻すだけ」と親を説得しましたが、なかなか理解してもらえないですよね。
まあ最終的に理解してくれて(あるいは無理やり飲み込んで)、彼は無事、本来あるべき男の子の身体に戻れたので、大変だったけどよかったです。

時代も世代も変わるので、こういう偏見や思い込みも徐々になくなっていくのかな、とも思います。勿論それはいいことだと思ってます。
それは「少数派を擁護する」とか綺麗事を言いたいんじゃなく、遺伝情報に則って正常に生きてるだけで、そんな事を荒立てるような内容ではないという意味です。

ぼくは自分を男だと認識していて、ちゃんとシンボルもついた身体で生まれてきてますけど、もしこれがなくて乳房が膨らんできたら、どんな感情になってるか想像もつかないし、その状態で過ごした彼女の20年を想像すると、本当によく我慢してたなって心から思います。

彼はいま可愛い彼女ができて、とても幸せそうに暮らしています。

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