映画「異邦人」を観て

 1967年公開、監督はルキノ・ヴィスコンティ。原作はアルベール・カミュの小説「異邦人」

 人間社会の不条理を映している。そういう触れ込みを見たが、実際に観て、どれくらいの人が理解できるのだろうか?恥ずかしながら私は、この映画が何を言わんとしているのか、一度観ただけではよく分からなかった。(原作も読んだことがない。)

 しかし、映画を観ている間、ひと時も目を離すことができなかった。観ている間ずっと、「何だこれは」と考えさせられていた。分からない、けどなんか惹かれる、そういう状況だったのだと思う。

 結局、鑑賞後にネットで解説みたいなものを探し回った。
 主人公ムルソーは、人の意見に左右されるということが無い。人からどう見られるかを気にすることも無い。自分の意見を誰よりも信じている。だから、あんな言動だし、結果、あんな目に遭ってしまう。そういうことらしい。

 解説を読み漁って思ったのは。ムルソーは、日本でいうところの「空気」に飲み込まれたとも言えるのではないだろうか?ということだ。こうあるべきだ、というしがらみが、ムルソーを死刑に追いやったのではないだろうか?と。

 たしかに「太陽が眩しかったから」という理由で人を撃つのは理解しがたい。しかし、そう思うのはあくまで私であって、ムルソーはそうは思わない。ムルソーは、あの状況で引き金を引いた。ただそれだけなのだ。
 ムルソーは自分の心に正直なのだ。そして正直に生きるということは現代社会では相当難しい、そういうことなんだろうと思う。

 理解出来てないのに、面白かった。まだまだ勉強不足だというのが思い知らされました。

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