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オンラインセールスの2014〜売上が10倍になった話〜

こんにちは、LIFE STYLEの古城です。

全く気づかれていないと思いますが、今回のタイトルはClassの名曲「夏の日の1993」のオマージュです。そこまでして2014年を強調したかった理由は、私自身がオンラインセールスを取り入れて「あ、これからの営業活動が変わるな」と思った年だからです。

時は経ち、当社では新規事業の立ち上げを「助っ人-営業部」として支援していますが、SaaSやサブスクリプションモデルのビジネスに挑戦する企業が増える中、オンラインセールスチームの需要は確実に高まっています。

今回はオンラインセールスについて、実体験に基づく効果や導入のポイントを紹介します。

・オンラインセールスチームを立ち上げたい!
・自分達の事業に合うのか知りたい!
・従来の営業と何が違うのか知りたい!

こんな人たちの参考になれば嬉しいです。

1.オンラインセールスとは?

端的に言えば、オンラインで商談獲得(必要であればリード獲得も)から契約締結まで完結させることです。これまでのアポイントを取得、訪問での営業活動に比べて、圧倒的に時間を有効活用でき、経費削減しながら、エリアを限定されずに営業活動ができることがメリットだと考えています。

オンラインセールスは、ここ数年で注目されているインサイドセールスの一種です。インサイドセールスの白本として2020年12月に発売された茂野明彦さん著「インサイドセールス」によると、インサイドセールスは大きく分けて3つの役割があると紹介されています。

・問い合わせからお客様との商談の機会(以後、商談機会)を創出するSDR(SalesDevelopmentRepresentative)。
・ターゲット企業を選定し、主に手紙やアウトバウンドコールによって商談機会を創出するBDR(BusinessDevelopmentRepresentative)。
・客先に訪問せずにオンライン商談を進め、最終的な契約締結までを行うOnlineSalesです。

この中で、今回は3つ目のオンラインセールスに絞って実体験を紹介します!ぜひ、概念から学びたいという方は書籍を見てもらえればと思います。

2.なぜオンラインセールスを導入したのか?

タイトルでも紹介しましたが、私たちがオンラインセールスを導入したのは2014年です。2021年現在と比較するとオンライン商談は、提案をする側にも、提案をされる側にもほとんど認知されていませんでした。

そんな中、当社は創業した2014年からオンラインセールスを導入し、1年間で1,000社以上の新規契約を獲得することができました。創業間もない会社なので、営業マンは5人、それもBtoBの営業経験者は私も含めて1人もいませんでした。

本題に戻って、なぜオンラインセールスを導入したかというと、BtoBの営業経験が無いメンバーで早期に単月黒字化する必要があったからです。私たちは営業会社としてスタートしており、自社サービスを持っていなかったので、資金調達は難しく、すぐに利益を出す必要がありました。(じゃないと死んじゃう)

このような状況の中で、早期に利益を出すために3つの課題をクリアする必要があると考えました。

1.勝ちパターンを見つける
2.勝ちパターンが通用する業種業界に面でアタックできる
3.営業トークを随時更新し、共有できる環境をつくる

この3つをクリアするために、私たちが辿り着いた答えがオンラインセールスでした。

この書きっぷりだと、最初から戦略的にオンラインセールスを導入したと思われそうなので断っておくと、試行錯誤してオンラインセールスに出会った!が正しいです。前記した通り、BtoBの営業経験がないメンバーで始めたのでやり方も分からない状態からのスタートでした。

営業手法に関しては、やっていく中で変化していきました。

まずはご多分に漏れず、飛び込み営業から始まりました。飛び込み営業は1日で多くの店舗にアプローチができるものの、決済者になかなか会えず、会えたとしても「今は忙しい」で一蹴されてしまいました。

そこでテレアポ+訪問営業に切り替えました。この方法に切り替えてからは、1人あたり1日3件程度のアポイントが獲得できるようになり、商談から契約までの契約率が平均して20%を超えるようになりました。しかし、ここで3つの課題にぶつかることになります。

課題①:業界によって契約率が大きく異なる
課題②:契約率が高い業界の施設が同エリアに少ない
課題③:営業マンによって契約率が大きく異る

私たちは店舗やオフィスなど屋内の施設であればどんな業界でも対象となり得るサービスを販売していました。しかし、業界によってそのサービスで解決できる課題と優先度、持っている予算が違うため契約率に大きな差が生まれました。

数ある業界の中で、最も契約率が高かったのが学校法人でした。学校法人単体だと契約率が30%を超え、平均単価も高く、複数のキャンパスなどで導入していただくケースもありました。

私たちは学校法人にターゲットを絞りましたが、飲食店や美容室などと違って学校は一つのエリアに数えるほどしかありません。そうなると1日に訪問できる件数は1人3件程度だし、自分たちが訪問できるエリアだけだとリストがすぐになくなってしまいます。

また、営業マンが常に外出しているので、ロープレや情報共有をおこない営業トークをブラッシュアップできず、営業のナレッジが個人にのみ蓄積されるため、営業マン毎の契約率も大きく異るようになりました。これらの課題を解決するためにオンラインセールスを導入することしました。

3.オンラインセールスで得られた効果

まず先に、オンラインセールスを導入して2ヶ月で得られた効果を紹介します。

効果①:商談からの契約率が10%UP(20%→30%)
効果②:1人あたりの商談件数が約4倍に(2件/日→8件/日)
効果③:1件あたりの平均単価が約2倍に(6万円/件→12万円/件)

その他の効果も含めると、インサイドセールスを導入したことによって単月の売上は10倍以上になりました。想像以上の効果に当時はかなり舞い上がりました笑。ただ、効果だけ書くとミスリードになる恐れがあるので、要因についてもう少し深堀りたいと思います。

まず一番の要因は、最適なターゲットに面でアプローチできたことです。学校法人が抱える課題に対して、自分たちの提供できるサービスがマッチしていましたが、訪問営業の場合、商談件数とエリアに制限がありました。オンラインセールスは「物理的な移動」がありません。商談を隙間なく埋めることによって、営業マンの貴重な時間を、売上を生むための活動と最適なターゲットに集中することができました。

もうひとつの要因は、営業マンが同じ場所で活動できたことです。訪問営業の場合、営業マンは1人で商談をします。営業マンは日々お客様との会話を通して、業界特有の課題や傾向をアップデートしていますが、1人が1日3件の商談で得られるナレッジは3社分しかありません。仮に同じ空間で5人が商談をしていれば、1日に15社分のナレッジを共有することができます。

営業ロープレがすぐにできることはもちろん、商談中に答えられない質問があればすぐに聞けるし、トップセールスマンの商談にその場で同席することも可能です。ナレッジをチーム全体の資産として蓄積し、属人化されない営業チームをつくることが可能です。

4.オンラインセールスは万能ではない

しかし、すべてのサービスでオンラインセールスが機能するわけではありません。サービスや営業戦略によっては、オンラインセールスが悪手となる場合もあると考えています。実際にオンラインセールスの成功体験に引っ張られて、オフラインで商談するべきサービスをオンラインで実施し、失敗したケースもあります・・・

なので、この記事で紹介する成功例に関しては、サービスと営業戦略がマッチしていた一例として読んでもらえればと思います。実際に私たちがオンラインセールスで実績を出すことができたサービスは、Google社が提供する「屋内版Googleストリートビュー」です。

Googleストリートビューを知らない人はいない!と言えるくらい認知度の高いサービスですが、ほとんど方がイメージされるのは道路など屋外だと思います。私たちはオフィスや商業施設、店舗など屋内を撮影してGoogleマップ上に公開できる屋内版Googleストリートビューを法人向け営業していました。

サービスによってオンラインセールスが合う・合わないがあるとお話したので、サービスの概要を下記に記載しておきます。

▼屋内版Googleストリートビューのサービス特徴
・撮影および制作費用のみで、掲載料が発生しないフロー型のビジネス
・撮影ポイント数(施設の大きさ)によって料金が異なるが、平均単価10万円程度
・納品したGoogleストリートビューはGoogleマップ上に公開される
・HTMLなどで自社のWEBサイトに埋め込むことができるが、他システムなどと連携する必要はない
・幅広い業種業界で利用することができる

屋内版Googleストリートビューがオンラインセールスがハマった理由は、下記だと考えています。

1.担当者でも決済がしやすい価格帯
2.PC画面を共有することによってサービスが伝わりやすい
3.自社システムとの連携が必要なく、スタンドアローンで利用できる
4.お客様ごとのカスタマイズが必要ない

逆に正反対のサービスだとオンラインセールスのみで完結することは難しいケースもあります。ただし、訪問提案をするかの見極めをするためにオンライン商談を活用するなど、オンラインとオフラインをうまく使い分けて営業効率を上げることは可能だと考えています。

5.オンラインセールスを導入する上で大切なこと

最後にオンラインセールスを導入する上で、実践を通して大切だと感じたことを4つに絞って紹介します。

ポイント①:訪問商談を許可制にする
ポイント②:ロープレ・情報共有の時間を毎日作る
ポイント③:送付資料と提案資料は分ける
ポイント④:オンライン商談をお願いする理由を用意する

ポイント①:訪問商談を許可制にする
オンラインセールスを導入に何よりも大事なのが、営業のやり方を変革するという営業メンバー、管理職、経営陣の意志だと思います。初めて取り組む営業マンは絶対にオンライン商談に懐疑的です(私も半信半疑でした・・・)。

当たり前ですが、やれば明日から上手くいくわけではなく、効果を実感できるまでに最低でも1ヶ月はかかります。オンラインセールスチーム立ち上げの失敗あるあるは、少し試して効果が出ないと訪問商談に戻し始めてしまうことです。そして中途半端な活動は逆効果となり、オンライン商談を止めてしまうケースが多いなと。

これらを防ぐためには、訪問商談を許可制にして、極力認めないことが重要だと思います。もちろん戦略によって絶対にNOではないですが、営業マンの判断に任せるとオンラインで対応できる商談も訪問で設定してしまいます。

ポイント②:ロープレ・情報共有の時間を毎日作る
ロープレや情報共有は基本中の基本ですが、営業マンは忙しいので疎かになりがちです。繰り返しになりますが、オンラインセールスのメリットは「物理的な移動がなく、営業マンが同じ場所で活動できる」ことです。この恩恵を最大限活かして、売上最大化のために契約率のボトムアップに時間を投資しましょう。

ポイント③:送付資料と提案資料は分ける
細かいことですが、送付資料とオンライン商談で使用する提案資料は分けたことによって契約率が向上しました。オンライン商談では画面共有をしながら資料を見せて説明をしますが、お客様にとって細かい文字を読むのは大変ですし退屈です。

オンライン商談の資料は、伝えたいメッセージ一文とグラフや図を1枚にして紙芝居風に作成するイメージです。当時使っていた資料は、送付資料8枚に対して、提案資料は30枚で作成していました。

ポイント④:オンライン商談をお願いする理由を用意する
今でこそオンライン商談は認知されていますが、2014年は「来てくれないの?」というお客様も少なくありませんでした。お客様にとっても、営業マンにとっても、オンライン商談をお願いする理由が必要だと考えています。

当社の場合は、オンライン商談によって削減できた販管費を、お客様の料金に還元していました。オンライン商談によって削減できる交通費や人件費を、お客様の料金から割り引くなどの還元をすることにより、双方にとってオンライン商談をした方がメリットが生まれるようにしました。

6.まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事を通して伝えたかったことは、オンラインセールスはサービスや営業戦略と合致すれば、売上を倍増させる手段になり得るということです。

オンラインセールスと出会ってからもう7年経ちましたが、当社も改善を重ねている最中です。それだけ奥が深く、まだまだ可能性に満ち溢れているので、今後もオンラインセールスを追求していきたいと思います!

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